constructive monologue

エゴイストの言説遊戯

暴走する「サヨク恐怖症」

2011年03月16日 | nazor
大規模災害は一時的であれ冷静で正確な判断能力を失わせてしまう。それゆえにデマが拡散する余地が生じるわけであるが、そうしたデマへの対処策をもっともよく知っているのが報道に携わる者だといえる。しかし、残念ながら、報道の基本中の基本である情報のウラをとる作業を放棄して、不確かな情報に基づいた報道を行ってしまう事例も散見される。

そして今回の東北関東大震災の報道でも、『産経新聞』の阿比留瑠比が「この期に及んで…首相、東電幹部に『撤退すれば100%潰れる!』」と題した記事の最後で、「辻元氏は平成7年の阪神淡路大震災の際、被災地で反政府ビラをまいた」と記している。しかしこの辻元議員に関する話は、「コピペ探訪~阪神大震災コピペの謎を追え(1-3)」で検証されているように、根拠のないデマにすぎない。

民主党政権、より広く「サヨク」的なるものへの嫌悪感を持つことは別に構わないし、それが確証のある情報源に基づくものであるならば、意味のある批判となり、それこそ民主主義の健全さを証明するものであろう。しかし、「サヨク=フォビア」に囚われるあまり、民主党批判につながるものならば何でも飛びつき、事実確認をせずに報道するという姿勢は、公共性を体現し、「第四の権力」機関であるため、より高い倫理が求められる報道人として見たとき、明らかに「落第」であろうし、それを許してしまう編集デスクもまた同様である。

ハリケーン・カトリーナの報道で「略奪しているのは黒人ばかり」との記事を書いた古森義久という「前例」があるだけに、ある意味でこれもまた『産経新聞』の「独自路線」が如何なく発露したものとみなすことができる。

1 コメント

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サイコパス的な (赤瞳蘭)
2011-04-30 01:38:17
かつて“サヨク”がやっていた流れそのものですね。


日本社会は論理的な思考や自我を殺すように教育しますから何時も問題の本質を誤ってしまう。

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