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徳川家康の生涯 「覇王の家」 読了!

2015年06月20日 23時04分00秒 | ⑮読書&映画(所感)

「覇王の家」 司馬遼太郎・作  上下二巻。

   徳川家康における生涯の生き様と、今川義元・織田信長・豊臣秀吉及び一門との関わりや、他勢力との狭間に有って権謀術数と智恵の限りを尽くしての戦略と戦術とを通じた生涯を追いつつ、時代と地域性とを浮き上がらせた評論集であり時代小説でもあった。

この小集団の地域性と於かれた歴史的環境の狭間で家康と徳川家歴代の性格とが形成され、約三百年間の体制維持を経て、遂には日本人自体の性格にさえ影響を与える結果となった。
・・・との論調があったが、一つの面白い視点で有るとも言える。

西部・尾張国(信長・秀吉)  
●濃尾平野という肥沃な農耕地に恵まれ、商業と交通がいち早く発達した地域
●先進的な功利主義社会が形成(尾張藩は派手好きで重商主義を推進。)
●新しいものを積極的に取り入れていった信長や秀吉のような柔軟なアイデアマンが多く輩出。
●織豊時代の絢爛豪華さと機能主義的で近代的な体質の元ともなった。
●開明的な尾張の兵は、利に敏く、利己主義で平気で主人を裏切る弱兵でした。

東部・三河国(家康) 
●山河多く、水の便悪く、五穀不熟国で乏しく、水はけの悪い痩せた台地が広がった地域
●或る意味、独創性は少なく、保守的な村社会の閉鎖性、新しいものへの嫌悪感、排他主義的な傾向性と、芸術への無理解、戦略性よりも情緒が優先。
●別の角度から言えば、農本主義・鎖国主義・権威主義・官僚主義・長い物には巻かれろ、お上には逆らうな!・・・との意識形成を為し、
●良く言えば、質素倹約、重農主義、共同体主義の集団となって、その後の日本人気質「勤勉・実直で、決して仲間を裏切らない!」
・・・とも言うべき日本人の反面が形づくられてきたとか?

確かに、
漁業・林業・農業・商業の夫々を生業とする地域住民の間には、永年の間に培われ育まれてきた生活習慣や生き様、生き方さえ違ってくるのは、已むを得ないことであろう。
其れ程、地域環境が人々へ与える影響は大きいとも言えるし、地域集団の中で生きていくと決めた人々にとっては、新しき発想は、有る意味、時に邪魔にさえなるのかもしれない。 

人々の生き方・考え方で、地域の生活環境が、殺伐としたものになったり、互いを労わりあい、助け合って生きて行くのが当たり前になったりする事も歴史の狭間と地域文化の歴史に学ぶことができる。

自然と環境と人々との関わりとは、
主客論で言えば「依正不二」とも言えるし、主観に重点を移せば「一身一念法界に遍し」との視点も成り立つ。
何れにせよ、「意志が未来を拓く!」として進みゆく中にこそ、周りの生活習慣や地域環境さえも変革しゆく方途と展望が開けてくる様な気がするだが?

   家康とその集団における要所要所での働きと、その結果が約300年の幕藩体制を維持し、一時的にせよ「農本主義」をベースとする日本人の意識さえも形成していった過程が、ある一面から理解できる一書であった。
寝る前の一時の楽しみであったが・・・いやぁ~結構面ろかったなぁ~。 
次は、なん読も~うかなぁ~?