最前線の育児論byはやし浩司(Biglobe-Blog)

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(3)離婚問題

2010-03-03 07:00:59 | Weblog


【はやし浩司よりHYさんへ】

●離婚

 こうした問題は、なるようにしかならない。
また(そうなる)ときは、本当に、自然と、(そうなる)。
水が高いところから低いところを求めて流れていくように、(そうなる)。
たとえば離婚にしても、「離婚する」とか「しない」とか、がんばっているときは、離婚な
どしない。
言い争っている間は、離婚などしない。
「子どもはどうする」「親はどうする」などと騒いでいるときも、離婚などしない。
本当に夫婦が離婚するときは、ごく自然な(流れ)の中で、離婚していく。
そのときは、子どもの姿も、親の姿もない。
もちろん夫婦の間の会話も途絶え、「話し合っても、無駄」という状態になる。
たがいにサバサバした状態で、夫婦は離婚届に署名し、押印する。

●干渉

 で、改めてHYさんからのメールを読みなおしてみる。
1年前にいただいたときには感じなかった重みを、今は、感ずる。
しかしこれメールだけで、返事を書くことはできない。
夫婦にはその夫婦にしかわからない、深い事情がある。
いくら想像力を働かせても、そこにはかならず限界がある。
このことは反対の立場を経験してみると、よくわかる。

 私もいろいろな経験をした。
けっして平穏、無事な人生ではなかった。
そうした中で、あれこれと私に意見を言ってくる人がいた。
こちらの事情を表面的な部分だけを見て、そこに自分の解釈を加えてくる。
しかもわずか数歳年上というだけで、ものの言い方が説教ぽい。
偉そうな顔をして、「浩司クン、君はねエ・・・」と言ったりする。
あのとき感じた不快感は、今でも忘れない。
ガラス板を、つめ先でひっかくような不快感と言ってもよい。

 そういう私を知っているから、こうした問題、つまり夫婦の問題にかぎらず、
家庭内の問題については、私は、首をはさまないようにしている。
もちろん相手から相談があれば、話は別。
が、それでも一方的な話だけでは、
何とも答えようがない。

 このHYさんにしても、私はHYさんから相談を受けた。
おそらくHYさんは、自分につごうの悪い話は書いていない。
あるいは自分でも気がついていない問題が、ほかにもあるのかもしれない。
正当に判断しようと考えるなら、HYさんの妻の話も聞かなければならない。

 が、それはさておき、メールからもわかるように、HYさん夫婦は、現在、
危機的な状況にあることだけは、よくわかる。

(1) 寝室は別々で、家庭内別居であること。
(2) 妻の体に触れただけで、はげしく拒否されること。
(3) ささいな会話が、そのまま爆発的に、夫婦喧嘩になってしまうこと。
(4) 意思の疎通も、ままならないといった状態、など。

●がんばる当事者たち

 私は若いころ、アメリカ人の離婚率は高いと、よく聞かされた。
しかし現在、アメリカ人の離婚率も、日本人の離婚率も、それほどちがわない。
それだけ生活が欧米化したともとれる。
が、ともに心のブレーキがはずれたことも、理由のひとつと考えてよい。

 日本では、女性の側が、がまんした。
「離婚は恥」という文化性も、まだ色濃く残っていた。
それに離婚したばあい、女性のほうが決定的に不利な立場に置かれた。

 一方、アメリカでは、宗教的な制約から、離婚したくても離婚できない夫婦が多くいた。
今もそうなのかもしれない。
もしその制約が緩めば、離婚率は、もっと高くなるかもしれない。
ともかくも、(離婚)イコール(悪)という考え方は、今では通用しない。
日本では、女性ががまんする時代は、終わった。
5組に1組は離婚する状態である。

●男親

 それはそれとして、私も「男親」の1人として一言。

 男親というのは、仕事をすることで、家族への義務を果たそうとする。
また仕事をしていれば、家族への義務を果たしていると思いやすい。
しかし残念ながら、(仕事)の力は弱い。
安定した仕事をしていればしているほど、家族は、それを(空気)のように思う。
つまり男親が自負しているほど、家族は、それを評価しない。
私も、よく言われた。
「パパは、仕事ばかりしている」と。

 そういう状態になると、男親の苦労話など、家族にとっては、愚痴になってしまう。
HYさんも「家族のために……、がんばって……」という言葉を使っている。
しかしそうした(思い)というのは、家族には通じない。

 もっと具体的には、現在、親に感謝しながら高校へ通っている高校生など、さがしても
いない。
大学生でも、少ない。
つまりそういう幻想をもたないこと。
またそういう幻想に、しがみつかないこと。
バートランド・ラッセルも言っているように、(親として、すべきこと)はする。
しかし常にその限度をわきまえる。

●拒否

 メールを読むかぎり、なぜHYさん夫婦が離婚しないかという問題より、なぜ
夫婦でいるかということのほうが、理解できない。
仲がよくても、セックスレスの夫婦はいくらでもいる。
一方、セックスをしているからといって、夫婦仲がよいということにもならない。

 が、「妻の体に触れただけで、はげしく拒否される」というのは、ふつうではない。
妻のほうに、何か、理由があるのだろうか?
夫のほうに、何か、原因があるのだろうか?
しかしもしそうだとするなら、HYさん夫婦は、他人以上の他人になっている。
私がHYさんだったら、1日だって、そういう状態には、耐えられないだろう。

●子どもの問題

 こうした離婚では、いつも子どもが問題になる。
しかし一度離婚を決意した夫婦は、子どもの姿さえ、見えなくなる。
子どものことはどうでもよくなるというのではない。
「離婚することが、子どものため」というような考え方になる。
言い換えると、HYさんは、まだその段階ではないということになる。

 だから以前、このメールをHYさんからもらったとき、私は返事に、こう書いた。

「離婚するときは、未練を残さないようにしたらいい」と。
未練を徹底的に、燃焼させる。
燃えカスが残らないほどまでに、燃焼させる。
未練が残った状態では、離婚はできない、と。
HYさんのばあい、その未練は、どの程度、残っているのだろう・・・?

●私たちのばあい

 実のところ、私たちも、2010年の1月、かなり危機的な状況に追い込まれた。
危機的といっても、たがいの間に、何か問題が起きたというわけではない。
が、三男が、私たちから完全に去ったのを知ったとき、たがいの間を結びつけていた、
(かすがい)が、消えたかのように感じた。

 「さみしい」と感ずる私。
「何でもない」と割り切るワイフ。
その間に、私は遠い(距離感)を覚えた。

 「あなたは親意識が強すぎるのよ」と、ワイフは、私を批判した。
「勝手にやりすぎただけよ」と、ワイフは、私を責めた。
それでワイフを、遠くに感じた。
それでいつものように、「お前なんかとは、離婚してやる」
「今度こそ、離婚しましょう」となった。

●下田にて

 で、今、私はこの原稿を、下田の白浜海岸そばにある、ガーデンビラ白浜という
ホテルで書いている。
星は4~5つの★★★★。
夏場に訪れたら、最高!、というペンション風のホテルである。
金儲け主義のホテルとちがって、経営者の個性が随所でキラキラと光っている。

 そのホテルに、今、ワイフといっしょに泊まっている。
これから食事をしたあと、貸し切り風呂に入ることになっている。
風呂からは、太平洋が一望できるとか。

 おかしな夫婦で、一方で離婚を口にしながら、こうして旅行している。
「なぜついてきた?」とワイフに聞くと、「あなたの体が心配だからよ」と。
「どこでぶっ倒れようが、ぼくの勝手だ」と言うと、「迷惑するのは私よ」と。

 この正月、狭心痛(?)なるものを、数回経験した。
どういうのを狭心痛というのか知らないが、胸がしめつけられるように、痛かった。
以来、ときどきその痛みを感ずる。

 あるいは、ひょっとしたら、逆流性胃炎かもしれない。
2年ほど前、一度、それになったことがある。
そのときも、胸全体が焼けるように熱く感じた。

●1月30日

 で、今、そのワイフは、どこかよそよそしい。
どこか他人ぽい。
「簡単には仲直りしませんよ」という態度である。
そういう態度を見ていると、私のほうも、「そっちがそっちなら、今度こそ、
本気で離婚してやる」と考える。

 しかしこういう状態で、離婚するのもたいへん!

仕事の問題、財産の問題、それに老後の問題。
ワイフは「親戚がどう考えようと、私には関係ない」と言うが、そういった問題も
ある。
それを考えると、気が重くなる。

 まあ、しばらくは様子を見たほうがよいのかも・・・?
ワイフもそう言っている。
ふだんはやさしいワイフだが、喧嘩状態になると、貝殻を閉ざしたように、頑固に
なる。

●離婚

 ・・・ということで、どんな夫婦にも、問題はある。
問題のない夫婦はない。
それぞれがそれぞれの立場で、悩み、苦しみ、懸命にそれと闘っている。
HYさんにしても、そうだろう。
「今ごろは、どうしているだろう?」と考える。
が、私のできることは、ここまで。
私たち自身でさえ、四苦八苦している。
どうしてそんな私が、HYさんのような人の相談に乗ることができるだろうか。
おこがましいというよりは、その一歩手前で、おじけづいてしまう。

 ただ先にも書いたように、今どき、離婚を重大視するほうが、おかしい。
結婚があれば、離婚もある。
もともと(性的関係)で結びついた人間関係だから、壊れるときには、壊れる。
友情や親戚関係とは、中身がちがう。
深みも、ちがう。
だから「離婚は悪」という前提で、ものを考えてはいけない。
人生は短いが、やりなおしは、何度でもできる。

 子どもの問題にしても、離婚そのものは、子どもにはほとんど影響を与えない。
与えるとしたら、離婚に至る家庭騒動。
夫婦喧嘩。
それが長ければ長いほど、子どもに与える影響は、大きい。

 離婚するとしても、「明るく、さわやかに」(某テレビタレント談)ということになる。

●補記

 先ほど、ホテルの露天風呂に入ってきた。
ちょうど満月が、頭上高く昇り、太平洋を、美しく照らし出していた。
今までいろいろな露天風呂に入ってきたが、ここ、ガーデンビラ白浜のそれは、最高!
時間割で、家族風呂として使うことができる。
先ほど星は4つと書いたが、料金も勘案すると、5つの★★★★★。

 伊豆の下田のほうへ来ることがあったら、一度、このホテルを検討してみたらよい。
小さいがプールもある。
夏場には、どう開放されるかどうかは知らないが、眼下には、コバルトブルーの
入り江も見える。

 さて私のワイフ。
一方で離婚を口にしながら、私が「今度、金沢(石川県)へ行ったら、前泊まった
ホテルと同じところにしようか?」と言うと、「うん」と。

 おかしな夫婦である。
本当におかしな夫婦である。
私自身がそう思っているのだから、まちがいない。
こういう感じで、もう40年も、いっしょに、過ごしてきた。

(注)「ガーデンビラ白浜」・・・室内の案内書では、「ガーデンヴィラ白浜」と
なっている。
電話は、0558-22-8080。
住所は、〒415-0012 静岡県下田市白浜2644-1。

 建物はやや古いかなという感じだが、どこか明治時代の洋館を思わせるような
雰囲気。
アガサ・クリスティの推理小説に出てくるような宿屋(Inn)という感じ。
大ホテルにありがちな垢抜けたサービスも悪くないが、私は久しぶりにくつろいだ
ひと時を過ごすことができた。
とくに露天風呂は、最高!、の一言。
よかった!

 私は今、そのホテルの306号室で、このエッセーを書いている。

【ガーデンヴィラ白浜】

●もと物産マン

帰りの車の中で、ホテルのオーナーが、三井物産元社員だったということを知った。
「父は、商社マンでした」と、その女性は言った。
娘さんだった。
「バンクーバー勤務を最後に、商社を退職し、あそこにホテルを買い求めました。
8年前のことです」と。

 オーナーの男性が、昭和22年生まれということは知っていた。
チェックアウトするとき、立ち話だったが、そういう話になった。

私「商社って、どこですか?」
娘「三井物産です」
私「エッ、物産マン?」
娘「そうです」
私「私も、そうでした」

娘「あなたもですか?」
私「大学は……?」
娘「東大です」
私「東大の……?」
娘「理2、化学です」と。

 オーナーの名前は聞いていなかった。
それに理2といえば、恩師の田丸先生が当時、教授をしていた。
そこにいた人が、東大を卒業し、私と同じ年に三井物産に入社した。

私「先にそれを知っていたら、話がはずみました」
娘「そうですね」
私「残念です。とても残念です」
娘「父は、化学部で、化学プラントを担当していました」
私「はあ、私は繊維です」
娘「繊維ですか?」
私「そうです。でもサラリーマンがいやで、物産をやめました」と。

 私は早口でまくしたてた。
車はすでに下田の街の中を走っていた。
瞬間、Uターンして、もう一泊しようかと考えた。
しかしその思いは、車が止まったとき、消えた。

私「だったら、ずっと営業畑だったんですね?」
娘「そうです」
私「私も、入社直後に、営業へ回されました」
娘「そうですか……」と。

 三井物産という会社では、内部では、自分たちのことを「物産マン」と呼んでいた。
それに社員は、「管理」と「営業」に分かれていた。
商社マンの世界では、営業マンこそが、商社マンということなる。
その営業マンの中でも、海外へ出るのは、約30%。
物産マンの中でも、エリート。
70%は、国内営業ということになっていた。

 もっと話をしたかった。
私の過去の中でも、三井物産時代だけが、スッポリと抜けてしまっている。
つきあっている友人もいない。
それだけに残念だった。

私「海外勤務だったということは、正社員だったんですね」
娘「そうです」
私「あそこには、いろいろな社員がいましたから」と。

 あわただしい会話だった。
ふつう「物産マン」というときは、正社員をいう。
子会社から派遣されてきた嘱託社員は、「物産マン」とは呼ばない。
内部ではかなり差別的に扱われていた。

 そのホテルのオーナーは、サラリーマンがいやで、現在のホテルを買収して、
自分でそのホテルを経営するようになったという。
その気持ちは、よくわかる。
わかりすぎるほど、よくわかる。
だから、よけいに残念だった。

私「よろしくお伝えください。また行きます」
娘「おいでください」と。

 父親とともに、海外をあちこち回ったらしい。
日本人にはない、センスが光っていた。
私たちは何度も頭をさげて、その女性と別れた。

 書き忘れたが、下田へは、講演でやってきた。
講演の内容は、下田の有線放送で、流されるとか。

●HYさんへ

 HYさんからのメールについて書いているうちに、離婚から、下田の話に脱線して
しまった。
ついでにガーデンヴィラ白浜の話になってしまった。

 で、このエッセーの結論。
気が腐ったら、旅行をする。
すてきなホテルに泊まる。
温泉に入る。
とたん離婚旅行が、再婚旅行に変わる。

 よかった!
明日からまた仕事。
がんばるぞ!

 HYさん、ありがとう!
ガーデンヴィラ白浜のみなさん、ありがとう!
ついでに、我がワイフ、晃子、ありがとう!
これからもよろしく!

 本当によい旅だった。
そうそう最後になったが、講演の主催者の下田地区教職員組合のみなさん、ありがとう!
(2010-01-31)

(はやし浩司 離婚 再婚 ガーデンビラ白浜 白浜温泉 ガーデンヴィラ白浜 ガーデ
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