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フリーダ・カーロの遺品

2015年09月25日 | Life
未明に降った雨のおかげでグランドが使えなくなり、予定していた幼稚園の運動会が延期になった。
撮影がなくなったので、きょうが最終日の「フリーダ・カーロの遺品」(小谷忠典 監督)を観にいくことにした。



フリーダ・カーロはメキシコを代表するシュールレアリズムの画家(1907-1954)である。子どものころ発症した病気と交通事故のために不自由な身体でありながら、それをバネに力強い作風の絵を産み出している。
彼女の遺言で死後50年間は遺品が封印されていたが、2004年に日の目を見てその遺品を撮影するプロジェクトが立ち上がった。
撮影を依頼されたのは日本の写真家 石内都さんだ。近年、彼女ははだれかが使っていた物や着ていた衣服などを撮っているが、単なるブツ撮りではなく、それを身に付けていた人間の肖像として撮影している。
とりわけ広島の原爆で亡くなった人たちの遺品を撮った「ひろしま」を見ると、それらを遺した人間の怨念のようなものまで感じることができる。

映画は3週間におよぶ現地メキシコでの撮影の様子と、パリで開催された写真展の様子を記録したものである。
そのなかで石内さんは自分がフリーダに思い描いていたイメージと、その遺品から発せられるイメージがまるでちがったと言っている。
彼女はあえて自分のフリーダ像に近づけるのではなく、その場で感じ取ったものをそのままストレートに写しだしているようだ。

白いバック紙の上に遺品を置き、やわらかい自然光で撮影する石内さんの撮り方はいたってシンプル。
三脚さえ使わずに手持ちで寄ったり引いたりしながら何枚も撮る姿が、まるでその遺品の主になにかを語りかけているように見える。きっと心でなにかつぶやいているのだと思う。
このようにして撮られた写真であるが、非常に残念なことに映画のなかではそれを全部見ることができない。かろうじて写真展の会場の様子と数枚の作品が紹介されただけ。
機会があれば作品そのものを見てみたい。

映画はフリーダの衣装のルーツにもふれていて、メキシコの民俗衣装や文化の一端が垣間みられる。ドキュメンタリーとしてよくできた映画であった。

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