昨冬から拙宅にて「繁殖」(結果論だが)に成功した形となっているオオクワガタ.遅まきながら飼育解説書やネットでの飼育ガイドを読んでいると、そこには意外なことが書いてあった.産卵前後に雌が雄を補食するという話である.肉食性の昆虫(カマキリ)やクモ等ではそのような例を知っていたが、クワガタはもっぱらクヌギの樹液をブラシ状の口器で啜るものだと子供の頃から信じ込んでいたので、産卵期の例外的な行動とはいえ、これは結構衝撃的だった.なんと愛好家の中には産卵を促すために、カブトムシ等の幼虫や蛹をタンパク源補給のための餌としてこの時期の雌に与えることもあるのだという.自然の摂理とはいえ、残酷ではある.
しかしよく考えてみるとこれからの時期、不快昆虫の筆頭に挙げられるあの「蚊」も、普段は草の露や果物の果汁などを吸っているが、産卵期にはタンパク質補給のため吸血するわけであるから、雌にとって産卵という行為はそれだけ大きな体力とエネルギーを必要とするということだろう.おそらく人間もまた然り、である.
さて、こうした新たな知識を得て、越冬→産卵、そして幼虫レスキューを経て既に半年以上同居させてきたホペイ夫妻を今更ながら別居させることにした.最終的にどうなろうとある意味自然に任せてこのまま放って置こうか、との思いも脳裏をかすめたが、やはりそのような事実を知ってしまうと放置することは出来ない.
蛹となったツシマヒラタ兄弟のために用意しておいた飼育ケースのうちの一つを使い、そこに、今日ホペイ(夫)を移した.突然に孤独となったその姿には、やはり戸惑いと共に哀しみのようなものが感じられた.しかし、喰われるよりは…いいのではないか.

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