今回のWBC日本代表に対する期待は、合宿をめぐるメディアの報道や、そこに集まった多数のファンによって醸成された過熱気味の盛り上がりから明らかなように、きわめて高い。それは、国際球への慣れなどの北京五輪惨敗から得た教訓を学んでいるはずだし、なによりもイチローや松坂などメジャーリーガーが名を連ね、戦力的にみても北京五輪代表よりも上のはずという星野ジャパンとの対比から導かれる。しかし期待値の高さゆえに、期待が裏切られたときの反動の大きさは、北京五輪で惨敗した星野ジャパン以上のものになりかねない。
こうした日本の熱気とは対照的に、太平洋の向こう側ではWBCに対するシニカルな見方が聞かれる(「日本の盛り上がりに米紙は冷淡…現役監督も奇異と」『毎日新聞』2009年2月18日)。WBCの位置づけがいまだ確定していないこともあって、各国代表の候補となっていた一線級の選手の辞退が相次ぎ(最近ではドニミカ代表のプホルス)、最強チーム同士が争うという理想とは程遠い。またアメリカのメディアは、WBCよりもA・ロッドのドーピング疑惑のほうに高いニュース価値をおいているようにも思われる。
・追記(2月24日)
ノムさん「松中、細川なんで外れたんや」(『スポーチニッポン』)
マスコミとしてもコメントをどうしても取っておきたい野村監督は、その期待にこたえるように、ぼやいてみせているわけで、ある意味台本どおりの展開ともいえる。