気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人10月号 同人のうた

2015-10-02 00:19:47 | 短歌人
一本の紐くろぐろと濡れながらうごめき出して蚯蚓となりぬ
(杉山春代)

まだ夜の領域にない水面にひらきはじめる蓮のはなびら
(猪幸絵)

或る秋は彼岸花咲く田居を過ぎ名を知らぬ山に入りゆきにけり
(酒井佑子)

月光(つきかげ)に虫の鳴く音もたかなりて扇風機しまふ一夏の果てに
(岡田幸)

八対二の割合で茂吉と啄木の影響を受けゐる小池光言ふ
(山寺修象)

病棟の五階のまどより見下ろせば最終電車はひかり曳きゆく
(関谷啓子)

透明な水が流れてゆく夢の水にわたしはわたしを流す
(高田薫)

ラウル・デュフィの海の色と決め花を買うわが誕生日雲ひとつなし
(木曽陽子)

頁繰るごとに近づく死はありぬ遺歌集を読む夏のいちにち
(加藤隆枝)

ああきれいキラキラふりくるあれはなに三歳(みつつ)のわれが見し焼夷弾
(竹浦道子)

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短歌人10月号、同人1欄より。

坂道の多き町なり風立ちてむかしのきみと擦れちがふ午後
(近藤かすみ)


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2 コメント

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Unknown (かすみ)
2015-10-05 00:07:36
さあどうでしょう。よくわかりません。

わたしの歌は、夏に長崎へ行ったときの一首でした。
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Unknown (teruo)
2015-10-04 23:05:05
透明な水が流れてゆく夢の水にわたしはわたしを流す  高田薫
坂道の多き町なり風立ちてむかしのきみと擦れちがふ午後 近藤かすみ

詩人にとっては、現実や時のながれこそ幻想にすぎないのかもしれません。
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