智徳の轍 wisdom and mercy

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この生は、死をもたらすたくさんの

2005-02-17 | ☆【経典や聖者の言葉】
仏教宇宙論が描き出しているように、宇宙は絶えず生成と死を繰り返し、その中に形成される私たちの世界もいつかは破壊され、空の状態に回帰していくのである。だから、私たち生き物は、いわばこの現象世界の中に羽を休められる久遠の足場を見いだせないまま、。空に舞い続ける蜂のようなものだ。そのことを深く瞑想しなさい。
次のステップは、その宇宙の中にいる生き物のことを考えて、無常の瞑想を深めることである。人間は高々百年も経たないうちに、ほとんどの者が死んでしまう。人間の高々百年も経たないうちに、ほとんどの者が死んでしまう。産婆に取り上げられたそのときから、人は一歩一歩死に向かって歩んでいくのである。ところが、死は確実にやってくるのに、それが明日なのか、今日なのか、それともずっと先のことなのか誰にもわからない。あなたは、「自分はまだ若い、死はまだまだ先のこと、だから死について考え込む必要なんかない」と思っているかも知れない。しかし、あなたが今このときにも死なないという保証はいったいどこにあるのかな、どこにもありはしない。『チェドゥ・ジョベイ・ツァム』にはこう書いてある。

あなたが今日にでも死んでしまわない
と、誰が知ろう
今日なすべき事は今日おこなえ
無慈悲な死神は
友達のように待ってはくれないから

ナーガールジュナの言葉。

この生は、死をもたらすたくさんの
危険に脅かされ
水泡が風に吹き飛ばされるより
もっと頼りない
息を吐いて次の息を吸い込むことができ
明朝にまた目覚めることができるとは
何という驚きでは
なかろうか


   (『虹の階梯』より)

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