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📚読書備忘録📚
(自己評価★★★★★)+泣ける物語
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2022-11-08 | 山本周五郎

 

山本周五郎
『ちいさこべ』★★★★

 

背表紙NO「や 2 25」
思えば新潮文庫メインで読み進めていた。
裏表紙の膨大なる書籍群を毎度眺め、ど れ に し よ う か なと。

今回は中編4編

江戸の大火と記載があり、先日読んだ『柳橋物語』同時代かと思い手に取った。

 

--------(抜粋)

 

江戸の大火ですべてを失いながら、みなしご達の面倒まで引き受けて再建に奮闘してゆく大工の若棟梁の心意気がさわやかな感動を呼ぶ表題作
藩政改革に奔走する夫のために藩からの弾圧を受けつつも、真実の人間性に目を見ひらいてゆく健気な女の生き方を描く『花筵』
人間はどこまで人間を宥しうるかの限界に真正面から挑んだ野心作『ちくしょう谷』など、
中編の傑作4編を収録

 

--------

 

・花筵(はなむしろと読)★★★★

陸田(くがたよ読)

 

---

 

「さむらいは自分や自分の家族のためだけに生きる訳にはいかない、この世に生きている以上さむらいには限らない、人間はみんな自分の家族の他にも負わなかければならない責任と義務をもっている、私たちはいまそういう責任の一つを果そうと努力している、藩の御政治のためでもあるし、もっと多く領民ぜんたいの幸不幸に関わることなんだ」

 

---

うむむ 武士道・・

 

題名の「花筵」はどういう意味かと思いきや・・中盤ぐらいに判明

少し『柳橋物語』に似ている雰囲気
女子ががんばって道を切り開こうとしているところ、天災に見舞われるなど。

「——山が焼ければ親鳥や逃げる身ほど可愛いものはない」唄ごえが響く。胸にこだまする。

 

 

表題作の
・ちいさこべ

一本気な江戸っ子?気性な主人公 男気溢れる棟梁!よっ!

 

最初の花筵の尾が引いていて、どうしても身が入らない感じだった。

 

 

・ちくしょう谷

「人間はどこまで人間を宥しうるかの限界に真正面から挑んだ野心作」

考えさせられた一作
大体の通り一遍な話なら憎んでしまうところを「宥す」という、
もしかしたら復讐のチャンスを探っているのか?とかあらぬ考えまで。

 

この作品を完成させるのに苦心させられた周五郎さん
要した時間は四か月
(解説抜粋)「ああ骨が折れた、これじゃあ、とても商売にならない」と嘆息したそう。

 

 

・へちまの木

「へちまの木」これは主人公の口癖で・・(笑)

よいところの武家のおぼっちゃんが厳しい現実に打たれ、絶望するお話
その目線の先にある市井の人々の暮らしぶりが、描写細かに伝わってきた。
育ちの良さと世間知らずな若者の苦悩?がここにある。

 

 

 

 

 

 

 

 

****************************

新潮文庫 山本周五郎(ver.2、ver.3(新装版)がある)
収集がついている内に纏めてみた。

 

「や ver.2 NO.4」 『柳橋物語・むかしも今も

 

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山本周五郎『柳橋物語・むかしも今も』★★★★★+--------(抜粋)幼い一途さで答えてしまった「待っているわ」という一言によって、一生を左右され記憶喪失にまで追いやられて...

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「や ver.2 NO.8」 『小説 日本婦道記

 

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山本周五郎『小説日本婦道記』★★★★★すっかりハマってしまった大御所山本周五郎うちらの周りでは「周五郎」呼ばわりですが(^▽^;)「周五郎沁みるわ~」友達か?『赤ひげ診療譚...

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「や ver.2 NO.17、NO.18」 『ながい坂㊤』『ながい坂㊦

 

 

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山本周五郎『ながい坂㊤』★★★★管理会社さんに『中国行きのスロウボート』を貸したら、その交換分として渡された本(一応何系希望?と聞かれ時代小説と答えてはいた)おぉ・...

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山本周五郎『ながい坂㊦』★★★★勢いに乗っていたけど、途中で宮部みゆきの三島屋シリーズにつかまってしまった(^▽^;)静かな夜に少しずつ読み進めてゆく。全くブレない主水正...

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「や ver.2 NO.20」 『ひとごろし

 

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山本周五郎『ひとごろし』★★★★★周五郎熱はまだ冷めません🔥物騒な題名だけどこちらは会社のコチョイス図書館予約本装丁に笑ってしまった。同時進行に宮部みゆきの『蒲生亭事...

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「や ver.2 NO.29」 『町奉行日記

 

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山本周五郎『町奉行日記』★★★★続々周五郎さんこちらもお昼休みに本屋さんでGET標題作に三番館っぽく安楽椅子探偵の走り!?なんて思ったり。--------(抜粋)着任から解任ま...

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「や ver.2 NO.31」 『人情裏長

 

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山本周五郎『人情裏長屋』★★★★何だか男手一つで苦労している案配な表紙哀愁が漂ってますな。山本周五郎あまりに書籍が膨大過ぎて、まずは題名やら気になる作品から読み進め...

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「や ver.2 NO.35」 『あんちゃん

 

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山本周五郎『あんちゃん』★★★★★+続々と読み進めてゆきます山本周五郎こちらも同時読書の彼女チョイス『柳橋物語・むかしも今も』『ひとごろし』予約中--------(抜粋)妹に...

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赤ひげ診療譚』と『さぶ』は新装版にて。

 

以上 現状10冊(まだ未更新が1冊有)

****************************

 


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2022-11-04 | 山本周五郎

 

山本周五郎
『楽天旅日記』★★★★

 

短編、中編が続いていたので長編をチョイス
膨大な書籍群の中でも長編は少なめ。
ただ『樅ノ木』あたりは最後に残しておきたいから、楽しそうな雰囲気な『楽天旅日記』を。
今現在じゃ「楽天で予約して行った旅日記」みたいに感じるけど(笑)
今回は先走り単独読みです。

 

--------(抜粋)

 

大吉田藩七十万石の正嫡順二郎は、四歳の時、側室一派の陰謀によって廃嫡され、国許で幽閉同然の生活を送る。ところが、二十四歳になった時、世継ぎとされていた側室の子が突然死亡し、順二郎は隠密裡に江戸表へ迎えられる事になるが……。
お家騒動の渦中に投げ込まれた世間知らずの若殿の眼を通して、現実政治に振り回される人間たちの愚かさとはかなさを諷刺した長編小説

 

--------

 

おかしみがあり、ついつい笑ってしまう。
以前読んだ『町奉行日記』系
周五郎さんはこういう滑稽ものを書かせても上手いのです。
キャラクター作りも人柄が出ていて、こういう人っているよねとうなずかせる。
ホント幅広な作家さんだなと感心させらる。


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山本周五郎『町奉行日記』★★★★続々周五郎さんこちらもお昼休みに本屋さんでGET標題作に三番館っぽく安楽椅子探偵の走り!?なんて思ったり。--------(抜粋)着任から解任ま...

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P365 最後の父との対面 その言葉の重みが沁みる(やっぱり沁みる場面がある)

---

 

「‥‥‥大吉田へ帰るがよい、出来ることなら市井に隠れて、自分の好むままに生きるがよい、眼前の事にとらわれるな、いま眼の前にある事は、やがてみな亡びてしまう、愛も憎しみも、善も悪もいかなる事業も芸術も、‥‥‥なにもかも亡びて、塵になってしまうのだ、‥‥‥なにものも亡びることから逃れることは出来ないのだ」
順二郎は父の言葉をすなおに聞くことができた。この席は冷たく、石のように堅くという表現にも、実感がこもっていたし、権勢と繁栄をめぐる紛争の煩わしさもわかった。

 

自分の経験した不幸を子に経験させたくない、人間らしく生きてゆくことを望んでいるのだ。

 

彼は初めて「父の愛」というものに触れたと思った。

 

---

 

順二郎は死んだのだ。

 

 

 

次、次と周五郎を読むのが止まらない。
読書が楽しくて仕方ない。そんな秋の夜長です。

 

昨日メルカリポイント期限前ってことで『ならぬ堪忍』と『あとのない仮名』GET

 

 

 

 

 

 

 

 

明日は(と言うか夜中から)栃木まで真夜中ドライブ
早朝から皇海山へ行って来ます。
すかいさん スカイ 空 素敵な響き。
それもクラッシクルートに挑戦です。どきどき。



大朝日岳を越える山行になりそうです。危険個所多々
ついつい「行きます!」と言ってしまった(^▽^;)好きなくせに~💚

体力がある内にチャレンジしてゆきたいです。

ベテランなお友達から得れるモノは大きいと思う。


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2022-10-26 | 山本周五郎

 

山本周五郎
『ひとごろし』★★★★★

 

周五郎熱はまだ冷めません🔥
物騒な題名だけどこちらは会社のコチョイス
図書館予約本 装丁に笑ってしまった。



同時進行に宮部みゆきの『蒲生亭事件』、『密室黄金時代の殺人』
そこに先日読んだ阿部和重と伊坂幸太郎共書も+
江戸時代から、昭和の二・二六事件、近未来の日本へと移り変わる。

 

--------(抜粋)

 

 

藩中きっての臆病者と評判をたてられた若侍が、それを逆用し奇想天外な方法で誰も引受け手のなかった上意討ちを果すまでを描いた「ひとごろし」、“無償の奉仕”という晩年最大の命題をテーマに著者の人間肯定がみごとに定着した「裏の木戸はあいている」をはじめ、戦前の作品から最晩年の表題作まで、“武家もの”“岡場所もの”“こっけいもの”等々の代表的短編10編を収める。

 

 

--------

 

 

・壺

「禅問答みたいで笑えました。」
今までにないパターンかな。心理を読み取れ。
標題の壺は何処~と前半戦

 

 

・暴風雨の中

先日読んだ『柳橋物語』を彷彿とさせる場面展開
同じ時をして逃げずに死のうと覚悟を決めた男がいた。

 

 

・雪と泥

恋愛の駆け引き 騙すオンナと騙されるオトコ
そうね・・全てとは言わないけど裏表がないのは男子の方が多い!?
一途な想い
女子寄りの感情を持つ人が身近にはいるけど。

どういう結末であるにしろオンナは怖い!

バカを見たね。

 

 

・鵜

江戸時代でもキャッチアンドリリース🐟殺生せず。

待ち人来たらず・・

 

 

・女は同じ物語★★★★
(「講談倶楽部」昭和30年1月号)

 

---

 

「ひと口に申せば、きれいな侍女でも付けておけば、広さんももう二十六ですから、女に興味をもつようになるかもしれないでしょう、いくら堅苦しく育っても男はやはり男でございますからね」

 

---

 

——温雅な軀つきだな。

 

---

 

「男でも女でも、相手が好きになると誰かに似ているように思うことがよくある、——人間は性分によって、それぞれの好みの型がある。だから、好きになる相手というのは、どこかに共通点があるんだろう、」

 

---

最後の父との会話が絶妙(笑)

 

 

・しゅるしゅる

この短編集は城代家老が多く出てくる気がする。
何かと逸話を省略するくだりがおもしろい(笑)

 

---

 

「やっぱりお江戸育ちはしっかししていらっしゃるんですね、お一人で来て、御自分で注文なすって、召上って、ゆうゆうとお帰りになるんですもの、わたしたちなんぞ真似もできやしませんわ」

 

——誰だって真似ができるものか。
江戸にだってそんなことをする娘はそういやあしない、と万之助は思った。

 

---

しゅるしゅるは蛇ではなかった(少しネタバレ?(笑))

 

中々微笑ましいお話でした。

 

 

・裏の木戸はあいている★★★★
(「講談社倶楽部増刊号」昭和30年11月)

 

---

 

「樹が腐りだしたら根から伐るがいいさ」
「彼は樹じゃあない、人間だよ」
「だからなお始末が悪い」と久之助は眉をしかめた、「樹ならはたに迷惑は及ばさないが、腐った人間はまわりの者までも毒する」

 

「人が不幸になってゆくということは、単にその人間の問題だけではなく、環境や才能やめぐりあわせなど、「いろいろな条件の不調和ということもある―—彼は傷ついた人間だし、私は幸いに傷ついてはいない、私は自分が無傷でいて、傷ついた人間を突き放すことはできない、それは私にはできないことだ」

 

---

 

「あの人たちにはわからないだろうかれね、自分で現実に飢えた経験がなければ、飢えがいかに辛いかということはわからないものだ」

 

---

 

周五郎が晩年の最大のテーマとしていた(解説より)
〈無償の奉仕〉

恐れ入ります・・

 

 

・地蔵

まるでドリフの掛け合いのよう(ある意味旬なネタ)

しかし最後はあっけなく。

 

 

・改訂御定法★★★★★
(『文芸朝日』昭和37年12月号)

詰腹を切るとは?(切腹かと思うけど・・)

詰腹とは - コトバンク

 

中々読めないオトコ直衛 大物ぶりがうかがえる。

---

 

「もう一本」と岡倉がおじぎをして云った、「お願いします」
「いやだ」直衛は他の四人を見た、「ほかに誰か出ないか」

 

---

 

「——武家に生れた男子は、およそ七歳にして切腹の式をまなぶ、そのとき彼はその家の子ではなく、藩家の臣に加えられるのだ、もはやおのれというものはない、身も心も藩家に捧げ、いったん大事に当面すれば一命を賭して責任をはたさなければならない、七歳にして切腹の法をまなぶのはそのためだ」

 

---

 

「私は祖父から、こういうことを云われました」と直衛は云った、「——侍も人間であるからには、人間としてのあやまちや失策のないことは望めない、けれども、侍としてゆるすことのできないものが二つある、——一つは盗みをすること、一つは死にどきを誤ること、この二つは侍にとって、理由のいかんにかかわらずゆるすことはできない、ということでした」

 

---

どんどん出てくる秀逸な作品

 

 

標題の
・ひとごろし

「偏耳録」を参照・・これは本当か嘘か?(というか作り話か?)
ついつい検索しちゃうこのご時世であります。

「誰か来て下さい」、ひとごろしです、ひとごろし」

まるでオオカミ少年のような・・ドリフってて思わずはははと笑ってしまった。
周五郎さん最高です。

 

 

 

 

 

 

(予約投稿)
東京ドームです(^▽^)/♪


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2022-10-20 | 山本周五郎

 

山本周五郎
『柳橋物語・むかしも今も』★★★★★+

 

--------(抜粋)

 

幼い一途さで答えてしまった「待っているわ」という一言によって、一生を左右され記憶喪失にまで追いやられてしまう“おせん"の悲しい生涯を描いた「柳橋物語」
愚直な男の、愚直を貫き通したがゆえにつかんだ幸福を描いた「むかしも今も」
いずれも、苛酷な運命と愛の悲劇に耐えて、人間の真実を貫き愛をまっとうした江戸庶民の恋と人情を描き、永遠の人間像をとらえた感動の二編

 

--------

こちらは中編二編からなる一冊
短編集が多い中貴重な中編です。

巻末に原田マハの一文有
思えば原田マハに手を出していないわたし。
お友達の薦めで『楽園のカンヴァス』の冒頭を読んだのみ。


周五郎熱は冷めません🔥
膨大なる書籍群から選んだ一冊はクリンさんのブログからメモした本です。

 

「柳橋物語」感想~山本周五郎 - クリンの広場

 

「柳橋物語」感想~山本周五郎 - クリンの広場

クリンたちが、やなぎばし(柳橋)をめざした・理由それは、たん(単)にすみだ(隅田)川をこえたかったから、というだけのことではありません。(クリンは、「梅花亭」で...

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・柳橋物語

 上記掲載させていただきました<(_ _)>
 これは涙なしでは読めません・・一体何度泣かされてる?

 

---

 

 

「それは今にはじまったことじゃあないのさ」と源六は穏やかに笑う、「‥‥‥どんなに結構な御治世だって、良い仕事をする人間はそうたくさんいるもんじゃあない、たいていはいま幸さんの云ったようにな者ばかりなんだ、それで済んでゆくんだからな、けれどもどこかにほんとうに良い仕事をする人間はいるんだ、いつの世にも、どこかにそういう人間がいて、見えないところで、世の中の楔になっている、それでいいんだよ、」

 

 

---

 

 

自分がふしあわせな生れつきで、これからもだんだんと不幸になり、いつも泣いたり苦しんだりしながら、寂しいはかない一生をおくるんだ、そういう風に思えてならなかった。

 

人はたいていな環境に順応するものなのだから、

 

 

---

 

桃の湯=あせもに効く

 

 

---

 

 

「人間は調子のいいときは、自分のことしか考えないものだ」源六は涙をながれるままにしてそう続けた、「‥‥‥自分に不運がまわってきて、人にも世間にも捨てられ、その日その日の苦労をするようになると、はじめて他人のことを考え、見るもの聞くものが身にしみるようになる、だがもうどうしようもない、花は散ってしまったし、水は流れていってしまったんだ、なに一つとりかえしはつきあしない、ばかなもんだ、ほんとうに人間なんてばかなものだ」

 

 

---

 

人の想いは儚いね。

時は元禄(1688-1704)
第五代将軍綱吉の時代

華やかでありながらも市井の人々にとってはとても苦しい時代でした。
そこに天災が次から次へと襲い掛かる・・

 

 

---

 

 

「よくわかるわ、幸太さん、あなたは本当におせんを想って呉れたのね、——庄さんがお嫁さんと歩いているのを見たとき、あたし軀をずたずたにされるような気持だったの、苦しくって苦しくって息もつけなかった、‥‥‥胸が潰れてしまいような苦しい辛い気持ちだったわ、幸太さん、あなたの云って呉れたことが、そのときはじめてわかったのよ、——あなたの苦しいといった気持が、辛かったと云った気持がどんなものだったか、そのときはじめてあたしにわかったのよ」

 

 

---

信じて将来を約束した人に最後に裏切られ、そこで改めて気づく想い。

 

また通勤時に読んでしまったがため、目がうるうる潤いまくってぽとり。。

 

 

 

********

 

・むかしも今も

 不器用で上手く世間と馴染めない主人公直吉を巡る物語

 

---

 

 

職人たちのどなり声をあびながら、彼は外に出た。そして傘に当る雨の音を聞くのといっしょに、あとからあとから涙が出て来て止まらなかった。

 

―—そうだ、清次の侮辱は決して不当ではない、自分はそういう塵溜から育ってきたのだ、腹いっぱい喰べ、温たかく寝られるだけでも有難いと思わなければならない、がまんしよう。
直吉は涙を拭きながらそう呟いた、これがおれの持って生まれた運なんだ。

 

 

---

そしておかみさんとの別れ

突然の親方の吐血、卒中、最後に頼まれた「後見」

 

 

---

 

 

——わかったよ、まあちゃん、おまえに嫉妬をやくなんて間違いだった、おれはあの頃から、まあちゃんの一生をまもろうと思っていた、悲しみや苦しみを防いで、おまえが一生しあわせであるように、まもってゆこうと思ってたんだ、‥‥‥それをつい忘れて、おまえを恨んだりするなんて、——勘弁して呉れ、おらあやっぱりとんまで鈍なやつだったよ」

 

 

---

どこまでも一本気な直吉
ため息ものです。

 

 

---

 

 

——あのひとも可哀そうなのよ。
まきの言葉のしみじみした調子が、いかにもそっくり清次の正体を示しているようんだ。直吉はまた深い溜息をついた。

 

「——人間はそれぞれ弱いところや痛いところをもっている、お互いに庇いあい助けあってゆくのが本当だ、そうだ、あいつも悲しい男なんだ」

 

 

---

賭博から足を洗えない夫清次に対してどこまでも真摯になるまき
その言葉を真摯に受け止めどこまでも信じようとする直吉
どんなに改心しようと努力?しているかよめない清次
結局は首が回らなくなる。

上方に去る清次
不在の間に襲う地震 家が崩壊しそこでまきに起こる不幸

 

---

 

 

「みえない、なんにも、——直さん、あたしなにも見えないのよ」
「見えないって、おまきさん、眼、眼がみえねえのか」
「なんにも見えないの、なんにも、まっ暗だわ」 
直吉は茫然と、まきの顔をみまもった。

 

 

---

おいおい・・周五郎さんどこまで落とす~!!

 

 

はい。こちらにも泣かされました。。周五郎さんマジ沁みますわ。
沁みる沁みると繰り返しているけど、本当に心を衝かれます。
現実に戻されて(通勤時に読むことが多いため)ぼんやり上手く馴染めない時も。

 

 

---

 

 

「あたしのことを本当に心配し、あたしのために本気で泣いて呉れたのは、この世の中で直さんたったひとりよ、——眼が見えなくなってから、初めてそれがわかったの、なんにも見えないまっ暗ななかで、じっと坐って考えているうちに、だんだんそれがはっきりしてきたわ、‥‥‥眼の見えるうちには気もつかないようなことが、見えなくなってからはよくわかるの、——あのひとを良人に選んだのは眼が見えたからよ、見えない今は声だけでわかるの、‥‥‥なにもかもよ、直さん」
「———」
「むかしも今も、あたしにとっては直さんひとりだった、これからもあたしには直さんだけだわ、‥‥‥ねえ、そう云ってもいいわね、直さん」

 

 

---


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2022-10-10 | 山本周五郎

 

山本周五郎
『あんちゃん』★★★★★+

 

続々と読み進めてゆきます山本周五郎
こちらも同時読書の彼女チョイス

『柳橋物語・むかしも今も』『ひとごろし』予約中

 

 

--------(抜粋)

 

妹に対して道ならぬ行為をはたらき、それを悔いてグレていった兄の心の軌跡と、思いがけぬ結末を描く『あんちゃん』
世継ぎのいない武家の習いとして、女であるにもかかわらず男だと偽って育てられた者の悲劇を追った『菊千代抄』
ほかに『思い違い物語』『七日七夜』『ひとでなし』など、人間をつき動かす最も奥深い心理と生理に分け入り、人間関係の不思議さを凝視した秀作八編を収録

 

--------

 

最初の一作目からヤラレた!油断してたわ。。
・いさましい話★★★★★+

 『ながい坂』を彷彿とさせる出来過ぎた男 笈川玄一郎

 佳境が朝の通勤中だったため涙をこらえるのが大変だった。
 家だったらそのまま涙を流していたことでしょう

前回の『人情裏長屋』からの流れとは全く違います(要注意!)

 

 

・菊千代抄★★★★★+

 知ってはいたけれど、「初恋」
 予想出来たにしろ(ネタバレしたくない)

 生まれ持った性 現在のジェンダー問題が浮かぶ。

 ただ「殺す」と思う気持ちはお江戸物語ならでは。生死感が日常な武士の世界

 しかしやっぱりラストに涙 ははは歳かな。

 

 

・思い違い物語

 泰助、泰三兄弟の違いは作られたもの?
 そう思っていたが単純な話だった。

 裏をかく読み方をしてしまう。

 泰三に振り回されているお父様(右衛門)の所作がおもしろみ。

 こうドタバタ劇を日常としている山友を思い出す。
(何か落ち着きなくどたんばたんしている人いませんか?)

 

 

・七日七夜

 江戸時代 武士の家に生まれた男子は、

---

 

—二男三男は冷飯くらい、四男五男は拾い手もない古草鞋。
なとどいう失礼な通言があった。土農工商ひっくるめた相場で、なかでも侍はつぶしが利かないのと、体面という不用なものがあるだけ、実情はいちばん深刻だったと思う。

 

---

 

 五男として生まれた主人公の昌平 日々の家族からの冷対応・・
 やけを起こしたくなる気持ちも分かると言うもの。

 やるせない そんな身分制度がありました。

 斬九郎だね!

 

 まぁカレは器用に立ち回っているから、この主人公とは似ても似つかない(^▽^;)

 お隣には毎度美人さんがいますしね。
 (ホントこの若林町は美しい(以前にも言いましたね))

 

 

・凌霄花

 読めますか?のうぜんかずらです。

 

ノウゼンカズラ - Wikipedia

 

 

 

 

そして表題作の
・あんちゃん

 

 

・ひとでなし

---

 

「あたしも亭主では苦労したわ」とおようが云った、「ほんとに、女の一生は伴れ添う者の善し悪しできまるのね」

 

おようはどこを見るともない眼つきで、壁の一点を見まもりながら、ふと溜息をつき、「人間の気持ちっておかしなものね」と云った、

 

 

---

 

 

・藪落とし

 渋い・・渋過ぎる・・

 解説では周五郎さんの幼少時代を彷彿とさせるとのこと。

 

 

 

(予約投稿)
週末涸沢カール予定断念・・


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2022-10-02 | 山本周五郎

 

山本周五郎
『人情裏長屋』★★★★

 

何だか男手一つで苦労している案配な表紙
哀愁が漂ってますな。

山本周五郎
あまりに書籍が膨大過ぎて、まずは題名やら気になる作品から読み進めることに。
こちらは同時読書の彼女がチョイス
彼女的には「長屋物」が気になるそう。
(続『あんちゃん』)
わたしは『柳橋物語・むかしも今も』を予約

 

--------(抜粋)

 

居酒屋でいつも黙って一升桝で飲んでいる浪人、松村信兵衛の胸のすく活躍と人情味あふれる子育ての物語『人情裏長屋』
天一坊事件に影響されて家系図狂いになった大家に、出自を尋ねられて閉口した店子たちが一計を案ずる滑稽譚『長屋天一坊』
ほかに『おもかげ抄』『風流化物屋敷』『泥棒と若殿』『ゆうれい貸屋』など周五郎文学の独擅場ともいうべき“長屋もの”を中心に11編を収録

 

--------

 

前回読んだ『長い坂』や『日本婦道記』とは雰囲気が全く違う。
ユーモアと遊び心たっぷりな短編集です。

周五郎さん遊んでるな(笑)

愉快爽快 長屋の人達の暮らしが垣間見えるお江戸物語です。

 

・おもかげ抄

 

・三年目

 

・風流化物屋敷
(「講談雑誌」 昭和22年10月号)

どこかで読んだような気がするが、ノンノン!この周五郎さんが先駆けよね。

 

 

・泥棒と若殿★★★★ 私的にはよかったな。
(「講談社倶楽部」 昭和24年12月号)

 

・長屋天一坊
(「講談雑誌」 昭和25年5月号)

これには笑った笑った。天一坊事件にかけた笑い話
まさしく講談である。ちゃんちゃん。

 

天一坊事件 - Wikipedia

 

 

・ゆうれい貸家

ぐーたら亭主が出逢った幽霊
これは夢か幻か?
どうゆう展開に流れてゆくのか様子見な予測不可な物語

 

 

・雪の上の霜

 

・秋の駕籠

 

 

 

ここまではよかった。

お次の
・豹
・麦藁帽子

いきなりの現代モノになっていて驚き
『人情裏長屋』との短編集=お江戸物語(時代小説)かと思っていた。

テンション下がった。

 

 

それも豹の方は何だか山本周五郎が書く現代物に慣れていない、
初めて読むわたしにとって「大人な小説」としか感じえなかった。
最後の麦藁帽子は、こういう世界観を訳ありな老人譚を書かせると秀悦と言うことが分かった。

 

お次は『あんちゃん』です。

 

 


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2022-09-23 | 山本周五郎

 

山本周五郎
『町奉行日記』★★★★

 

続々周五郎さん
こちらもお昼休みに本屋さんでGET

標題作に三番館っぽく安楽椅子探偵の走り!?なんて思ったり。

 

--------(抜粋)

 

着任から解任まで一度も奉行所に出仕せずに、奇抜な方法で藩の汚職政治を摘発してゆく町奉行の活躍ぶりを描いた痛快作『町奉行日記』
藩中での失敗事をなんでも〈わたくし〉のせいにして、自己の人間的成長をはかる『わたくしです物語』
娘婿の過誤をわが身に負ってあの世に逝く父親の愛情を捉えた短篇小説の絶品『寒橋』
ほかに『金五十両』『落ち梅記』『法師川八景』など全10篇を収録

 

--------

 

 

・土佐の国柱

 一作目を読んで、短編を書かせても読ませるなと。
 いや短編だからこそ描写等に唸らせるものがある。

 ホント上手いんです!秀逸 期待を裏切らない。

 

 

・晩秋

 ふところに懐剣を忍ばせ客人の様子を見る都留
 その一挙手一投足に目が離せない。

 

 

・金五十両

 自然と一両は約四万円と認識
(中期~後期モノを読むことが多いからかも)

分かりやすいサイトを発見

一文と一両の価値

 

 

・落ち梅記 私的に★★★★★
(「講談社倶楽部」昭和24年7月号)

 これぞ武士道!!

 

 

・わたくしです物語

 題名におかしみを感じる。

 

 

・修行綺譚

 

・法師川八景

 

・町奉行日記 ★★★★ 標題作でもあり爽快!
(「小説新潮」昭和34年6月号)

 

 

・霜柱

 

---

 

 

「——すると八兵衛は答えたよ、人間とはそういうもののようです。どんなに激しい恨みでも、恨むことだけでは生きてはゆかれない、愛情だけで生きることができないように、一つ感情だけで生きとおすことはできないようです」

 

 

恨みや怒りの中だけでは生きられない、と喜兵衛は心の中で思った。時が経つうちには、どんなに深い憎悪を怒りも、やわらげられ、いやされてゆく、時岡八郎兵衛が現にその事実をみせてくれた。

 

 

---

 

 

 

解説は毎度の木村さん(名前読めない(^▽^;))


読むまで気づかなかったのは、
・わたくしです物語の登場人物のネーミングがおもしろかった!

例えば 「椎間千造=知りませんゾウ」・・周五郎さん遊んでますな(笑)

 

 

 


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2022-09-09 | 山本周五郎

 

山本周五郎
『さぶ』★★★★+

 

続々と読み進めてゆきます。
こちらもお昼休みに本屋さんでGETした一冊
図書館に行くのももどかしい?(笑)

 

--------(抜粋)

 

大丈夫。独りじゃないよ。
生きる力―人間のあるべき姿を描く、心揺さぶる名作


江戸下町の表具店で働くさぶと栄二。男前で器用な栄二と愚鈍だが誠実なさぶは、深い友情で結ばれていた。ある日、栄二は盗みの罪を着せられる。怒りのあまり自暴自棄になり、人足寄場に流れ着く栄二。人間すべてに不信感を持つ栄二をさぶは忍耐強く励まし、支える。一筋の真実と友情を通じて人間のあるべき姿を描く時代長編

葉室麟「山本周五郎と私 人生の問い」、奥野政元「解説 受難と再生の物語」を収録
注釈付文字拡大新装版

 

--------

 

 

 

女衒(ぜげん)

女衒 - Wikipedia

 

七の五まできたけど、これは「さぶ」って言うより「栄二」じゃない?
と突っ込みを入れつつ読み進める。
どうしても栄二に寄り添えないため、集中力が切れる。

 

時代小説を読み始めて数年だけど、時の数え方がイマイチぼんやり。
江戸時代の時の数え方
深夜と昼の十二時前後を「九つ」として、一刻(約二時間)ごとに「八つ」から「四つ」まで減らしてゆく。

 

栄二が人足寄場送りになったのもあり、やはり寄場を作った「鬼平」の名が何度か出た。
そう鬼平こと長谷川平蔵です。

 

I - ◆BookBookBook◆

 

I - ◆BookBookBook◆

池波正太郎『鬼平犯科帳[決定版]1』★★★★キター鬼平・・(笑)おばあちゃんがテレビでみていたイメージ(昭和です)まさかこうやって読むことになるとは。伊達にお江戸小説を...

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九の五(半分過ぎ)
やっぱり「さぶ」じゃなく「栄二」の成長物語

運と不運

どう転がるか。

 

 

 

---

 

 

「栄ちゃん」と吃りながらさぶが云った、「さぞ―—苦しかったろうな」
同時にさぶの顔がだらしなく歪み、その小さなまるい両眼から、大きな涙が続けさまにあふれ落ちた。

 

 

---

わたしも一緒に涙ぐむ。
そう「さぶ」が不在な「栄二」メインの物語だからこそ、その大切さが伝わる。
こういう描き方もあるんだなぁ
周五郎さんやっぱり沁みます(『ながい坂』に続く)



 

---

 

 

「~どんなに賢くっても、にんげん自分の背中を見ることはできないんだからね」

 

 

---

 

 

よすほうがいい、およしなさいよ清さん。去ってゆく清七の足音をききながら、栄二は心の中で叫んだ。あの女とはうまくいかないよ、おめえまたひどいめにあうぜ。——だが、それが人間というものなのかもしれない、と栄二は自分に云った。よせと云っても、清七は自分のしたいようにするに違いない。この世で生きてゆくということは、損得勘定じゃあない。短い一生なんだ、自分の生きたいように生きるほうがいい、しっかりやってくれ清さん。

 

 

---

善と悪

 

 

---

 

 

「人間どおしの問題では、いそいで始末しなければならない場合と、辛抱つよく機を熟するのを待つ場合とがある」

 

 

---

残り火

 

あぁ涙腺がゆるみっぱなし(。-_-。)

 

 

ラストおのぶの言葉にハッとさせられた。
そう題名の「さぶ」には深い意味があったのね。

 

 

収録されている葉室麟の最後の一言が「沁みる~」(笑)

受難と再生の物語
(キリスト教絡み?)

またよき一冊に出逢えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

残り火で思い出した一曲

DOUBLE / 残り火 - eternal BED -

 

 

 

(予約投稿)


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2022-09-08 | 山本周五郎

 

山本周五郎
『小説 日本婦道記』★★★★★

 

すっかりハマってしまった大御所 山本周五郎
うちらの周りでは「周五郎」呼ばわりですが(^▽^;)

「周五郎沁みるわ~」友達か?


『赤ひげ診療譚』を朝の通勤時に読んでしまい、帰りの電車で読む本がなーい!(って以前もありましたね)
お昼時間に本屋さんで迷わずGET
『日本婦道記』は、直木賞受賞作であり直木賞辞退作である(辞退作って括りは変だけどね)
直木賞と言う栄光を捨てた周五郎さん。
昔はどのぐらい名誉なことだったのかは不明ですが、
その理由とされる一言がこちら

ほぉ・・
やはり考え方も沁みますね周五郎さん。
「文学は賞のためにあるのではない」
名誉や世間体なんて範疇になく、我が道をゆく周五郎さん。

 

--------(抜粋)

 

千石どりの武家としての体面を保つために自分は極端につましい生活を送っていたやす女。彼女の死によって初めて明らかになるその生活を描いた『松の花』をはじめ『梅咲きぬ』『尾花川』など11編を収める連作短編集
厳しい武家の定めの中で、夫のため、子のために生き抜いた日本の妻や母の、清々しいまでの強靱さと、凜然たる美しさ、哀しさがあふれる感動的な作品である。

 

--------

 

 

・松の花

---

 

はなれの書斎へかえって、机の前に坐ると直ぐ、彼はおちついた身がまえで校閲の筆をとりあげた。頭は冴えているし、心もしずかだった。ただひとところ、からだのどこかに瀟殺と風のふきぬけるような空隙がかんじられた。

 

---


もう最初のこの一文が文豪たる名に相応しい 瀟殺?空隙?
日本語を知らない日本人(わたし)

 

 

・糸車 ★★★★★(電車で読んでいて泣きそうになるのを堪えた)

 

 

・尾花川

 「尊王攘夷」 攘夷倒幕・・出た。前回の大河ドラマFB(今の頼朝は挫折)

尊王攘夷 - Wikipedia

 

 

 

正直旧い時代に書かれたのもあるのか難関な箇所が多々あった。
ニュアンス的に何を言っているか、何が言いたいのかは分かるけど、
この短編集は上級者向きかもしれない。
ある程度時代小説に慣れた方じゃないと厳しめ。

 

 

・墨丸 ★★★★(同様ラストの下記文に涙が・・気が落ちてる?)

 

---

 

時はあらゆるものを掠め去るものだ、どんなに大きな悲しみも苦痛も、過ぎゆく時間に癒されないものはない。

 

---

 

 

 

この合間にネタバレに触れない程度に解説を読む。
結末に触れる事故が起こることもあるんだけど、つい読みたくなっちゃう。
確かこの木村さん(名前が読めない(^▽^;))『ながい坂』or『赤ひげ診療譚』にも出ていた。
山本周五郎専門家です。

 

最終に添付されていた事細かな年表
個人年表は興味深いものがある。
わんこの様子を横目に、たまになでてあげながらも読み進めた。
苦しいんだろうな・・やはり涙がこぼれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

続々予定
私的には『さぶ』
会社のコは『人情裏長屋』『あんちゃん』
感化された友は有名な『樅ノ木は残った』を読み始めた。

飽きるまで読みたいと思います(笑)

 

山本周五郎がきてます!!

 


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2022-09-07 | 山本周五郎

 

山本周五郎
『赤ひげ診療譚』★★★

 

この作品は昭和三十四年二月文藝春秋新社より刊行された。

文庫本 昭和三十九年十月十日 発行

 

--------(抜粋)

 

清らかで美しく、貪欲で邪悪なのが人間だ――。

幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長・新出去定の元、医員の見習勤務を命ぜられる。
不本意な登は赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。
傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く医療小説の最高傑作

 

--------

 

『ながい坂』に痺れた話をお友達にアツク語りまくってたら・・
それに触発され周りも周五郎にハマり出し、交換読書となった本

 

Y - ◆BookBookBook◆

 

Y - ◆BookBookBook◆

山本周五郎『ながい坂㊤』★★★★管理会社さんに『中国行きのスロウボート』を貸したら、その交換分として渡された本(一応何系希望?と聞かれ時代小説と答えてはいた)おぉ・...

goo blog

 

 

 

 

 

・三度目の正直(私的に★★★★)

どう展開してゆくのか、予想もつかなった。

 

 

・徒労に賭ける

 

---

 

 

「追従を云うな、おれは追従が嫌いだ」

 

 

---

 

 

「人間ほど尊く美しく、清らかでたのもしいものはない」と去定は云った、「だがまた人間ほど卑しく汚らわしく、愚鈍で邪悪で貪欲でいやらしいものはない」

 

 

---

どこかでなにかが間違っている。

上屋敷、下屋敷・・中屋敷もあったのね。
お江戸物語をスムーズに理解するにはまだまだだな・・

めずらしい。保本の母は持病の痛風持ちだった(女性で初めて聞くかも)
痛風には敏感です(苦笑)

 

 

・鶯ばか

 

---

 

 

「井戸は地面の下へ続いてますからね、死にかかっている者をああやって呼べば、こっちへ帰って来るっていうんですよ」

 

登は井戸の中に響く女たちの嘆き訴えるような呼び声を、やや暫く黙って聞いたいた。

 

 

---

 

 

ああ、とおふみは思いだしたように微笑した、「水戸を立退くまえに、親子で大洗さまへいきました、弁当を持って半日、親子暢びり海を見て来ましたが、あとにもさきにもあんなに気持ちが暢びりした、たのしいことはありませんでしたよ、生まれてっから今日まで、ええ、あのときがたったいちどでした」

 

 

---

 

 

・氷の下の芽

 

---

 

 

青磁の花器に松と梅もどきが活けてあり、行燈の光から遠いためもあろうが、百年もまえから見慣れているように、退屈で鬱陶しく、飽き飽きした感じにみえた。
―—松と梅もどき、いつもこれだ。
母はただ習慣で活け、父にはこの無神経な、繰り返しだけの退屈さがわからない。これならいっそなにも活けないほうがいいじゃないか、と登は心の中で呟いた。

 

 

---

贖罪

 

 

---

 

 

―—罪を知らぬ者だけが人を裁く。
登は心の中でそう云う声を聞いた。
――罪を知った者は決して人を裁かない。


---

罪の暗さと重さ

 

 

 

赤ひげ目線の描写はなく、保本登を通しての赤ひげが描かれている。
人それぞれの観察眼はあるわけで、そこから何を感じ取るか。
なので赤ひげ本人の考えは本人のみぞ知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

--------解説より(抜粋)

 

 

周五郎は小説の果たすべき役割について、次のように述べています。

よき一編の小説には、活きた現実生活よりも、もっとなまなましい現実があり、人間の感情や心理のとらえがたき明暗表裏がとらえられ、絶望や不可能のなかに、希望や可能性がみつけだされる。(「小説の効用」)

 

--------

 

 

 



こちら近々観てみたい。
大将が若い!!24時間テレビに出てたね。

 

山本周五郎続々紹介してゆきます(^▽^)/💚


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