建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

NHKラジオ出演(1)

2009-03-01 10:03:00 | Weblog
                 …………………(NHKラジオ出演 1)…………

 7月になった。
 暑さの中を無理に出て行くことまでしなくてもとか、別段急いでする事もないしと、もやもやと日々をおくっていたらFAXからダラーと長い用紙が出ているのに気が付いた。
ハローワークの求人募集に2~3箇所応募していたから、
(また雇用者から面接の問い合わせかな?)
と程度の気持ちで見ていると、それは一大事の幕開けとなった。

「NHKラジオ番組に是非出ていただきたいので」
という内容の連絡要旨が送られていた。
 原因は『建設現場の風来坊』の紹介が朝日新聞社の夕刊に載り、NHKさんの目に留まり本を読まれた上で
《トーク番組に出て下さい》という依頼の連絡である。
「ドッヒャー」
 腰がピーンと伸びて青空までが迎えてくれているようである。
 ここらで私のこれからの道が開けるのではないか、と予感が走る。
 何かがどこかでつながっている、否、何かにつながるのではないかと単純な考えで数年前に《建設現場の子守唄》を出版した時から、こちらから一方的にメッセージを発信している。
 メッセージを、誰が受け取ってくれるやら全く予想が立たないながらも出版した《子守唄》には各方面から多くの便りを頂いて、自分なりの満足を感じて感謝もしている。
 それが今回の『建設現場の風来坊』ではマスコミに飛びつけるチャンスが向こうから飛び込んで来たのであるから、本を売るよりもNHKで喋って来たという実績が貴重な財産になる事は明らかである。
 これが今後の仕事の方向に結びつけば良いのでしょうが退職直後であり、まさに無職の《風来坊》であるから、本が売れるかも……という欲目にかられる事もなかった。

 FAXを繰り返して読んでいると電話が鳴った。
「NHKの田中と申しますが、福本先生でしょうか?」         
「はい、でも先生とは呼ばないで、普通に(さん付け)で呼んでください」
 これがディレクターの田中良一さんと話をした最初の言葉でした。   
                               
《ラジオいきいき倶楽部》9時台の『くらしセンスアップ』のコーナーである。
 話す時間は交通情報が途中に含まれても9時55分までの約一時間、トーク番組を受け持つのであり、別段テーマは決められていませんでしたが、
《職人が消えるとき欠陥住宅は増える~なぜ増える!欠陥住宅~》
 はリスナーが飛びつくキィワードにもなっていると教えられた。

 放送前日には新宿NHK放送センターに行き、夕方から番組の下打ち合わせを二見和男アナウンサーと三人で、グラスビール一杯から打ち解けたムードの雑談に話が咲いた。
「欠陥住宅とか手抜き工事を取り上げると視聴率が稼げるから、民放はよくやるのですがNHKとしては悪くなる以前に手を打つスタンスで、番組を作りたいのです……」
「物を創る側から言わせてもらえば「手抜き」と「設計ミス」の言葉を聞くのも言うのもつらいのですよ、職人さん達は必死になって頑張っているのを皆さんに知って欲しいのですよ」
「明日は生放送ですから、久々にドッキリ発言が出てくる予感がします」
「業界の悪口は言いません、『建設現場の風来坊』の話題を少し入れて頂いて、現場で汗水流して働いている茶髪の職人さんを応援するような話をしたいですよね」
三千万人のリスナーがいると聞いて、背筋にピンと力が入り、本の宣伝も出来るとなれば舞い上ってしまいそうな自分が想像出来るようであった。

 とまれ、リハーサルらしき二時間の話も終わって、
(明日の話の結末はどこに落ち着くのか、二見アナウンサーに任せよう)
気楽に自分のそのままで行こう……と思うと何の準備も心配も消えて行った。

では99年7月23日(金)の放送を・・・
                        《続く》
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする