「失われてゆく、我々の内なる細菌」
マーティン・J・ブレイザー
山本太郎/著
(みすず書房)
ワタシたちと常に共に在る細菌たちは
そこに存在する理由があって、
一定のバランスを保つうちは
ワタシたちを守り育み
共に生きていく仲間だ。
胃がんの原因菌として
悪名高きヘリコバクター・ピロリでも
一概に排除すれば良いという
訳ではなく、
免疫を抑制し、
アレルギーの発症や喘息や
逆流性食道炎や食道がんの発症を
押さえる。
それがそこに在る意味。
問題はバランスを欠く要因だ。
抗生物質は常在菌に
多大なる影響を与える。
一定の期間だけの使用であっても、
その後ずっと
影響を与え続ける場合もある。
家畜に抗生物質を与え肥育するように
ワタシたちも肥育されていまいか。
効率化・時短・簡便化といった
経済観念と
ヒト本来の生態(そして生態系)には
相容れない要素がある。
多様な生態系の維持は、
地球規模の話というだけでなく、
ワタシのカラダにも必要な話だ。