私の日記帳

◆◇ベランダの多肉植物栽培日記◇◆
      &
◆◇読了した本の備忘録◇◆

『こちらあみ子』 今村 夏子 筑摩書房

2011-12-03 | 読書日記
第二十六回太宰治賞受賞作品。
新聞の書評欄で絶賛されていたので読んでみました。

主人公のあみ子は軽度の知的障害なのか、
自分の言動で相手がどんな気持ちになるかをはかり知ることが難しく、
また家族でさえ、ちゃんと向き合って話をしてくれません。
そのために、好きな男の子に歯が折れるほどに殴られてしまい、
私は切なくてたまりませんでした。
短編で非常に読みやすく、情景描写も卓越したものがありますが、
若干の違和感を覚えつつ、読み終えました。
悲しいはずなのに、暗い描写はありません。
それがこの作者さんの持ち味であるのでしょうが、
深く考えれば考えるほど難しいです。

書き下ろしの「ピクニック」という小説も載せてありますが、
これも、妄想癖なのか、善意なのか悪意なのかわからないような物語です。
これを読むと、小さな集団って怖いな、と思います。