最前線の育児論byはやし浩司(Biglobe-Blog)

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●アルツハイマー病

2008-05-27 10:17:19 | Weblog
●アルツハイマー病(Alzheimer's Disease)

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昨日、書店で、『アルツハイマー病にならない!』
という本を買ってきた。
井原康夫・荒井啓行著、朝日新聞社刊、定価1100円
+税、という本である。

仕事の合間に、一気に読んだ。
読んで、いろいろ考えさせられた。

そのひとつ。
「アルツハイマー病も、生活習慣病のひとつと考えて
よいのではないか」ということ。
つまり日々の生活の過ごし方で、ある程度、予防できる
ということ。
もう少し正確には、仮にアルツハイマー病になったと
しても、発症、進行を、遅らせることができるという
こと。

本書の中では、「アルツハイマー病にならない生活」として、
つぎのようなことをあげている。
そのまま箇条書きにさせてもらう。

(1) 多量の飲酒は、脳萎縮を起こす。(アルツハイマー病につながるということではない。)
(2) 魚を食べると、アルツハイマー病になりにくい。
(3) 抗酸化物質を多く含む食事に心がける。
(4) 抗酸化ビタミンを含むサプリメントを摂取する。(ビタミンC、Eなど。)
(5) ビタミン12と葉酸の欠乏を防ぐ。
(6) 地中海料理がよい。
(7) カレーを食べるとよい?
(8) 緑茶は、アルツハイマー病を予防する?
(9) 教育歴は高い方がよい。
(10) 社会的なつながりをもつ。
(11) 有酸素運動が望ましい。
(12) 昼寝をする。
(13) ストレスを減らす。

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本書の中では、いくつかの症例が紹介されている。
それを読みながら、「あの人もそうだった」
「あの人の現在の様子に似ている」と思った。

つまり、それくらい、読んでいて切実感があった。

私もそろそろ危険年齢。
本書によれば、加齢とともに、Aβ42(老人斑)が
でき始め、やがて神経原繊維変化が起こり、神経細胞の
脱落が始まるそうだ。

そのあと、軽度認知障害が始まり、アルツハイマー病へと
つながっていく。

「80歳で臨床的に認知症になるとすると、50歳くらいから、
老人斑ができ始めている考えられる」(P23)とある。

アルツハイマー病というのは、ある日突然なるという病気ではない。
20~30年という長い時間をかけて、徐々に、そうなっていく。
つまり生活習慣病のひとつと考えてよいということらしい。

なお本書によって、いくつか誤解していたこともわかった。

(1)喫煙とアルツハイマー病

喫煙が、パーキンソン病の抗危険因子(つまり、タバコを吸うと、
パーキンソン病になりにくい)ということはよく知られている。
が、アルツハイマー病については、危険因子だ、そうだ。
(つまり、タバコを吸うと、アルツハイマー病になりやすいということ。)

(2)アルミニウムは危険因子ではない?

以前、「アルミニウムはアルツハイマー病の危険因子である」という
説が、巷(ちまた)に流布したことがあった。
私もそのとき、その説を信じ、アルミニウム製の調理器具を処分してしまった。
しかしアルミニウムとアルツハイマー病とは、直接的には関係が
ないということらしい。

だからといってアルミニウムが安全というのではない。
ウサギの脳に、塩化アルミニウムを接種した学者がいた。
で、そのあとウサギの脳を調べてみたら、「とぐろを巻いた
繊維構造がいっぱいつまっていた」(同書)という。
そこでその学者は、「神経原繊維変化」の原因物質をつきとめた
と思ってしまったらしい。

それが「アルツハイマー病、アルミニウム原因説」へとつながっていった。

が、やがてこの現象は、アルツハイマー病による神経原繊維変化とは
別のものとわかったそうだ。
で、現在、アルミニウムによるこの現象は、「アルミニウム脳症」
と呼ばれ、アルツハイマー病とは区別されているという。

なお、本書の巻末には、アルツハイマー病の診断テストがついていた。
MMSEテスト法というのが、それだが、「今日の曜日が言えるか」
とか、「季節がわかるか」といった程度のもの。

で、そのあと、私は、子どもたちと、こんなゲームをした。
称して、「逆唱ゲーム」。
MMSEテスト法の応用というか、もう少しレベルをあげたもの。

(テスト1)

ランダムに、5つの数字を言い、相手に、それを逆唱させる。
たとえば「3・8・6・3・9」を、「9・3・6・8・3」と。

(テスト2)

5文字程度の言葉、たとえば「ゆ・き・だ・る・ま」と言い、相手に、
「ま・る・だ・き・ゆ」と、それを逆唱させる。

これがスラスラとできるようなら、問題はないということらしい。

【症例】

私の知っている人に、こんな人がいた。
当時、年齢は55歳。
女性である。
なおアルツハイマー病では、女性患者のほうが、男性患者より多いそうだ。

で、ある日、突然、その女性から、電話がかかってきた。
話を聞くと、孫(当時6歳)が、ゲーム機器に買ってあげたという。
で、「どんなゲーム(ソフト)を買い与えたらいいか?」と。

私はゲームには、詳しくなかった。
「あとで調べて報告します」ということで、その電話は切った。
私はその足で、近くにあるソフト専門店に足を運んだ。

数日後、その女性に教室で会ったので、「何か、買いましたか?」と
聞くと、「ハア~?」と。

私「ゲームは、どんなものにしましたか」
女「孫が、ほしいと言ったものにしました」
私「どんなゲームですか?」
女「知りません。孫が勝手に決めましたから」と。

が、私が驚いたのは、その1、2週間あとのこと。
私が再び、その女性に、「先日、電話をいただいたあと、どんなゲームが
いいか、それをレポートに、まとめてみました」と話しかけると、その女性は、
こう言った。

「私、先生に、いつ、電話をしましたか。電話などした覚えはありません!」と。

かなりきつい言い方だった。

似たような症例が、「アルツハイマー病にならない!」(前述)の中にもある。

『……(その女性は)本が好きで、毎晩、寝る前に本を読んでいた。
しかし「おかしい」と気づいたのは、65歳のとき。
寝る前に読んでいた本だったが、どこまで読んだか、忘れてしまった。
前の晩まで読んだ本の内容を忘れてしまった。

また息子の妻から、税金の申告に必要な書類を渡され、つぎの日に、
「書類はすみましたか」と聞かれたが、何のことかわからず、
書類を渡されたこと、その書類をどこにしまったかということ、
何を書き込んだかということを忘れてしまった……」(同書より、要約)と。

アルツハイマー病による(もの忘れ)は、ふつうの(もの忘れ)とは、
中身がちがうようだ。
(忘れる)というよりは、(記憶の断片そのものが、欠落する)と
いった感じになる。

で、先の女性の話にもどる。

その女性は、周期的に、私に電話をかけてきた。
「孫の相談で……」ということだったが、内容は、夫や、息子、息子の嫁
にまで及んだ。
が、そのつど、一方的に話すだけ。
アルツハイマー病の患者は、話し方が、かったるくなるというが、
その女性は、早口だった。
相談といっても、綿々とつづく、グチ、またグチ。
私が何かアドバイス的な意見を口にすると、ときに、それに激怒する。

「先生は、私の話を何も聞いていないのですね!」「ちゃんと、人の話は
聞いてください!」「この前、ちゃんと、説明したでしょ!」と。

が、次回の電話では、前回の電話の内容を、まったく覚えていない。
私が「あの件は、どうなりましたか?」と聞いても、「ああ、あれね。
解決しました」で、終わってしまう。

話の内容に、連続性がないばかりか、一貫性がない。
で、事件が起きた。

その女性の孫が通っている幼稚園で、何かの会費を預かったのだが、その会費を
紛失してしまったというのだ。
で、息子の嫁がそれを問いただすと、「私は、受け取っていない」の
一点張り。
そこで家族そろって、病院へ……ということになったという。

「アルツハイマー病にならない!」の中の女性についても、こうある。

『……夫からは、「最近、考えることや行動が貧困化している。以前は通院の
帰りにデパートで買い物などしていたが、今は、それがない」と。

また息子の嫁からは、「もの忘れが進んでいる。それを指摘すると、
顔色を変えて、怒り出す。食事の支度を頼んでも、味噌汁をつくってくれる
くらい」と……』(同書より、要約)と。

(1) 連続性の欠落(話の内容が飛躍し、つながりをもたない)
(2) 一貫性のなさ(「OK」と言っていたことが、突然「NO」になる)にあわせて、
(3) 生活態度の貧困化
(4) 突然の激怒、混乱も、アルツハイマー病の特徴に加えてもよいのでは?

こうした様子が、その人に見られたら、まず専門医に相談、ということになる。

それにしても、私は、この本を、ハラハラ、ドキドキしながら読んだ。
「明日は、我が身」という内容の本だった。


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