世田谷パブリックシアター「無駄な抵抗」を観劇。
本作は、ギリシャ悲劇『オイディプス王』を忠実なモチーフとし、
かなりストレートに「運命論」を扱った物語だ。
本作サイト掲載の「あらすじ」(役名等一部追記)
その駅は半年前に電車が停まらなくなった。
どの電車も通過するだけ。住民は困惑しながらも、隣の駅まで行くなり、
他の交通手段を使うなりして日常を守っていた。
駅ビルは寂れ、駅前の広場は活気を失った。
占い師として活躍していた桜(松雪泰子)は地元に戻ってカウンセラーとして再出発する。
クライアントとして現れたのは、同級生の芽衣(池谷のぶえ)だった。
芽衣は、かつて桜に言われた言葉に強く影響を受けていた。
その言葉が自分の性格と人生を決定づけ、苦しんでいると言う。
あれは予言であり、呪いだったと。
駅前広場で始まる対話は、次第に芽衣を取り巻く奇妙な運命を明らかにしていく。
幼い頃の父の態度、叔父との関係、予言を避けるためにした選択、母の残した手紙、
芽衣の入れ込むホスト・鈴木理人りひと(渡邉圭祐)の出生の秘密。
叔父が探偵・佐久間一郎(安井順平)まで雇い、芽衣を監視していたこと。
二人は、芽衣を苦しめているものが何なのか、
そして芽衣の心に深く刺さった桜の予言をどうするべきなのか、考える。
広場では、関係者たちが二人の会話に聞き耳を立てている。
2時間、たっぷりセリフ。。池谷のぶえ、コミカルな役が多い中シリアスな演技。
それぞれの「運命」「人生」に抵抗(無駄な)しながら受け入れて抗って生きている。
そんな舞台です。
止まらなくなった駅の通過する「電車の通過音」が、場面を変える。心の葛藤を伝える。
楽しいか?って聞かれるとね。
決して「楽しい」舞台ではないです。一人の女性の暗い過去の物語り。
「ギリシャ悲劇」です。んー!難しいといえば難しい。
そんな舞台です。
最後に ポストトークで。
『全員が一つの場所に共存し、深層心理でつながっているような』物語となっている。
このことが、人間と「運命」の関わり合いを示唆することにつながっているのではないか。