智徳の轍 wisdom and mercy

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コーティ村にて

2005-03-18 | ☆【経典や聖者の言葉】
◇第二誦品

一 そこで、覚者は長老アーナンダにこうお告げになった。
「さあ、アーナンダよ、コーティ村を訪れよう。」
「かしこまりました、尊師よ。」
と、長老アーナンダは覚者にお応え申し上げた。そして、覚者は大きな向煩悩滅尽多学男出家教団【こうぼんのうめつじんたがくなんしゅっけきょうだん】と共に、コーティ村に入られた。そこで、覚者はコーティ村にとどまられたのである。
二 そのとき、覚者は向煩悩滅尽多学男たちに、次のようにお説きになった。
「向煩悩滅尽多学男たちよ、四つの絶対的真理に覚醒することなく、洞察しなかったために、わたしも君たちも、このように長い間流転輪廻【るてんりんね】したのである。それでは、四つとは何であろうか。
 向煩悩滅尽多学男たちよ、苦の絶対的真理に覚醒することなく、洞察しなかったために、わたしも君たちも、このように長い間流転輪廻した。
 向煩悩滅尽多学男たちよ、苦の生起の絶対的真理に覚醒することなく、洞察しなかったために、わたしも君たちも、このように長い間流転輪廻した。
 向煩悩滅尽多学男たちよ、苦の滅尽の絶対的真理に覚醒することなく、洞察しなかったために、わたしも君たちも、このように長い間流転輪廻した。
 向煩悩滅尽多学男たちよ、苦の滅尽に至る方法の絶対的真理に覚醒することなく、洞察しなかったために、わたしも君たちも、このように長い間流転輪廻したのである。
 向煩悩滅尽多学男たちよ、それゆえに、苦の絶対的真理に覚醒し、洞察した。苦の生起の絶対的真理に覚醒し、洞察した。苦の滅尽の絶対的真理に覚醒し、洞察した。苦の滅尽に至る方法の絶対的真理に覚醒し、洞察した。そこで、生存渇愛は断滅され、生存に導くものは破壊され、今や再生することはないのである。」
 このように覚者はお説きになった。そして、このように説いた後、世間解【せけんげ】である尊師は、さらに次のようにお説きになった。

  四つの絶対的真理を、
  如実に見ることがなく、
  久しく様々な所に生まれ、
  輪廻した。
  既にこれらを見たならば、
  生存に導くものを除き去り、
  苦の根本を断じ、
  今や再生することはないのだ。

四 またここで、覚者はコーティ村にとどまり、向煩悩滅尽多学男たちに対して、この数々の法話をなさったのだ。
「戒とはこうである。サマディとはこうである。智慧【ちえ】とはこうである。戒に熟達させられたサマディには、大いなる果報と大いなる功徳がある。サマディに熟達させられた智慧には、大いなる果報と大いなる功徳がある。智慧に熟達させられた心は、諸々の漏【ろ】から完全に離解脱【りげだつ】する。すなわちそれは、欲漏【よくろ】・生存漏【せいぞんろ】・見解漏【けんかいろ】・非神秘力漏【ひしんぴりょくろ】からである」と。

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