いつの間にか納車→1000kmを超え、今日計器版を見たら約1100kmになっていた。
納車時から発生していた高速域でのステアリング振動は、初回点検の調整で治まった。次いで発生した加速時の右方向へのよれについても、2回目の調整でどうやら改善したようである。
ステアリング振動の原因は、新車時のホイールとタイヤのバランスに問題があったとのこと。バランスを取り直してもらい、解決。右へのよれについては、アライメントの調整が必要だったらしいが、これも工場での調整のあと現時点では再発していない。
このところ次第に新しいクルマに慣れつつ、こうした問題もいくつか発見し調整をお願いしてきた訳だが、先月21日の納車以来5週間が経った時点での、感想をいくつか述べようと思う。
◆ハンドリング
これはやはり納車されて多少距離を走らないことには分からないことだが、このC5V6はかなり繊細なハンドルさばきを要求するクルマである。運転感覚としては、センター付近の遊びがほとんどなく、微小な操作でクルマの向きが変わる。このこと自体は歴代のハイドロ・シトロエンにもまた通ずるのだが、それらとの違いは、クルマの方向が変わる際のリズムの違いである。
私の言葉で理解頂けるか不安であるし、間違った捉え方をしているかも知れないが、しばらく続けることにする。
私の記憶では、歴代のハイドロシトロエンの操舵への反応は、以下の通りであった。
1)高速走行中 : 微舵角による修正に敏感に反応。ただし駆動輪である前輪のみ敏感で、後輪は後からついてくる感覚。操舵に対してデリケートに反応はするが、クルマ全体の動きとしては鷹揚で、安定している。数値的なものだけでなく、こうした特性から極めて安心感の高い直進安定性を得ている。
2)コーナリング: 初期のロールは許すが(グラッ)駆動輪よりもはるかにストロークの長くソフトな後輪がロールに追従し、姿勢が一旦決まると、その後は極めて安定感のある定速旋回が可能になる。コーナリングにおける一連のリズムに慣れてしまうと、リラックスしながらハイペースを保つことが可能になる。結果としてある意味「速く走れる」クルマである。
ここで新C5V6について現段階で比較すると、
1)高速走行中 : 微舵角への反応は同様だが、以前に比べると前輪と後輪の役割分担が明確ではなく(実際にはそんなことはないかも知れないが感覚として)クルマ全体がスイーっと軽く向きを変えてしまう。安定性が悪いのか、というとそうではないが、とにかく感覚的に「軽い」のである。
2)コーナリング: 初期に切り過ぎてしまい、最後に戻し過ぎてしまう。もしくは、コーナリングの最初と最後だけ、操蛇が速すぎて修正を余儀なくされる。私の腕も関係するので一般論にはしにくいが、実際コーナリングでこのクルマに関しては「こうすれば」というコツを、まだ掴み切れていない。要するに、センター付近の微舵角に対するクルマ全体としての反応が速すぎるのである。旧C5を含めこれまでのシトロエンだと通用したマナーが通用しない。
今日も100kmほど日中乗ったが、感心したのはやはり乗り心地と静粛性である。そして右折、左折を含めコーナリングについては、ひとつコツがあるとしたら「切りはじめと戻し終わりには丁寧に、ゆっくりと」ということではないかと思った。でもコーナーが迫って来たら、ある程度早めに舵を当てたくなるのがハイドロ乗りの性であり、ハイドロシトロエンというのはある部分その感覚から全てが始まっていたわけで、抜け出すのは容易ではないと思われる。
ディレクショナルヘッドライトといい、このコーナリング特性といい、パワフルなブレーキ、6段AT、高剛性ボディシェル、反応速度のはやいハイドラクティブ3+。そうした全てが相俟ってこのような変化を必然的に生んでいるのだろう。C5は古典的なハイドロの乗り味を取り戻した、と言われるが、Xーハイドロ世代の各車と比べると新世代のクルマであり、その違いは乗り込むほど次第に明確に感じられる、ということだろう。
ところで聞くところによると、C5のサスペンションに対して、プジョー407のサスペンションは限界がかなり高いという。(確か海外のテストドライブでのレポートより。ESPの作動頻度がC5の方がかなり高かったとのこと)新しいC6は、ハイドラクティブの他に、駆動輪にダブルウィッシュボーン、リアサスにこの407に採用されたマルチリンク、可変式ショックアブソーバーを備えており、C5以上に内容が新しい世代のものになっている。その走行感覚は、もはや全くこれまでとは異なるものになっているのかも知れない。あるいは、そうした技術を使って「かつての」ハイドロ・シトロエンの走りを体感できるチューニングになっている可能性もある。私個人としては、今のところ後者の可能性はあまり高くないと思う。
※写真はC6の内装です。

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