「未来のだるまちゃんへ」
かこさとし(文藝春秋)
敗戦時、19歳。
“
これからを生きていく子どもたちが、僕のような愚かなことをしないようにしたい。子どもたちは、ちゃんと自分の目で見て、自分の頭で考え、自分の力で判断し行動する賢さを持つようになってほしい。
その手伝いをするのなら、死にはぐれた意味もあるかもしれない。 ”
(「はじめに p.13」より)
“
つまり、善と悪、どちらかに分けることは難しい、どちらも持っているのが人間という生物なのであって、頭ごなしに「常に正しい道を行きなさい」とは、僕にはとても言えません。
人間は間違えるものだし、僕も間違えた。それをどう乗り越え、克服したかが問題なので、そこが生物としての人間のよいところなのではないでしょうか。
最初から何の問題もなく、そこをスーッと通り過ぎる方もいるでしょうが、知った上で「私はしない」というのが、やっぱり、人格として進んでいるし、葛藤、克服して、成長していく過程こそが尊いのだと僕は思います。
”
(「第四章 人間対人間の勝負
人間はプチ悪 p.199」より)
子どもをよく観察し、
その中に様々な人間の本質を
見いだし続けた方なのだと思います。
本年5月に92歳でお亡くなりになりました。
合掌