ドイツ通信No.101
2009年10月15日
エスリンゲンは既に冬。
今年は つい2週間程前までは 未練の夏みたいだったのに。
今は 日中も冷えて10℃に満たない。夜はマイナス。
Stuttgartで 開催中の Volksfestの移動遊園地のネオンが 真っ暗な夜に 舞い
美しい。
でも 昼間の喧騒もなりを潜め 風もさほど寒くなく 金木犀の甘く悩ましい香り
見上げると 薄黄色の輪郭のハッキリした月・・・日本の秋の風情 とは全然違う。
比べる方がおかしいけれど 風情という言葉は 日本の秋を指しているのではないかって
思う。
その秋 9月から新学期がスタートするドイツ。
ゲッ!とするカラフルな 真新しい リュックサックランドセルを 背負った小学生が
歩いてる。
彼らに混じって Volkshochshule (市民大学) の新入生達も。
民間に比べて 安い授業料で 様々な講習を受ける事が出来る。
語学はモチロン フィットネス ヨガ 太極拳 ダンス 絵画 料理 旅行 イケバナ・・・
大人から子供まで 実に多岐に渡ってメニューが用意されている。
ヨガ 特にハタヨガ は一体何コースあるの?っていう位多い。
このVHS(Volkshochshuleの略)でヨガを習っていたドイツ人が 是非、“本場”の
人に習いたい!って私のクラスに来たことがある。
何言ってんの? アタシャ 日本人よ、インド人じゃない!
って言ってるのに・・・ちょいと見学して 「やっぱ、本物は違うわぁ~!」って!
だから 違うってば!って 説明しようとする私に 「いいのよ!これで。彼らの目から見れば インドも日本も おんなじよ。あれだけ有難がってるんだから・・・」って押しとどめた 日本人がおりました。
さよかぁ!なら・・・。って私。
その後 そのドイツ人は 数回 私のクラスに来て 指圧も 熱心にご習得。
「実は 私 ××で フィットネスの講師をしてるの。これで バッチリ!
ヨガも 指圧も教えていくわぁ~!“本場”の人に習ったんですもの!」って目を
輝かせて退場。
オラ、知らねぇ。
と、まあVHSでは 念仏唱えたり チ~ン鳴らしたり まるで仏教そのままのヨガも
大ありのようで。
いくらヨガには 多くの流派が存在するからって言っても 仏教とは違うもの。
なにやら 宗教では?とスレスレの危うい一面も見えて そういう神秘性がまた
人を 惹きつけるのは判るけど ヨーロッパの人間から見ると アジア 東洋はひっくるめて 神秘のベールの中。
日本人からは 理解出来ない面を求めて 勝手に 答えを 見出して行く。
ちょっと 困って でも 心と体の健康法には違いないから これでいいのダ!にした私。
で、私はドイツへ来てまもない9月 英会話のコースを 受講することに。
まず初めに 受付で 英語を何年習ったか?
う!参った!これは言いたくない。
言っちゃおしまいよ。
だって だって 実は私、小学校からなのら。
12年+3年+3年+4年=キャァ~~~22年!!!!!
ウッソォ!
言えない。絶対言ってはなるものか!
で、3年と。
「じゃあ ちょっと会話してみようか!」って 英語の先生登場。
グググ・・・・コココ;;;;
「ああ、判りました!このクラスに行ってください」。
毎週火曜日 午後6時半から 1時間のクラス。
先生はイギリス人で とても 優しい雰囲気に満ち 緊張しまくりの私に
いたいけな子供に注ぐような眼差しを むけてくれる。
しばらく会話(英語で)すると 「貴女の英語力は 他のドイツ人より レベルは高いわ。でも 授業は 英語&ドイツ語で進めるから 頑張ってね!」
ホレ、来た!
で、初日 私の英語力は高い!と自分に言い聞かせ しっかり 頭を上げて授業にのぞむのだぞ、私。
ところがイキナリ。
生徒数は20人。
全員 英会話クラス受講の動機を 英語で スピーチすることからスタートした。
いつか ニューヨークに行きたい。
仕事に必要
アメリカにあこがれてるから。
英語の歌詞を理解したい!
・ ・・・・・
・ ・・・・・
と、私の番。
グッ、私が話そうとするより早く 一人の若いドイツ人男性が「貴女はドイツ語喋れるの?」
いいえ
「なら ドイツ語が先じゃないか!」語気強く。
その言葉に クラス全員 (私以外は全員ドイツ人) そうよ!そうよ!
むしろ 泡食ったのは先生。
「モチロン、Frau Butterriceは ドイツ語も 習い始めましたよ。」って か細い声で 反撃。
こう来ると思ったぜ!
こんなことに ひるんでたまるか!
日本人の心意気を とくと 見るが良い!
でも、元気良かったのはそこまで。
だって 部屋の中が暗い・・・9月の午後6時半なのに 電気ついてない。
あんたたち これで 平気なのかい?
こっちは 老眼始まって そうじゃくても 大変なんす。
おまけに 先生が 白板?黒板?に書くアルファベット
解読に手間取る。
U? V? N? T? J?
さらに 説明はドイツ語。
皆がスンナリ判って ゆとりの表情になる時 私ひとり ドイツ語の辞書引いて
悪戦苦闘!
せめて 電気つけてくれぃ!
これじゃあ 元気もしぼむわい。
でも 月謝一括前払い・・・ここで止めるわけにいくもんか!
ただ会話中の語彙のもち数は 私の勝ちぃ!
文法だって 書く文字の美しさにいたっては 私は 彼らの 敵じゃない。
でも (又出た!) 彼らの度胸の良さ 発音の見事さには 敵わない。
たいしたこと喋ってないのに(ほんとだもん!)まるで ペラペラみたい。
先生が 毎回色々なテーマで 授業を進める。
一度 クリントン大統領の写真を 掲げて 何でも 言ってみてって。
その途端、女性達が ノリノリで 卑猥な声上げて 口々に セクシー!キヤァー!!!
私 ビックリ!先生も。(こんなに受けるとは・・・かな?)
丁度 クリントン大統領のセックススキャンダルの時だった。
(それにしても 長いわ・・・ドイツ暮らし・・)
ね?日本人には 想像できない反応するの。
授業が始まる前 ハンバーガーかじったり コーラ飲んでいて
先生入場でも そのまま続行。先生も気にしない。
立ち上がって 挨拶しようとしたのは 私だけ。
立ち上がったものの 所在投げに 再び腰降ろした私。
「貴女は ○○に行ったことが ありますか?」と言いながら
すばやく 先生が 色々な国の地名を入れて 次々 指名する。
全部行ったことがあるのは私だけ。
徐々に 明らかに 皆の視線が 刺さりだした。
イケマセン!
“加減”ちゅうもんをせな!
パスポートも持ったことがなくて このエスリンゲンから出た事もない人が殆ど。
駐在員の妻って 恵まれてるのだ。
主人の会社では 何年か前からは ドイツ語の受講料も 1年間は払って貰えるようになったし 喋れなくても 仕事に差し支えるような事はなく クビにもならない。
でも 移民が多いドイツでは 移民に限って 3ヶ月間だけ 格安の授業料で 学べる。
たった3ヶ月
その後は 即 仕事場に行き 日々実践していくしかない。
言葉を話す事が出来るということが 仕事 生きる糧に直結してるのだ。
それに比べて 駐在員の妻は 何年も 習い続けることが可能。
主人の休みの時には ヨーロッパ各地に 旅行する事だって出来る。
そりゃあ 異国で暮らすということは 想像つかない苦労 ストレスだけど
期限を切られて 掘り出される不安はない。
第一、 帰る国 場所がある。
これは 大いなる安心だ!・・・・うん!
butterrice