コロナ下でとじこもりが続くと花の一輪も飾りたくなる。せめて香りの良い花の。
幸い、最近、近くに良い花屋さんを見つけていた。
道路沿いの何の変哲もない構えなのだが、新鮮な花がいっぱいで、中に住みたくなってしまうような店だ。
昨日アネモネの種を欲しくて行ったけれど、それは秋に植えるものだから、今は無いって。そうしたら、おかみさんが、[すみませんね]って。
びっくりした。今どき商品が取り揃えてないとき、あやまるお店に久しぶりに出会った。
まして季節違いなのに。
どこのお店でもスーパーでも、商品ないときは[ありません][置いてません]しか聞かない。
取り揃えてないのは商売人としてミスだなんて、これっぽっちも思いはしないのだ。
いいおかみさんなので今度はフリージアを買いに行った。前にシクラメンを買ったらいいおじさんだったので、たった3本だったけど安心して行った。
やはり売れるお店らしく昨日あふれるほどあった花がずいぶんさばけていた。
法事の花の相談でご主人の手があかなかった。わたしはじっと待って花の香りの中にいた。
お客さんとの長話の途中でご主人がわたしに[お花選んで]と言ったので、フリージアを3本抜いた。
[近いからこのままでいいですよ]とコインをわたして持ち出した。
背中に[ありがとね]と声がかかった。嬉しかった。
先生をやっていた頃、[先生はいつも、ありがとねと言ってくれるから嬉しい]と言ってくれた生徒があったが、言われてみてなるほど嬉しかった。
家族相談を学んでいたとき、夫婦は人格的に同じレベルのひとを選ぶと習ったことがあったけれど、
このご主人にしてあのおかみさん、商売も繁盛。
窓辺に飾ったフリージアは質良く、いつまでも長持ちしている。フリージアの花がこんなに開くのを初めて知った。