
TR-1000がオークションに出ていました。
乾電池の液漏れ品で状態が悪く皆さん手控えられたようで無事に落札となりました。
1台目と比べるとフロントパネルはいくらか奇麗です。
事前に分かっていた事ですが、内部は乾電池の液漏れで悲惨な状態で結構サビが…
乾電池ケース部 取り外した乾電池ケース
サビ落とし後、電池ケースの締め付け部などはアースが浮かないようにマスキングしてサビ止めにクリアーラッカーを塗る。
ケースはサビ落としをし、同じような色合いのスプレー缶塗料で薄く塗装をし本来の凸凹した感じを残しました。
水晶のカバー部はオリジナル色。
送信ユニット
50MHZ3倍オーバートーン発信2SC478、ドライバー2SC32、ファイナル2SC697の構成です。
2SC32は塗装タイプです。ハンダの熱を逃がすためかリード線(足)が長めに取り付けて有る。
中間周波増幅と低周波増幅のユニット
ミキサー2SA234B、IF増幅2SA49、IF増幅2SA49、検波1N60の構成です。
この中にリード線の切れ端が基板締め付けビスに絡まっていた。
錆び具合から見て組み立て当初の物と思われるが良く不具合に成らなかったものだ。
こちらは電力増幅の2SB178、こちらもリード線(足)が長めに取り付けて有るものだから曲がり接触しそうに。
IF部のトランジスター2SA234B、こちらもリード線にチューブが被せてある。
写真右側がクリコンのユニット
上部中央に逆接防止ダイオードが見える。
43Mhz発信2SA70、RF増幅2SA71、ミキサー2SA71の構成です。
変調トランスとクリスタル
最短距離で送信ユニットへ配線してある。クリスタルの追加が出来ないのでは?…
後に配線変更しクリスタル追加へ…
マイクの内部、スポンジが劣化してボロボロになっている。
全体をバラして清掃とプラスチック用コンパウンドで磨く
締め付けビスの所が2ヶ所折れていた。接着剤で修復したがイマイチ…
出力インピーダンス600Ωのトランス。
先の1号機マイクも含め、経年変化で硬くならないカールコードには驚きです。
送受信切り替えリレー、特に問題なかったが接点部分を磨こうと分解した。
電源側の接点形状(丸)とアンテナ側の接点形状が違っている。
この接点の再組み付けに苦労した。
何とか組み付けたがアンテナ側接点と電源側接点の切り替えタイミングが微妙に悪くなり別のリレーと交換することになった。
送受信切り替えリレーを交換、端子部分は熱収縮チューブで絶縁した。
固定はビスでは出来ないので両面テープを使用。
この機体は電源逆接ダイオードが付いていたが電圧降下の少ない手持ちのショットキダイオードに交換。
交換前 交換後
一部の電解コンデンサーを交換、そのうち全数交換しようと思い手配はしましたが後回しに…
交換する電界コンデンサー 交換後
ここで電源を供給してテスト開始
予めボリュームやスライドSWはCRCで汚れを強力洗浄しその後に接点洗浄剤で余分な成分を洗い流して有りましたのでガリ等の問題なしのようです。
ただし接点洗浄剤を使用するとボリュームシャフトの回転が重くなるのでシリコーンスプレーを軸部分に少量付けると良い。
出品者の方が「Sメーター針が振れっぱなし」と記述して見えたけど色々調べている内に問題なしと分かった。
この機種のSメーターはAGC電圧を検出して振らせているので電源投入と同時に上端まで振れて、信号が入るとAGC電圧が下がりそれに連動してSメーターも下がった来る。
Sメーターの目盛りが下側が59+になっている。(下側が電圧が下がる方向)
AGC電圧の変化を見ているので最近のSメーターと違い、針がノッソリと動く。
電源Onで信号無しで針が上端に振れている。(左目盛りでゼロ指示)
電源OFFまたは強力信号入感時の針位置
中央の抵抗320Ωを交換、写真は交換後
クリコン出力の所に有る発信止めの抵抗だと思いますが、回路図には無い抵抗です。
値が本来の3倍位に抵抗値が増えていたので本来の抵抗値の物に交換した。
クリコン部のコイルを調整したが最良点はほとんど変わらなかったのには驚き。
ダミーロードを取り付け送信テストです。
各コイルコアーやトリマーの調整で出力は1.0Wは出ているようです。
ただし変調は浅くイマイチです。
40年位前に購入の水晶が有ったので試したら正常に発信した。
送信基板への配線も余裕の有るように変更。
この機種は清掃が主と成り電気的には取りあえず正常のようでした。
苦労したのはサビ落としと送受信リレーの交換でした。