キンネレット湖は、ガリヤラ湖とも呼ばれる。
表面積は琵琶湖の4分の1ほどである。
この湖が重要なのは、イスラエル唯一の淡水湖であることと、イエスの奇跡にちなんだ旧跡が多いこと、そしてゴラン高原のふもとにあることである。
私たちは2019年からキンネレット湖陸水研究所と共同調査を行っている。
その現地の研究者から、メールが届いた。
私の家族は今のところ無事ですが、私たちは国として恐ろしい経験をし、いまだにショックを受けています。実際、我々は、レバノンとシリアからすぐ近く、北部で第2の戦闘が展開される可能性を心配しています。また、アラブ系イスラエル人による国内テロという第3の戦闘も心配しています。約250万人のイスラム教徒であるアラブ人がイスラエルの市民です。彼らのほとんどは、私たちの周りのアラブ諸国と比較してイスラエルに住むことの利点を理解し、平和を求める善良な人々ですが、彼らの中には何千人もの過激な人々もいて、機会があれば私たちを虐殺することを躊躇しません。私たちはこのような困難な地域に住んでいるのです。
なんと答えてよいかわからないが、どうか気をつけてというしかない。
ユダヤ人が追放されて2000年もの間、世界各地で成長と繁栄を築いた一方で、厳しい差別や虐殺・追放などの目にもあった。迫害や暴力に見舞われるたびに、自らは「離散者の集合」であり、古代からの故郷に帰りたいと思う個人や集団が増えてきた。19世紀末に創設されたシオニズム運動はこのような思いを信条へと高めたものである(イスラエル大使館より引用)。
今世界で起こっている大きな戦闘を見聞するとき、自分が当事者であったらどう対応するか、と自らに問うことにしている。もし自分がゼレンスキーであったら彼のように行動できるだろうか。もし自分がネタニヤフであればどう対処するだろうか。彼らの発言や行動を注視しながら、自分の限界と可能性を検証している。このことは、もし日本が侵略されたらどうするか、そして何ができるかを自らに問いかけるよい機会だと思っている。
歴史は繰り返すというが、時間と空間の中に充満した狂気のエネルギーを簡単に晴らす方法はない。それは卓球のように、来た球を単純に打ち返すという所作だけではなく、球の周りにべっとりと纏わりついた怨念のようなものがあるからだ。それらを解きほぐすには、腰をおろして時間をかけてじっくりと道筋を正さなければならない。残念ながら、汚れてしまった大気と水と血液は、簡単に浄化はできないのだから。