家族の応援歌

相談活動・短歌・シャンソン

随筆 フリージア

2021-02-26 22:31:28 | 作品

コロナ下でとじこもりが続くと花の一輪も飾りたくなる。せめて香りの良い花の。
幸い、最近、近くに良い花屋さんを見つけていた。
道路沿いの何の変哲もない構えなのだが、新鮮な花がいっぱいで、中に住みたくなってしまうような店だ。

昨日アネモネの種を欲しくて行ったけれど、それは秋に植えるものだから、今は無いって。そうしたら、おかみさんが、[すみませんね]って。

びっくりした。今どき商品が取り揃えてないとき、あやまるお店に久しぶりに出会った。
まして季節違いなのに。

どこのお店でもスーパーでも、商品ないときは[ありません][置いてません]しか聞かない。
取り揃えてないのは商売人としてミスだなんて、これっぽっちも思いはしないのだ。

いいおかみさんなので今度はフリージアを買いに行った。前にシクラメンを買ったらいいおじさんだったので、たった3本だったけど安心して行った。

やはり売れるお店らしく昨日あふれるほどあった花がずいぶんさばけていた。

法事の花の相談でご主人の手があかなかった。わたしはじっと待って花の香りの中にいた。

お客さんとの長話の途中でご主人がわたしに[お花選んで]と言ったので、フリージアを3本抜いた。
[近いからこのままでいいですよ]とコインをわたして持ち出した。

背中に[ありがとね]と声がかかった。嬉しかった。

先生をやっていた頃、[先生はいつも、ありがとねと言ってくれるから嬉しい]と言ってくれた生徒があったが、言われてみてなるほど嬉しかった。

家族相談を学んでいたとき、夫婦は人格的に同じレベルのひとを選ぶと習ったことがあったけれど、
このご主人にしてあのおかみさん、商売も繁盛。

窓辺に飾ったフリージアは質良く、いつまでも長持ちしている。フリージアの花がこんなに開くのを初めて知った。    

挽歌 つんこ

2020-07-07 14:06:53 | 作品
挽歌 つんこ

野良なれば抱くを許さず受診せず闘い終えてつんこは逝きぬ
眼と胸を病みてその手でひたすらに己が身さすりて治すというか

六時九時四時に六時に九時に来し一日五食の達者な日々よ

喰わずとも朝な夕なに顔見せて涼しき場所にうずくまりたる

水で生き塀を飛びのり走り来る狩りの名手はまだ爪をとぐ

意を決し最後の甘えか上がらんとするに手を添え三和土より出す

名を呼べばちさき声にて応えたる眼光鋭く何湛えたる

それだけは欠かさず寝床を汚さずに瀕死の体(てい)で畠(はた)へトイレに

蚊よけやら毛布は如何牛乳は ひとは五月蠅きものと思うか

十年を日々腹撫でし夫(つま)なれば自然に置けとただ言い放つ

最期まで自ら治すと信じてか3日前から姿を消しぬ

ひと月の苦しみ抜けてどこやらで白毛あせしか満月も過ぐ

トム兄のもとへプラムの樹の下へとの人のもくろみきっぱりと断つ

雨嫌いが尻尾を浸す水溜り姿浮かびて涙のあふる


トムのプラムが今年は豊作でした。
つんこはみつかりません。今日も雨です。








勤労感謝の日によせて

2019-11-23 10:08:40 | 作品
勤労をできることだけ感謝するごとくに
今日を働いていた日々


ブラック教職とようやく分かっていただけるようにはなりまし
たが、

当の先生たちは忙しすぎてそんな記事さえ読めない始末。

本当は回りに助けてもらうのでなく、自分たちの職場や職業は、
自分たちでまもり、闘わなくてはならないのです。

その意識が低い傾向が続いたことや、それすら考えられないほど
時間を搾取されていたことが、

教職を避けるという今の荒廃を生んでいると思われます。

退職してから、現状を救おうと先生方の癒しにまわったり、
ブラックのアピールをしましたが、

ほんとうは現場が一番取り組まねばならないことだと思います。

わたしが書いた[嬢ちゃん]は、ブラックアピールですが、ひどい
ことは笑ってしまう漫画のようで、今起こっているもろもろの事件
のように、

こんなことほんとうなの?と、悲劇と喜劇は紙一重のようです。

でも、命にかかわるとなると憤りしか残りません。



勤労感謝の日はいつも良い天気で、散歩もできずに家で仕事をして
いましたが、持ち帰りすらできなくなったというこの頃、みなさん
出勤してテストを作ったり採点でしょうか。

今日の雨は銀モクセイも散らしてしまうことでしょう。

黄葉の池

2019-11-21 16:15:25 | 作品
家の回りをちょっと歩いている間に

足が丈夫すぎたのか、あっと言う間に遠くの公園まで
行ってしまいました。

知ってますか?初めて知ったのは、藤棚の藤の実が

ぱちんと音立てて頭に落ちてくること

いくつも落ちてきます。

からっと二つに割れてます

あんまりいい音だったので、持ち帰ってきました。
           

天からのおみくじのごと藤の実のパキンとはじけ髪に降りくる