ここまでハイドロシトロエンのことばかり書いてきて矛盾するようだが、ハイドロニューマティックサスペンション、及びアクティブサスペンション自体は今日、シトロエンの専売特許ではない。
日産もシーマで一時期油圧式アクティブサスを設定していたし、トヨタも昔から様々なアクティブサス、エアサス、油圧/エアサスなどかなり積極的にセリカからクラウンまでの車種に採用し続けている。
最近ではドイツ車がアクティブサスに本腰を入れていて、BMWの7シリーズ、ベンツS/CL/SL/Eなど上級クラスは本格的なものを備えている。
今流行の「動くヘッドライト」についても以前、ちょっと調べたことがあったが、サスペンションシステムもこれ同様、各社各様の名称と作動原理をアピールしている。何処がどう違うのか分かりにくい。そこで勝手に分類してしまうことにした。その上で、最新最高の(?)シトロエンであるC6について、現行の車種で比べられるものがあれば探し出そうと思う。
大雑把に分けるとアクティブサスペンションについては3つの要素がある。
1)ダンパー 可変ダンパー
2)バネ エアサス(ハイブリッド型もある)
3)スタビライザー 可変スタビライザー
BMW7シリーズでは、1と3が採用されている。可変ダンピングシステム、可変スタビライザーによるロールコントロール(低Gではロールせず、高G域では80%まで許容する)という仕組みである。これによりこれまでのBMWにない乗り心地と旋回時の安定性を両立させたと伝えられる(200kmのコーナリングで新聞が読める、らしい)。これはXantiaActivaのものと似ているように思える(Activaは2と3を備えた車である)。
ベンツの最新システムはADSとABCと呼ばれるものの併用型で、高度にアクティブ制御される1と2を備えた車になっている。アンチロールについては3ではなく、油圧で車両姿勢を制御する機構が備わっている。荷重の有無に関わらず車高を一定に保ち、高速域では車高を下げる。結果としてハイドラクティブ3と同様な機能を持っているが、信頼性はこちらの方が上か。ダンピングも4輪独立してリアルタイム制御しており(ADS)、これに油圧による車両姿勢のコントロール(ABC)が加わる。
こうしてみると、既に機能としては同等以上のものが実現されているようだ。そのような中でシトロエンの「ハイドラ3」の価値はおそらく・・
・比較的シンプルな機構で昔からこうした
サスペンション機能を実現していたこと
・比較的安価でそれを提供していること
・DS以来の伝統で独特のポリシーに基づいた
乗り味を獲得していること
といったところに今や集約されるのではないか。
C6はアクティブサスに関しては現状で考えられる1~3まで全ての機能を持つ車である。C6は可変ダンピングシステム、ハイドラクティブ、アンチロール機構を備えているとアナウンスされており、しかもそれらの設定パターンは16通りにも及ぶという。
そしてC6に1日の長があるとすれば、さらに「人に心地よいセッティング」「長い間に培って来た操安性と乗り心地の独特のバランス」「アクティブサスでありながらシンプルで独特な機構(スフィアや関連懸架など)によりアナログ的な乗り味を持っていること」という部分、つまり素材や縫製技術そのものではなく、結果として得られる着心地や細部のデザインといった感性の部分にあるのだと思う。
もしC6がBMW7シリーズやベンツCLに対して低価格でオリジナリティの高い上質な乗り味と着心地を提供できるのなら、それなりの訴求力はあるのではないか。伝えられるスペックを見る限り可能性は十分あると感じられる。
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