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家族の応援歌

相談活動・短歌・シャンソン

随筆  あどけない空の話?

2012-09-18 21:38:44 | 作品
今日はゆっくり仕事の勉強ができる時間がとれたので、暑さもなんのその、窓に向かって学んでいた。
一段落して空を見上げると、初秋というのに入道雲の出ている真っ青な空である。

このあいだもわたしは街角で、「ビルの合間に見える真っ青な空」にうっとりしていた。
それも電線がたくさんかかっていた。それがわたしの好きな空だ。

つまりわたしは「都市の空」が好きなのである。

智恵子とは反対だ。
智恵子は、「東京には空がない。安達太良山の上に見える真っ青な空」が自分の空だと言ったとか。

夫の光太郎は東京の自宅の上の空を見上げ「まぎれもなく幼い頃から慣れ親しんだ東京の」空だと思い
智恵子の言葉を「あどけない空の話」として詩に書いている。

愛妻家として知られる高村光太郎。晩年狂気に陥った妻を愛し、見舞って看取った話は有名である。
わたしも少女の頃、詩集「智恵子抄」や、小説「智恵子曼荼羅」を読みふけり、愛妻ぶりにうっとりした。

けれど今になってみると、東京暮らしになじめず、芸術家の夫を支え、経済をたてることに精一杯だった
妻智恵子が、ぽつりともらした「安達太良山の上の空がほんとうの空」という言葉を「あどけない空の話」
という捉え方でひとくくりにしてしまっていた夫に問題があったのではないかと思う。

自分の空が見たいという切実な思いをきちんと受け留める夫がいれば、狂気も忍び込んでこなかったのでは
ないのか?

東京がふるさとで、ビルの間の電線だらけの空が好きだなんて、なかなか「地方ふるさと志向」タイプの日本人
には理解されそうもないわたしは、何年も前からそう思うようになっていた。

結婚して住む場所は夫には慣れ親しんだふるさとでも、妻には異郷なのである。
最近はその逆も多い。

今日の、仕事に関する勉強は新婚夫婦のコミュニケーションのすれちがいをどう予防するかである。

随筆・鶏口牛後

2012-08-23 23:52:57 | 作品
夏の中ごろ、プランターにか細い草が4本かたまって生えた。
となりに植えてあったビワの陰になってひょろひょろとして
いた。
ビワの葉を少し落としてやると、4本はみるみる大きくなって
葉を繁らせ、茎を太くしていった。

いったい何の草だろう。ここへ何か種を蒔いたような蒔かない
ような・・・。抜かないで様子をみることとした。花なら何か
咲くであろう。鳳仙花に似ている。だがそれを蒔いた覚えはな
かった。鳳仙花らしい蕾の一つもない。

草はぐんぐん大きくなる。塀を越す勢いである。幹の太さは目
を見張るものがある。
留守中も家人に水をやるように言うと、家人も熱心に与えてく
れた。

夏も終わりになった。猛暑の日差しがすさまじい。草はプラン
ターでは養いきれないほどの幹の太さとなった。
大きな幹のてっぺんにほんの少し花の兆候が見えたころと、わ
たしが思いあたったころが同時だった。

鶏頭である。そうだ去年みごとな鶏頭をどこかで見つけ、種を
つまんで帰ってきた覚えがある。そうして初夏にプランターに
ころがした。
              
鶏頭の地味な花は九月生まれの子への祝いによく使った。九月
には花がない。演劇にかかわっている子に、地味でも堅実にある
ように、小さな劇団でも幸せになるように。鶏口牛後でよしと。

長く下積みだった子に大きな役が回ってきた。周りの足を引っ
張らないようにするのが精一杯のようだ。鶏頭の花がすこうし
形になってきた。

あの大きい赤いかたまりを咲かせるにはそうとうの葉と茎の力
がいるだろうと納得した。
           
演劇も相当の研鑽を積んで、ようやく芽がでるものかもしれな
い。花を咲かせるには相当の土台が要るのだろう。この花を見
ていてよくわかる。

いつもの誕生日は鶏頭のほんの小さいポットを植えただけであ
った。もっと大きいのを買ってやりたくても高かった。自前で
植えてやりたいとふと思ったとき、見事な花の種を得たのだっ
た。

今年の誕生日には見事な鶏頭が咲いているだろう。劇は今日、
中日である。 











短歌作品・卵

2012-08-12 02:32:23 | 作品

卵十首

給食のご馳走お汁粉ゆでたまご戦後十年東京目黒区

鶏の絵の蓋の中籾殻に並びし卵は見舞いのお品

退院の我には隠し玉子とて母ささやきて椀に続かず


鶏はいつのまにやら工場製 卵は安い国になり果つ

家族には魚の切り身をふるまいて母は卓下に玉子そと割る

産みたての玉子食べすぎ嫌いとは農家育ちの夫の言い分


卵とう漢字は蛙のたまごから板書見る目もまるくくるくる

卵子とはあなたとともに老いるのよ娘に伝えておくのはつとめ


毎朝を開けるベランダほんわりと玉子焼きの香あまくただよう

殻六つころころ割りて厚焼きの玉子届くるは易き楽しみ

猫に救われる

2012-05-30 14:18:56 | 作品
介護別居長かりし頃、猫には救われました。
夫が伊豆で母を介護。わたしは都会で仕事・子育てで
ローンを払い、大学生を二人卒業させました。

互いに行き来の夫婦ですから、留守があり、動物は
飼えません。

夫は猫を家の外で飼いました。外にねぐらを設けま
した。田舎だから納屋でも小屋でもあるのです。
上京するときは親戚に餌やりを頼みました。

一番増えたときは十三匹もいて、縞の背中が十三並んで
餌を食べていたときは、訪ねたわたしは卒倒しそうでした。

でも、猫が夫の寂しさをなぐさめてくれるんだなと思いま
した。

 ひと月を覚えていてか夫の猫 白黒まじえ我を迎える    短歌では「夫」も「つま」と詠みます
 
 

十年の介護別居に猫五代 猫の系図を描いてもめる

 我を待ち夫が植えたるカモミール 羊群のごとプロムナードに

 今日もまた笑顔で迎えてくれた人 あなたの口にチョコレートぽん

 古民家のガラスの外はしだれ梅 紅梅白梅 夫の庭先

 通勤の街の歩道のひび割れは 伊豆の形かしばし見入らん

 半世紀こだわり今や味自慢 わたしも伊豆を里と言わんか



生まれた猫の名はわたしがつけました
 モカ・モク・トム・羽黒・ヤチ・ジャック・アジ・サンマ
 などなど
 今トムだけが残っています。
 トムの老後が気がかりです。











 

おうちの小話その4

2012-05-22 23:29:42 | 作品
おにいちゃん、ある日保育園から帰るといいました。

「おかあさん、ダイズはエネルギーなんだよ」

「まあ、そうよ、よく知ってるね。大豆は畑のお肉
 と言って、エネルギーがあるのよ」

「ふーん。○○ちゃんね、ダイズ食べるとブツブツ
 が出るんだって」

「えっ!? それはアレルギーっていうんだよ」

                 ちゃんちゃん


お兄ちゃん語録

*お母さん、マエクロバスって前が黒いの?

*お母さん、「牛肉オレンジ」って牛肉の中に
 オレンジが詰まってるの?
  (牛肉オレンジの関税のニュースを聞いて)

寒波が来るというニュースを聞いて
*お母さん、パンカが来るんだって!?

 なんでも大人の話に首を突っ込みたがっていた
 お兄ちゃんでした。

小学校の時、参観に行きましたら、
粘土細工が展示されていました。
題(テーマ)は「好きなもの」
みんな思い思いの造型が作ってありました。

お兄ちゃんのを見ると、ほとんど手を加えてない
長方形の灰色の粘土のままです。

よく見ると少しねじってあって、点々が散らして
ありました。

題を見ると「こんにゃく」
そうです。たしかに、お兄ちゃんの好物はこんにゃく
だったのです。