2018年9月19日
街はやや陰り 芳醇な雲は 残照によって輝き 緑は色濃くなる今頃。
9月の日没前。
母が亡くなって2ヶ月が過ぎた頃 毎週のように執り行われた葬いも一旦 終わり
人々が 入れ替わり立ち寄っていた部屋も 静かになって・・・季節は 秋になっていた。
ちょうど 今日のような空 今のような時刻。
父が 母が愛したサンルームで ソファに身を沈め 庭の木々を見つめるでもなく 空を
仰ぐでもなく まるで その場には存在しないかのような”無”になって 腰掛けていたのを
思い出す。
気配を消してるような・・・。
紛れもなく「孤独」そのものだったわ。
3歳で生みの母に死なれ 継母に馴染めず 4人の弟や妹にも 心通わせられず
実母の実家に預けられ 孤独な少年期を過ごし成長した父にとって 母は愛する妻であると
同時に母親のような存在だった。
その妻に 先に逝かれ どれほど衝撃を受けただろう・・・・。
しかも 母はs字結腸癌で亡くなり 父は大腸専門外科医だった。
私は 父が どんな行動に出るか 注意を払わないといけない!と思ったことを覚えている。
38歳で 62歳の母を亡くした私には 悲しいと同時に 戦慄を覚えていた。
だから 連日 父のそばを 離れなかった。
でも 寡黙な父の内部を うかがい知ることは出来なかった。
そんな日々のある日 こんな詩を見つけた。
「私は 孤独だ
私は 自由だ
私は私の王だ」
たった3行の詩。
それは 父にふさわしいと思い 父に捧げるべきと思い 伝えると
サンルームのソファに座った父は しばし 見つめた後 「そうだな!」と。
陰った表情は判らなかったけれど 私の想いが 少し 伝わったかな・・・と。
その夕方が まさに今日のような 秋の夕暮れ。
butterrice