3月16日(月) 『風雲児』 (白石一郎・著) 上巻読了 & 17日(火) 下巻読了。
伊勢山田の御師だった仁左衛門は、幼馴染の長九郎(後の太田屋・長崎番頭)に出会い貿易商として長崎へ、その後、御朱印船搭乗をキッカケに台湾(高山国)~シャムのアユタヤへと渡る。
シャム国王の厚い信頼の元、王朝の重要な地位にまで上り詰め、彼本来の性格、侠気と正義感も伴い、高砂族(台湾原住民)タカラン、シャム王国要人の娘、通訳の明国人の仲間達との出会いと別れ。
シャムでは、ソングダム国王に気に入られ、アユタヤ日本人町の頭領と国王親衛隊隊長を兼ねる。
当時のシャムは、西のビルマ(現ミャンマー)、東のカンボジア、安南(現ベトナム)の四方の王朝と領土争奪戦の戦国時代。 各国と欧州諸外国(スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダ等)との複雑な利害関係による合従連合と対立の歴史を辿りやがて近代植民地政策へと繋がっていく。
歴史的激動の狭間の中で、時代を生き抜いた一人の若者。 最後は、権力構造の鬩ぎ合いの中に巻き込まれ、生涯の幕を閉じるが、異国の地で地方の長(群長官か州知事に該当か?)にまでなり一時代の流れをつくった “風雲児” 山田長政の波乱万丈の物語である。
10代の若き頃に『我、一介の風雲児たらん!』・・・ってな事を本気で日記に書いとったなぁ~。
『冒険者たち』(アラン・ドロン&リノ・ヴァンチュラ)や『明日に向かって撃て!』(ポール・ニューマン&ロバート・レッドフォード)とかにワクワクしたり・・・
20代後半時、ヨーロッパ45日間プラリ一人旅時に、リスボンでエンリケ航海王子「発見のモニュメント」の前で、大航海時代の冒険者達に思いを馳せ1時間ほど佇んで、歴史の流れに思いを馳せたりとか・・・今は、遥か昔の事までが思い出される。
"動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し" と称された謂わば奇襲戦法の高杉晋作の様な生き様とは違い、常に粘り強く、正攻法の生き方をした冒険者との感強し。
冒険者や風雲児と共に、過ごすことができた寝る前のささやかな至福の一時であった。