Amebaブログ移行の為に編集中で写真フルサイズの記事が重複しています。
皆さんご存じのようにCF-1980シリーズはCF-1980、CF-1980Ⅱ、CF-1980Ⅴと3タイプ有ります。
構造的には良く似ていますのでCF-1980を中心に他機種もおりまぜて記します。
発売後かなり経っているので普通に入手出来る物はまず正常動作する事は有りません。
電気系統およびメカ部分の整備は必須となります。
整備内容を動画でもUPしています。
https://youtu.be/HVtbXmB-QEo
スピーカーの外形形状が四角いのが前期型です。





ヘッドはギャップのスジが確認できる状態まで減った物は寿命です。
写真右側のヘッドはそのギャップのスジが見えますのでもう寿命です。
この状態でも録再生は出来ますが音質は良く有りません。

色々な洗浄剤や復活剤を試しましたがどれも一時しのぎ程度の効果しか有りませんでした。
スイッチを分解して見ますと結構な汚れです。どれも硫化して真っ黒になっています。
硫化=排気や温泉のガスなどに含まれる硫黄成分が銀(Ag)と化合し硫化銀(Ag2S)になることです。


固定接点側は「銅用コンパウンド」で磨き、荒れた接点面を綺麗にします。
擦動面にはコンタクトグリスを少量塗布致します。


昔、SONYのサービスマンが言っていました。反対に取り付けた事が有ると…
スイッチノブを直立したまま取り付けるとどちらに傾くか分からないので反対に付けることも有るようです。
だからいつもノブを傾けた状態で取り付けるようにしています。

取り外してサンハヤトの「接点ブライト」で処理して黒い硫化膜を除去します。
写真は処理前後の状態です。


ただし足が折り曲げて取り付けて有る物は足を伸ばすと必ず折れてしまいます。

取り外さなくても接点復活剤の吹き付けで問題無いようです。

この銀メッキリード線は経年の変化で例外なく硫化して真っ黒になって性能低下や故障の原因になっています。
それと同時に銀メッキが析出してイオンマイグレーションも起こしています。
このイオンマイグレーション部分を断続的に電流が流れる事によって「バリバリやジージー」ノイズの原因となっています。
写真はリード線の硫化とイオンマイグレーションを起こしているトランジスターです。

劣化品は新品に交換してますがバイアス抵抗の調整が必要です。
以前チューナー部2SC710を2SC1675に交換しましたがそのままでは感度不足でした。

このモールド抵抗は抵抗値の増大や割れなどで劣化している物が有ります。
劣化モールド抵抗はP型抵抗に交換します。
モールド抵抗の割れた状態です。


絶縁が低下して抵抗になっていますので受信出来ない状態になります。
皆さんもチューナー不具合の時はセラミックコンデンサー疑ってください。

TR8のベース電圧が「ゼロ」でしたのでIFTの断線を疑い交換したら直りました。

取り外しチェックすると劣化で容量の増大が見られます。
電解液が蒸発して電極間が狭くなって増大しているのか?


特に電源回路は使用していなくてもACコードが差して有ると常に稼働状態なのでなおさらです。
写真は交換した電解コンデンサー、右下の黒いのが高耐久電源用電解コンデンサーです。

CF-1980の前期型にはオーディオ基盤に半固定ボリュームが使用して有ります。
これが劣化すると「ボコボコ」と音が出ることが有ります。
この半固定ボリュームは交換または固定抵抗に交換する必要が有ります。
劣化した半固定ボリュームです。


ここのトランジスターもご多分に漏れず硫化しています。
取り外し性能チェックと黒い硫化膜の除去です。
速度調整半固定ボリュームは劣化して調整しにくいものです。
ここは調整のしやすい多回転型に交換です。
多回転型ボリュームは基板裏側にとりつけて有ります。
モーターのノイズをキャンセルするダイオードの劣化も有りました。
予防的にダイオードは交換するようにしています。

経年でハンダが劣化してクラック等が発生している事が有ります。
怪しそうな所は新しいハンダを追加しながら再ハンダをします。
以前、音がだんだん出無くなる不具合に遭遇しましたが、トランジスターを取り外して清掃して取り付けたら直ったことが有ります。
多分、ハンダが劣化して中途半端な導通不良を起こしていたのでしょう。

グリスの固着と余分なところに油が付着していいるためメカ部の分解整備も必須です。
CF-1980やCF-1980Ⅴはわりとグリスの固着が少なめです。
CF-1980Ⅱは固着が多目で特にブレーキ部の固着が酷く大変です。
稼働シャフト部分のグリスが乾き接着剤の様になってこびり付いています。
ここを分解できるかどうかがメカ部分整備の成否を握っています。






モーターが逆回転、これには驚き!
マグネットの圧入がゆるく使用中にマグネットが回転してS極とN極が入れ替わって回転が逆になった様です。

モーター内部のコンデンサーが断続的にショートしている様でした。




手持ちの現物で確認するとCF-1980前期型のシリアルNo.117721番以前は押しボタン部に摩耗がみられる。
リンクの当たり部分が少ないのが原因です。
このようなのを入手した場合は部品取り品から幅の広いリンクと入れ替えを行っています。


まずは電源電圧12Vの確認とチューナーへの電圧調整です。
チューナー電圧は4.6Vです。調整は半固定ボリュームで行います。
この半固定ボリュームも劣化している場合は交換です。
下写真の左下隅が交換した半固定ボリュームです。
CF-1980の前期型ではこのボリュームは無くて抵抗の選択になっています。


左写真はCF-1980の後期型、右写真はCF-1980Ⅱのチューナー部です。


いままで遭遇した故障と対策を簡単に記します。
1)ジージー、バリバリ音等のノイズ(CF-1980、Ⅱ、V)
トランジスターのイオンマイグレーションを除去
トランジスターの不良→交換
パワーICの不良→交換(CF-1980Ⅴ)
2)ボコボコ音(CF-1980前期型)
AF回路の半固定ボリュームの劣化、整備または交換
その他ヘッドの磁化でも発生(CF-1980シリーズ全般)
消磁する。
3)音量可変が出来ない。音が小さい(CF-1980Ⅴ)
ボリュームのブラシが脱落、CF-1980Ⅴはブラシの固定が特殊なので発生しやすい。
これは部品取り品と交換
4)レベルメーターが半分位振れる。(CF-1980シリーズ全般)
4-1)切り替えスイッチが汚れて端子間の絶縁が低下→スイッチ分解整備
4-2)IFTの絶縁低下でTRコレクターの電圧が検波回路に流れ込む為→IFT交換
5)ラジオが聞こえない(CF-1980、Ⅱ、V)
チューナー部のセラミックコンデンサーの劣化→交換
チューナー部のコイル部のハンダ劣化で導通不良→再ハンダ
感度が悪い。トランジスターや検波ダイオードの劣化→交換
バーアンテナの線がハンダ付けの所で断線→再ハンダ
6)モーターの回転ノイズが発生
サーボ回路のダイオード劣化→交換
モーターの不良→部品取り品に交換
7)モーターが回転しない
電流制御トランジスターの不良→交換
8)テープ走行不具合
グリスの固着等→メカ部の分解整備、
9)音がこもる
ピンチローラーの不良でテープが蛇行している。
ピンチローラー交換
10) テープを再生すると消去される。
切り替えスイッチの汚れで端子間の絶縁が低下して消去ヘッドがOnになる。
切り替えスイッチの分解整備
11)テープ再生時擦れるような音がする。
誤録音防止の金具が変形してキャプスタンプーリーと接触している。
金具の変形を修正する
12) ダイヤル面の針が動かなくなる。
ダイヤル糸を掛けているプーリーのシャフトが折れている。
ストレート部の有るスクリューをタッピングしてシャフト代わりにする。

LINE INジャックの接触不良なので何回かジャックを抜き差しすると直る。
14)録音時消去されないで前の音が残る。
バイアス発振回路の不具合かと思いユニットやコンデンサーを交換してみたけど直らず
結局、消去ヘッドを交換したら直りました。
15)FMの時にチューニングメーターが振れない。
FM側の検波ダイオード不良、ガラスが破損、もう一方も亀裂が…

最初はスイッチの接触不良かと思いましたが、テスターを当ててみるも問題なしです。
スライドボリュームの端子に追加半田すると良くなったり駄目になったりで不思議な現象です。
回路図を見るとスライドボリュームのカシメ部が接触不良で導通していないのだと気づきました。
カシメ部も酸化していて取り外し取り付け時の半田の熱で接触不良になったようです。
部品取り良品に交換で良くなりました。

スピーカー交換で音が出るようになりました。
18) 音が微妙にひずむ。
カップリングコンデンサー等を疑り交換しましたが改善せず。
最終的にパワーTRを交換したら直りました。
交換したパワーTRのhfeは正常で、hfeだけでは判断出来ないようです。

スピーカー交換で正常になるのでスピーカーが問題ですね。
スピーカーの外形にサビが発生しているので内部もサビが発生していると思われます。
分解してみると予想通り内部がサビていました。
コイル側にもサビが…



指針がプラスマイナスどちらかに振り切れている場合はスプリング部分の断線で修復不可

※ビスは反対側にも有ります。
この時、指針をテープで留めて中心がズレないようにする。
※起こし過ぎると指針の中心が外れますので注意が必要です。

マイクユニットの不良でした。
ユニットの交換で直りました。

多少のパリパリはレトロ感が有って気にならないのですが盛大に出る個体が有ります。
原因はバリコンのローター部がアース側にブラシで接している部分が酸化または硫化して接触不良になっていると思われます。
対策は分解整備ですがこれは大変です。


調べると安定化電源部のツェナーダイオードが不良でした。
ツェナーダイオードに振動防止の接着剤が塗布して有ります。
これの品質が良くなくリード線が酸化腐食して不良に成ったようです。
CF-1980ではこの接着剤がモールド抵抗のリード線を腐食してモールドの割れが散見されます。

中間周波数トランスのコンデンサー割れでした。
部品取り品から移植で音が出るように成りました。



対策はハンダを取り除き洗浄後再ハンダしました。
