DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

衣食足りて礼節を知る

2013-02-11 12:43:35 | ButsuButsu
もう30年程前のことである。

初めて中国を訪れた。

大西行雄・嘉田由紀子(今の滋賀県知事)・前田広人たちと一緒だった。

断片的な記憶の中に、古い時代の中国が浮かんでくる。

上海から南京へ、火車(汽車)に乗って移動した。

夕方の暗闇が迫り、車窓には点々と裸電球を灯した村が通り過ぎていく。

そこには昭和30年代の日本における田舎の情景があった。

道行く人たちの人民服が目立ち、路上は自転車の天下だった。

南京地理研究所で歓待を受けたのち、中山陵に案内された。

392の石段を登ると孫中山(孫文)の墓があった。

この国はすごいな、という印象をもった。

夜の歓迎会では生ぬるいビールときつい茅台酒で乾杯を繰り返した。

宿舎となった招待所でクリーニングに出した上着が皺だらけになって返ってきたと、嘉田さんがクレームをつけていた。

帰りの上海の路上で食べたアイスクリームは豆乳でできていた。

今となっては昔話だが、訪問者も歓迎者も緊張感を持って相対していた時代だった。

当時のほうが、衣食足りて礼節を知っていた気がする。

今は豊かにはなったが、足るを共に知らない時代なのかもしれない。


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