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中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

いその爺さんからお借りした本で学ぶ

2014年06月24日 | おいしい横浜

 先日、いその爺さんから、こんな貴重な本をお借りした。

 タイトルは『簡単に出来る 家庭向支那料理三百種』。よく見ると単行本ではなく、『婦人倶楽部』の11月号付録だ。
 ページをめくるとき、気をつけないと破れてしまいそうなほどに紙は古くなっている。匂いも新刊本の爽やかな香りではなく、古色蒼然とした、どこか黴臭いような、それでいてちょっと懐かしい感じである。

 いったい、いつの11月なのかと思い奥付をめくると…


 


 昭和8年だ!

 う~~ん、昭和の初期かぁ……

 当時の日本はどういう状況だったかと考えると、

 満州事変が昭和6年だったよね。
 そして翌7年には上海事変、満州国建国宣言。
 昭和8年には我国が国際連盟から脱退している。


 半藤一利著『昭和史』によると、≪この昭和6年、7年、8年くらいに日本人の生活に軍国体制がすっかり根付いてきて、軍歌が盛んに歌われ、子供たちの間では「戦争ごっこ」がやたらに流行る≫とある。

 当時の中国・上海には共同租界があり、その中に日本人街ができあがっていた。19世紀末に数百人だった日本人はどんどん増え、大正4年には各国を抜きトップに躍り出た。そして昭和5年には約2万人に達し、2位(イギリス人)の6千人を大きく引き離していた。

 この『簡単に出来る 家庭向支那料理三百種』は、そんな時代に作られていたのである。


 当時の政治的状況や国際問題などと、日本における中華料理の関係は気になるところであるが、そういった話は後日ということにして、今日はこの本の中から一品だけ、当時の作り方をご紹介しておこう。



 焼豚そば(叉焼湯麺)。
 


 叉焼も自分で作るようになっている。



 その拵え方はこうだ。

 まずは、こんな前置きが書いてある。
 
 秋の夜長、冬の寒い日、焼豚そばの一杯は身も心も温もり踊る美味しいもので、その拵え方は至極簡単です。

 材料(5人前) 切麺5人前、叉焼肉(焼豚)75匁、骨スープか煮出汁4合、塩、醤油、胡椒、長葱の微塵切りを布巾に包んで水の中で揉み固く搾ったもの大匙5杯ほど。

 拵え方
(1)まずスープに塩小さじ2杯と醤油大さじ2杯くらいで味をつけ、いったん煮立てて冷めないようにしておきます。
(2)叉焼肉は、一人前10切れづつ位になるように薄く切っておきます。
(3)別に湯をタップリと沸かし、そばを一人前位づつほぎし入れ、箸で静かにかき回しながら茹であげて湯を切り、丼に盛り込み、熱い汁を盛り入れ、叉焼肉を並べて胡椒を少しふりかけ、晒葱をあしらいます。

【備考】にはチャシューの作り方も。

 叉焼肉5人前を拵えるには、脂のない豚肉100匁を縦に三つ切り位にして、被膜をむきとり、別に醤油8酌ほど黄ザラメ大さじ2杯を混ぜて一旦煮溶かして冷まし、長葱の微塵切りを卸生姜を大さじ3杯位づつ混ぜて、その中に肉を漬け込み、時々揉むようにしながら、1時間乃至2、3時間を経てから焼きあげます。
 (悪文だなぁ…)

 このレシピを参考にして自宅で作ってみようと思ったのだが、なんだか面倒になってきて、結局は文明の利器を使って拵えてしまったのよね。


 以下は平成26年のレシピ。

 ●材料
 A:豚肩ロースまたはモモのブロック(1㎏)
 B:卵1個、砂糖200g、塩50g、紹興酒(大匙2)、味噌・胡麻油(各小匙2)、醤油(小匙4)、味覇少々



 深めの容器に卵を割り入れて解きほぐす。


 砂糖200gを加える。


 それを充分に混ぜ合わせる。


 味噌を小さじ2杯、加える。


 塩(50g)、紹興酒(大さじ2杯)、ごま油(小さじ2杯)、醤油(小さじ4杯)を加えて混ぜ合わせる。


 充分に撹拌する。


 「味覇」を入れたかったのだが、在庫を切らしていたため、「ほんだし」で代用。


 豚肩モモのブロック(1㎏)を投入。
 本当はタコ糸で縛ってから入れるべきだったのだが、それを忘れて漬け込んでしまった。
 でも、味には問題なし。


 漬けこんで40分後。
 容器から取り出し、耐熱皿に入れる。


 肉にタレを塗り込む。たっぷりと時間をかけてね。


 電子レンジのオーブン(強火)機能を使って30分ほど焼き、さらに中火で10~20分ほど焼く。
 途中で出して切ってみて、内部を確認しながら好みの火加減に。
 この辺は自宅の電子レンジの機能によるので、試行錯誤で。


 はい、これができあがりの姿だよ。


 まな板の上に直接置くと汚れてあとの洗い物が大変なので、開いた牛乳パックの上でカットする。
 
 今回はちょっと念を入れてしまったかも。焼きすぎだわね。
 中心部に少しだけピンクがかった色が残るくらいが最高だ。シットリしていて。

 でも、これだって十分に美味しい♪

 ★★★★★
 ★五つ!!

 昭和8年のレシピより、ずっと簡単で旨いよ。
 
 

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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
昔の女性誌 (冬桃)
2014-06-24 11:40:27
 私も古本市などで購入して、明治、大正、昭和の女性
誌、何冊か持っています。庶民の生活を知るにはこれが一番です。
 こんなもの服んで、亡くなった人もいるっじゃないかな
あ……と思うような怪しい薬の広告がいっぱい!
 どこの誰かもわからない○○博士推薦、コピーは文語調。
 化粧品なんかも「これをつけなさい」と命令口調だったりします。
 「常識」というのは、時代によってころころ変わるから怖いですね。
 
返信する
あ!懐かしいお母さんの写真だッ (馬の骨)
2014-06-24 16:50:34
なんて、うそです。ゴメンナサイ。
支那料理なんて絶えて久しく見る文字です。
しかし、団長も実際に再現してみるなんて・・・、
研究熱心でもなかなか出来ないことです。
モー心底尊敬しちゃって良いですか?
返信する
団長すごいなー (吉継)
2014-06-24 19:09:47
食に対しての探求心はたゆまなくですね、さすがです。

返信する
ちょうど先日 (ふ゛り)
2014-06-24 21:20:29
似たような本
中原淳一の幸せな食卓―昭和を彩る料理と歳時記
http://goo.gl/ADLQr1
を購入したところです。

栄楽園を真似たあの日が懐かしい、、
返信する
広告 (管理人)
2014-06-24 21:38:23
>冬桃さん
私も広告を眺めていて時間の経つのを忘れます。
本文以上に面白いですね、いろいろなことが思い浮かんで。
最近は「大正大雑誌」とか「昭和大雑誌」なんていう、
雑誌の一部を集めた本にはまっています。

返信する
いえいえ (管理人)
2014-06-24 21:39:32
>馬の骨さん
本に書いてあるレシピではなく、
現代の電子レンジ使用バージョンで作っています。
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Unknown (管理人)
2014-06-24 21:40:47
>吉継さん
食いものだけは大好きですからね。
でも、昔どおりの作り方は・・・無理。
返信する
へえ~ (管理人)
2014-06-24 21:42:43
>ぶりさん
こういう本を購入しているんですね。
そして作っちゃう。。。すごいです。
私なんか、なかなか真似できないです。
返信する
料理本 (馬の骨)
2014-06-24 23:56:28
拙の持っている料理本は、
「海の男の 艦隊料理」 大正7年発布
海軍主計兵調理術教科書復刻版
          高橋 孟 
            ノーベル書房 です。
返信する
みなさん (管理人)
2014-06-25 05:25:20
>馬の骨さん
昔の料理本を持っていらしゃるんですね。
調べたら、この本は図書館にありました。
こんな風に紹介されています。

「腹が減っては戦はできぬ」―然り!
戦争は2度と起こしてはならないけれど、戦争をするための食事は試してみる価値がある。
軍国主義は滅びたが、戦う男たちのために価値ある遺産が残った。
日本料理はもちろん、西洋料理、中華料理、さらにはパーティーのマナーまで、平和時にあって日夜ビジネスに奮戦する男と女に贈る、イラスト入り、元祖「男の料理」実践テキスト。
返信する

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