あも&サチアキの交換日記

どうやら交換日記が続いているようです(祝何年目?

インプット大事よね

2022-11-10 | from:sachiaki
てことで、昨晩はちょっとした友人に誘われて
「王立宇宙軍 オネアミスの翼」を見てきたsachiakiです。

時は1988年の映画で、エヴァで一気に有名になった
庵野さんがいるGAINAXの最高峰オリジナル長編映画なんですけれど、
これが4Kリマスターされたというので
お誘いされて行ってきました。

で、
やっっっっっっっっっぱり良かった!!!!

なんていうか、この映画を見てなかったのもあって
以前友人に「エヴァは別に面白くないよ」って言われた時に
にゃにおう!なんて言い返したりしてたんですけれど、
ごめん、あんたが正しかったよ。
っていう気持ちになっているところです。

エヴァを語る前に「トップを狙え」という
GAINAXのオリジナルアニメもあるんだけど
こちらと「王立宇宙軍」がやりたいことの全てが詰まっていたんだなぁ
ってことを感じ、
あの子供時代に見てめちゃくちゃ影響を受けたナディアでさえ
色褪せてしまうぐらい圧倒されてきました。

なにせ1988年といえばアニメクリエイターの大御所となる方達の
ちょうど飛び抜ける時代なので、そりゃもう熱量が異常なんですよね。

ちょっと前に押井守さんの
「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」を
見ていたのもあるけれど、
あの時代の色んな映画や演出に打ちのめされて
そこから自分達のものに取り込むんだ!!っていう
前のめり過ぎる勢いってものがあって
その勢いの全盛期とあたる作品に駄作なんてありはしないのだなぁと。

ただまだアニメというものがバカにされていた時代でもあったので
(オタクってバレたら社会的死が待ってた)
見ている人は少なかったってのもあるんですよね。

それが1995年のスタイリッシュに洗練されたエヴァによって
一気に塗り替えられて、晴れてアニメ好きは表に出ても
殺されることなどなくなったわけです。
そういう意味ではエヴァは偉大で
キリスト教のモチーフを散々撒き散らしただけあって
エヴァンジェリスト(伝道者)としての役割を
キッチリとこなしたのだなぁと思います。
なので、アニメとしてのクオリティは
「王立宇宙軍」や「トップ」の方が上だけど
その立ち位置として飛び抜けていたのだってことだけは
重々承知している感じです。

と、エヴァの話に引きずられてしまうのは
やはりそれだけ引力の高い作品だからなのだろうなぁ。
まぁ帰宅して「すごかった!」って話をしていたら
じゃぁ「シン・エヴァ」見る?って言われて
えー…って言いながら、結局しっかりと観劇したってのもあるか。
「シン・エヴァ」については感想は別にありません。
強いていうなら、庵野さんがエヴァという呪いから
解放されるためには全てを破壊する必要があったんだな
ってことで、自分の生み出したものを破壊する
いわゆる「親殺し」が物語の大きな原始的パワーであるのに対して
「子殺し」をしなくてはならなかった庵野さんの大変さを考えると
可哀想だなぁっていうのと、
でも怪獣映画とか好きだから気持ちよかったろうなぁっていうのと
お疲れ様でしたってぐらいかな。

とにもかくにも、そんな庵野さんを内包していたGAINAX(当時)は
熱量がどうかしていて、スタッフロールの名前を見るだけでも
ヒエェってなるところです。
そもそも押井さんが企画を引き受けられないから宮崎駿を紹介し、
その宮崎駿が庵野秀明さんを「面白い」と勧めたっていう経緯がすごい。
GAINAXのスタッフも平均年齢24歳。
板野サーカスで有名なミサイルシーンが秀逸な
DAICON FILMが母体なだけあるってもんですわ。
バカじゃないの??っていうぐらいの機体への描き込みと
動きのリアルを追求するための建屋などの軋みなど
「ラピュタ」で興奮する要素である動きが
さらなる熱量で展開されるわけですよ。
本当にどうかしてる。
描き込みのエグさは大友さんの「AKIRA」と並ぶし
ワクワクさせる全体の動きはジブリで
話の根底に通じているのが「ナウシカ」なんだから
そりゃ面白くないわけがないんです。
地味ヒロインと言われたヒロインに萌え要素は1mmもないけれど、
それでもそのヒロインが主人公に「素敵です」なんて言葉を使わなければ
主人公は宇宙を目指そうとしなかったろうし、
壮大な勘違いと憧れが交錯し、
人間の進化への罪深さとそれを知りつつも
前に進むしかない喜劇がみずみずしく展開されてました。

ちなみに主人公の声は森本レオさんで
音楽は坂本龍一が担当されてます。
(坂本さんはこの仕事に良い印象がないみたいだけど)

強いていえば、安彦良和さんが批判した通り、
これはエヴァにも通じることだけど、
メッセージ性が皆無ってところが勿体無いぐらい。
でもそれもそれだなぁって感じなのかな。
作家性として表現したいものがあって、
その表現には内容がないものっていうのもけっこうあって
それが良さでも合ったりするんだよね。

私が「王立」を見て思ったのは、壮大なバカバカしさってのは
けっこう大事なことで、
みんな一所懸命に”意味”を求めたりして
そこに”意味がない”ことをこき下ろしたりするけれど、
意味があるかないかなんてのは二次的なもので
”意味がない”ことをできるかできないかで
その人の強さってものが測れるんじゃないかな?って思います。
憧れに対してまっすぐに進む、時には悪魔と同等となる力。
そういったものが私はとても好きです。
怖いけどね。

と、だいぶ長くなってしまったのでこの辺にて。
そんじゃまた。モイモイ。
コメント
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