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Happyday of LUCKY

日々の気付きと感謝を忘れないように綴るページ

CVとWORKSについて

2013年07月20日 | Photography
TIPの文章作成ゼミで今つくっているステートメントというのは、その作家の創作理念である、と何回か書いた。
もう少し詳しくいうと、作家のプロフィールや今後の活動方針のようなものまで含まれているのが、いわゆる「CV」と呼ばれるステートメントだ。
CVに書く内容を箇条書きするとこうなる。

1.Biography(略歴)
2.Artist Statement(創作理念)
・Theme(テーマ)
・Objects(被写体)
・Style(作風)
3.Future Projects(今後の計画)
4.Post Script(後記)
5.Exhibition(展示)
6.Publication(出版)
7.Awards(受賞)
8.Homepage(ホームページ)
9.Contact(連絡先)

多少順番が入れ替わることがあっても、海外で活躍する作家のホームページなどを見ると、このようなCVがきちんと書かれている。
現代アートにおいて、このフォーマットはほぼ世界共通のものらしい。

そして「CV」といっしょに提示するのが「WORKS」というもので、すなわち、その作家の作品の紹介文である。
これにも書き方にお約束があって、まず、「シリーズ」と呼ばれるすべての作品に共通するコンセプトを書く。
そのコンセプトを基に生まれてきた作品一つひとつを「コレクション」として書いていくのである。

なぜ、このCVやWORKSが大切なのかというと、その作家はどんな人生を歩んできて、どんなことに興味があるのか。なににこだわって生きているのか、なぜその作品をつくろうとしたのか。そして作品でなにを訴えているのか。
つまり、その作品が生まれてきた背景や、作品の整合性のようなものを第三者にわかりやすく説明することが大切だからである。
作品を深く理解してもらうためには、その作家のおいたちや考え方、生き方までも知らせる必要があるということだ。
ただし、これはあくまでも作品制作に関わっての話であるから、なにも「○○幼稚園で出会ったAちゃんが私の初恋の女性です」みたいなことまで書く必要はない。



昨夜のゼミで横内先生から「マツノさんのWORKSはもう完成しています。あとはCVですね」とお墨付きをもらった。
これは去年の「夢の跡」も一昨年の「GANGA」も、「REBORN」というシリーズでつながったということだ。
思いつきで作風を変えたのではなく、同じコンセプトのうえで成立している作品と見なせるわけで、非常にうれしい助言である。
さあ、あと2回でどんなCVができあがるか。たのしみ、たのしみ。

手づくり大型イーゼルマスク

2013年07月12日 | Photography


12ミリと2.5ミリ厚のベニヤ板を使って、全紙用の大きなイーゼルマスクをつくる。
イーゼルマスクというのは、プリントを焼くときに、印画紙を固定するものだ。いま使っているものは半切までしか固定できない。
まず2枚の板を全紙の印画紙より一回り大きなサイズで切る。
つぎに、あらかじめ計算しておいたイメージサイズを2.5ミリ厚の板の中央に書いて、切り取る。
木口を紙ヤスリでていねいに磨き、つや消しの黒スプレーを吹く。

台板になる12ミリ厚の板には印画紙サイズを中央に書き、四隅にコーナーテープを貼る。きちきちに貼らずに、少しあそびを持たせておく。
切り抜いた板と台板とを布テープで貼る。
じっさいのプリント作業のときは上の板と印画紙の間にすき間ができないように、大型クリップで止めて密着させる。



このイーゼルマスクと同じ大きさの板(12ミリ厚)をあと2枚用意している。
それは完成したプリントを挟んで、その上に重しを置いてフラットにするためのもの。
この黄色のカラーコートしたベニヤ板は、建築現場でコンクリートを打つときの枠組みに使うもので、防水の効果もある。
家具職人のSIGN氏に教えてもらった。



いま思案中なのは、全紙用の現像バットを風呂場にどう置くかという問題である。とにかく大きいので置く場所がない。
全紙でプリントを焼こうと決めたときに、バットは階段状に三段重ねにしようと考えていた。
ところがきのう届いたバットを湯舟のフタをして置いてみると、もう1枚だけでいっぱいだ。つまり階段状にするほど前後に余裕がない。
垂直に三段重ねにするしかないのだが、そうすると一番上の現像バットはいいけど、その下の停止と定着のバットに印画紙を入れるのがやっかいだ。
もっとなにかいい方法はないだろうか。そもそも風呂場で全紙を焼くなんて、無理な話なのか。

巨大プリント完成

2013年07月08日 | Photography


プロカラーラボに頼んでいた個展用のプリントが仕上がった。
大きさが104×155センチもある巨大なものだ。
以前、ロール印画紙を使って自分で焼いたことのある巨大プリントに匹敵するくらいの大きさで、予想以上のクォリティにおどろいている。
いったい1枚いくらでしょうか?

このプリントは銀塩の印画紙ではなく、インクジェット用のペーパーを使っている。
つまりデジタルプリントなのであるが、原稿はわたしが手焼きした11×14インチのプリントをスキャンしている。そのスキャン代だけでも2,500円かかる。
それからインクジェットのプリントは擦れるとキズが付きやすいので、表面にマット系のラミネート加工を施している。それが5,500円。
プリント代と合わせるとすごい値段になった。恐ろしくて書けない。

個展でこの巨大プリントを10枚くらい展示しようと考えていたが、予算がまったく合わないので計画を変更。
全紙の印画紙を自分で手焼きして、20×24インチのフレームに入れて展示しようと思っている。枚数は15~20枚くらい。
できればこの巨大プリントも1枚だけだが展示したいなあ。
本来はこのプリントをGボードという板に接着して展示するらしいが、その加工代もバカ高いので、今回は直貼りを考えている。

さあ、全紙プリントの準備に取りかかるか。

ニコンF5のシャープな視線

2013年06月30日 | Photography


きょうは朝から暗室。
午前中、ニコンF5で撮ったフィルムのベタ焼きをつくる。良さげなカットに印をつけて、午後からプルーフプリント。
最近はプルーフでも11×14インチのRC紙で焼く。どうせ本焼きで11×14インチのバライタ紙で焼くのなら、同じ大きさの方がいい。
オリエンタルのペーパーはどちらも感度がほぼ同じなので、RC紙で焼き方を追い込んでおくと、本焼きはすぐできるのだ。

この間、ステートメントやらコメントをまとめてるおかげで、自分の撮りたいイメージがはっきりしてきた。
撮影していても「よし、これは撮れたぞ」という手応えみたいなものがあるので、ベタ焼きから選ぶときも迷うことが少ない。
上の2枚は先週撮ったものだが、すごくシャープな感じで撮れていると思う。
この場合のシャープ感とは、レンズの解像力のことではない。画面全体に漂う撮影者の視線の緊張感のようなものだ。
動いているボートを撮ったカットはもちろん、水たまりのカットにも一瞬のシャッターチャンスを感じさせるものがある。
ウェブ上ではわかりにくいかもしれないけど、11×14インチのプリントだと、それがトライXの粒子から伝わってくる。
この粒子感こそがデジタルでつくるモノクロプリントと決定的にちがう点だ。(デジタルでもノイズを入れれば同じ感じに加工できるけど、そこまで擬似フィルムみたいなことをするなら、逆にデジタルで撮る意味がわからない)

それから、今までライカでスナップしていたが、M型ライカのファインダーというのはわりとアバウトである。
ファインダー内にフレーム枠が浮かんでいるものの、じっさいに写る範囲はもう一回り広くて、思いもかけないものがフレームの中に写っていることがよくある。
一方、ニコンF5のファインダーは視野率100%で非常に見やすい。
見えている部分がきっちりと100%写るわけだから、ファインダーでしっかり構図を作っておけば、プリントのときにトリミングをする必要がない。
このファインダーのおかげで撮影時の緊張感を生んでいるのかもしれぬ。

きょう一日で8枚のプルーフプリントを得る。

写真になにを写そうとしているか

2013年06月23日 | Photography
2夜連続の長距離バス強行軍はさすがにこたえた。いまも腰が痛い。
そのうえ東京駅から西新宿まで約10キロ、芝浦から竹芝まで約5キロ歩いたので、けっこう足にきた。
なので、きのうは一日のんびりして、疲れを癒していた。

きょうは朝のニュースを見たあと、ランニングへ。なぜか足は軽い。いい調子で10キロを走る。
午後からは小雨降るなか、作品を撮りにいく。
自分が撮りたいイメージってなんだろう、この写真で伝えたいことってなんだろうと考えながら撮影する。
いままでそんなことあまり考えずに、きれいな光やおもしろいものに反応して撮っていたけど、それだけでは作品にならないのだとだんだん気づいてきた。
写真になにを写そうとしているのか、もっと考えて撮らねばならないと思う。
いまさらなにを言ってるのかと笑われそうだが。



文章作成ゼミのあと、渡部さとるさんにブックを見てもらったのであるが、そのときにもらったアドバイスとはこうだ。

まず「REBORN」というタイトルは、すでにいろんなところで使われすぎているので、かえって自分の伝えたいことが伝わらない可能性があるということ。
たしかにそうかもしれない。あのトヨタのCMと重ねて見られるのはイヤだなあ。
それから「これは面白いかもしれない」というくらいの気持ちでブックに入れてしまった写真は、訴求力が弱いので逆に全体から浮いてしまう。「これこそがわたしの見せたいものだ」という強い意志のある写真をしっかり選んで入れるということ。
その弱い写真がどれなのかは指摘されなかったが、渡部さんの目にはそれが見えているのだろうな。自分で考えろということか。

プリントの焼きについては言うことはないと言われた。
つまりモノクロプリントの焼き方として、一定の水準には達しているということだと思う。
モノクロ作品をたくさん発表している渡部さんに、そう言ってもらえるとちょっとうれしい。多少リップサービスもあるでしょうが。
さいごに、秋にブルームギャラリーで写真展をする予定だというと、「ああ、あのギャラリーならきちんと見てくれる人がいるよね」苦しみながらでも5~6年は続けて写真展をすれば、きっと評価されるはずだから、がんばってください、とエールをいただいた。
今回で3回目だから、まだまだということかな。



写真というものは「撮るのがたのしい」なんて思ってるうちはまだまだだ。趣味ならそれでいいけど。
写真家と名乗るかぎりは、イヤでも撮りつづけて形にしていかねばならない。それくらいの覚悟がなければプロにはなれない。
なんか恥ずかしいことを書いているなあ、きょうは。