
横浜は間もなく開港150周年を迎えようとしています。100戸足らずの半農半漁の村だった横浜は今、日本を代表する都市になりました。たかだか150年の間に大発展を遂げたものです。 しかし、たった1世紀半という時間の流れのなかで、「あの横浜」は私たちの記憶の中から消えつつあります。今や、昔の横浜を知る人たちは、非常に少なくなってきたといえるでしょう。 ※開港150周年をもって横浜の歴史は150年みたいに言う人たちがいますが、それは間違い。この中心部の一部だけが150年の歴史なのです。 そんな失われた記憶、薄れゆく体験を後世に残すべく発足したのが、「横濱夢語り」プロジェクトです。 同プロジェクトのHPにはこう書いてあります。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「横濱夢語り」は、街の財産である『浜っ子の記憶』『横浜の記憶』を「映像」として記録。残しておきたい横浜の物語や街の片隅に眠る歴史的な話、人々の生活をDVD・メディア・朗読音楽ライブなどさまざまなアプローチで、語り伝えていこうというプロジェクトです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ その「横濱夢語り」の第13回目の公演が11月18日(土)、横浜開港記念会館で開催されました。テーマは「根岸外国人墓地」です。横浜で外国人墓地といえば港の見える丘公園そばにある、あの観光地として知られた「山手外国人墓地」でしょう。開港後はじめて横浜で亡くなった水兵や、鉄道の父エドモンド・モレル、ポンチ絵のワーグマン、生麦事件で切り殺されたリチャードソンなど、幕末から明治にかけての有名人が多数葬られています。 でも、今回の「横濱夢語り」で取り上げられた「根岸外国人墓地」は、横浜の人たちにすらあまり知られていない、ひっそりとした墓地です。 「山手」は丘の上にあり、横浜市街を一望のもとに見下ろせます(リチャードソンの墓のように丘の麓では無理ですが)。物理的にもオープンな感じです。 一方の「根岸」は、周囲を鬱蒼とした樹木に覆われて、なんとなく暗い感じなのです。ここに埋葬されているのは、昭和17年、横浜港で爆発沈没したドイツの仮装巡洋艦の兵士や、関東大震災で被災した外国人などのほかに、戦後、米兵と日本人女性との間に生まれた子どもたちです。 今回の「横濱夢語り」は「知ってほしい! 根岸外国人墓地……」をテーマに、朗読音楽ライブ『天使はブルースを歌う 特別編』として開催されました。江戸川乱歩賞受賞作家 山崎洋子氏の書き下ろしによる朗読台本を、俳優 金田賢一、桐山ゆみが朗読。そしてゲストに迎えられたのが、元ゴールデンカップス、元「鴻昌」店主のエディ藩でした。 山崎洋子氏のノンフィクション『天使はブルースを歌う』は、横浜の繁華街にある雑居ビルで白塗りの老女を見たことから始まります。彼女は、横浜の人なら誰でも知っている「ハマのメリーさん」と呼ばれる老街娼で、戦後、外国人専門に身を売っていたという伝説的な存在でした。 駐留軍の米兵相手に春をひさぐ女性は他にもたくさんいましたし、現地妻のような状態の日本人女性はどれだけいたか分かりません。そしてそこには、混血児たちも大勢、生まれたのです。 メリーさんに心惹かれた著者は、メンバーの全員がハーフというキャッチフレーズで売り出した人気GS「ゴールデン・カップス」のメンバー達と会います。そこから読者は、根岸外国人墓地へと導かれていくのですが、詳しくは『天使はブルースを歌う』をお読みいただければと思います。 でも、そんなこと言われても時間が無いという方は、下をクリック! ●『有鄰』(平成13年2月10日 第399号)より「戦後横浜 華やかな闇」 ●山崎洋子氏のホームページ さて、横濱夢語りのテーマミュージックから始まった第1部では、二作品の朗読のあと、中村裕介が「横浜市歌 ブルースバージョン」を歌いました。CDでは聴いたことがあったのですが、ライブでは初めて聴きました。いいですねえ。横浜市の公的な行事の場でもこれが歌われたらいいんじゃないかなあ、と感じました。開港150周年の式典で、ぜひ流してほしいものです。 第1部最後の出し物は朗読「横浜の外国人墓地」。本日のテーマのイントロのようなお話でした。これにピアノで奏でる『丘の上のエンジェル』(エディ藩作曲)がオーバーラップして、第2部への期待感を高めてくれました。 ![]() 10分ほどの休憩のあと、いよいよ山崎洋子氏がこの日のために書き下ろした朗読『天使はブルースを歌う 特別編』の始まりです。 お話は、こんな感じでした。 ある晩、おそらく「ハマのメリーさん」から連想して作り出されたであろう老婆が、不思議な霊の力によって根岸外国人墓地に呼び寄せられます。そこで待っていたのは丘の上の天使でした。彼(?)は老婆に、この墓地のことを話しますが、実は、この天使は老婆の子どもだったのです。朗読の上手さも手伝ってか、会場内のあちこちから、すすり泣きが聞こえてきました。 ここでエディ藩の登場です。1部から出ている中村裕介(g)と小川浩史(b)の3人で歌ったのが、Lonely Night Lonly Bluse」、Back To China Town」、そして「ヨコハマ ホンキートンク ブルース」です。「ヨコハマ ホンキートンク ブルース」は石黒ケイ、山崎ハコなども歌っていますが、やっぱりエディ藩のがいちばんだと思います。歌詞のなかにある「メシを食うならオリジナルジョーズなんて~」の部分は、「メシを食うなら中華街の鴻昌なんて~」と替えて歌っていましたが、あの「鴻昌」は今はもう閉鎖してしまっています。エディ藩については、ホームページの方で取り上げたいと思います。 それはともかく、かなり充実した2時間でした。また機会があれば、行ってみたいと思います。 ![]() ![]() 【写真上】終演後、エントランスに現れた金田賢一 【写真下】工事中の鴻昌。借り手が決まったのでしょうか 鴻昌のチャーシューメン 鴻昌閉店の記事 ![]() |
今回は勉強させていただいたことが多数!!!
エディ藩が鴻昌の店主、そして鴻昌が閉店???
鴻昌といえば、メイン通りの真ん中の中華街では珍しい麺類を売りにしていた老舗で、毎週日曜には必ず長蛇の列ができておりました。当時は中華街に列ができるのはこの鴻昌と海員閣くらいのものでしたから目立っていたんですけどねえ・・・。
あまり観光地化するのも考え物です・・・。
根岸外国人墓地・・・、ワタクシも良く知らず(恥)。
山元町の上の方の増徳院の近くにある墓地のことなんでしょうか?
昔は根岸の山部分は立ち入り禁止区域でしたのでよくわからないのです。
中村橋の坂の上(市バス11系統山谷バス停付近~横浜緑ヶ丘高校の山の上~本牧満坂の山の上
このあたりは昔から横浜に住む人間にも謎だらけです。
数年前に本牧から山手駅付近に道が出来ていたのに驚いたほどですから(笑)。
ところで、今日ニュースで見たことなのですが・・・
横浜のシンボルである、マリンタワーが今月25日で閉館、2009年にリニューアル・オープンって本当なんでしょうか?
マリンタワーと氷川丸は売りに出ました。氷川丸は日本郵船が、マリンタワーは横浜市が引き受けたようです。マリンタワーの方は、そろそろ塗装をし直す時期ですが、最近は周辺に高層マンションが建っていますので、どうやって作業するのか見ものです。