本日は晴天なり

誰しも人生「毎日が晴天なり」とは行かないものです。「本日は晴天なり。明日はわからないけどね」という気持ちを込めました。

若き日の...

2008年03月09日 02時56分41秒 | Weblog
最近なんだか男性を愛することに疲れ気味の私。

この間江ノ島を一人で歩きながら、ふと、大学時代に始めて付き合った男性のことを思い出しました。
江ノ島は、彼と昔よくデートでドライブに来た場所でした。
若い頃は奥手だった私は、大学の2年のとき、当時4年生だったその男性と初めて付き合ったのですが、私は別に彼のことが特に好きだったわけではなく、彼から告白されて、悪い人ではなさそうだったし、それまでつきあったこともなかったので、「ま、いっか~」と思って軽い気持ちで付き合ったのでした。

彼は、多くを語る人ではなかったけれど、いつもニコニコしながら私の後をついてくるような人でした。
今から思えば、私は彼からいろんなことを教わったし、いろんなことをしてもらました。
ビリヤードや、テニスを教えてもらったり、彼の運転する車で山中湖、江ノ島、箱根、横須賀、いろんなところに連れて行ってもらいました。
どこへ行くとか何をする、というのは、いつも彼がデートの度に考えてくれていました。
大学の授業が終わって友人と掲示板の前にいると、遠くから私を見つけてニコニコしながら私めがけて走ってくるような人でした。
私はといえば、「犬のような人だな~。彼にプライドはないのか?」などと思っていました。

私はすっかり彼がいろいろやってくれるままになり、今から思うとまるで女王様気取りだったのではないかと思うのですが、それでも不満一つ言わず、嬉しそうに私のために尽くしてくれる彼を見て、「わがままし放題のこんな私のどこがいいのかな~。よく分からないけど、彼がそれでいいなら、ま、いいか~。」と思って楽しんでおりました。

その当時も母親ともめることしばしばで、「お前は一人娘なんだから、お父さんとお母さんが年を取ったら面倒見ないといけないんだからね」と口癖のように言う母親からのプレッシャーをとても重荷に感じていました。
二人で多摩川の土手を散歩していたとき、それを思い出して急に悲しくなって、
夕日の沈む中、突然一人で走り出したことがありました。今から思うと、なんだか青春ドラマチックでオハズカシイのですが、当時の本人は大真面目でありました(ま、純情だったのでね、お許し下さい)。
土手を走る私の後を、彼は黙って走ってついて来てくれました。
彼には家庭の事情を話しても分かってもらえないだろうと思っていたし、彼も何も聞かなかったけれど、私を心配してくれている様子は分かりました。

彼は私に与えるばかりで、私からは何も求めず、素のままの私をまるごと受け止めてくれた人だったのだな、と今は思います。
そしてそのことで、実は私はすごく癒されていたのだな、ということがあれから何十年も経った今、分かります。
でも、私は彼に恋をして付き合ったわけではなかったので、どうしても物足りない気持ちを抱いていました。
そして、彼にもそのことを伝えました。
彼はそれでもいいから一緒にいてくれ、と言いました。
私は彼の気持ちに応えることができないのを心苦しく思いながらも、一緒にいれば居心地が良くて、2年ほど付き合いました。

彼は私より2年早く大学を卒業して就職したわけですが、私は大学4年のときに、同級生で好きな男性ができてしまい、彼と別れることを決意しました。
それを告げると、彼はものすごく悲しそうな顔をしましたが、私が好きな人のことを言うと、「うん、分かった」と言ってくれました。

その後、しばらくして一度だけ電話が来て、「もう一度だけ会って」と言われて二人で会いました。場所は渋谷だったように思います。「最後にもう一度キスをさせて」と言われて、キスをして。彼の悲しい思いが伝わってくるキスでした。胸が痛みました。
そしてそれが最後でした。

今から思うと、あれが無償の愛というものだったのだろうか、ととても切ない気持ちで、感慨深く思いながら江ノ島の夕日を眺めていたのでした。

そしてなぜ今そんなことを思い出したかと言えば、今度は愛する人から、これくらい大事にしてもらいたいと思っている、ということなのかも知れません。