みなさんは、いつごろまでサンタクロースの実在を信じておられただろうか。自分の記憶をたどってみるのだが、どうもはっきりしない。小学校の4年生ともなれば、さすがにもう信じてはいなかったと思う。幼稚園児のころには完全に信じていた。サンタが来るのが楽しみでクリスマスイブには枕元に靴下をおいて寝た記憶がある。小学校低学年の時代がグレーゾーンになっている。人はいつサンタクロースを信じるのをやめて、大人になるのだろうか。
ぼくが大学院生の頃、小学校1年生だった甥っ子をつかまえて「サンタクロースは本当におるだろうかなあ」と尋ねたことがある。すると彼は無邪気に「おるでぇ」と答えた。ぼくはこの答えをにわかには信じがたいと思った。商売人の家に生まれた彼は大人の世界の話を耳にする機会も多い。歳の割りに色々なことを知っている。そこでぼくはさらに質問をした。「サンタさんは、どうやって君のお願いを知るだぁ?それにサンタさんは、トナカイの橇に乗ってやって来るっちゅうけど、T市の辺にはトナカイっちゃあなもんはおりゃあせんで」。
彼の答えには驚くべきものがあった。「あんなあおじちゃん。サンタ協会ちゅうもんがあるだけえ。世界中のお父さんとお母さんがそこに電話して、自分の子どものプレゼントを頼むだが。もちろん代金は先に払うだで。この世に只のもんはありゃせんけえなあ。銀行振込で払うだ。それでなあおじちゃん。サンタ協会は世界中にあるだけなあ、その土地にあった方法でプレゼントを配ることが出来るだが。ハワイのサンタさんは波乗りをしながら来(き)んさる。オーストラリアのサンタさんは、カンガルーのおなかの袋に隠れて来んさるだで」。
頭がクラクラしてきた。この子の世界のなかでサンタさんは、今でいうNPOを作って活動している。この子はサンタクロースを信じているが、そのプレゼントの代金は親が支払っているという身も蓋もない真実も認識しているのだ。ぼくはさらに聞いた。「サンタ協会の電話番号と銀行口座を教えてえな」。「銀行口座は知らん。ぼくはまだ子どもだけえなぁ。でも電話番号は知っとる」。一呼吸おいて彼はこう言った。「22(にいにい)のサンタサンタ」。
ぼくが大学院生の頃、小学校1年生だった甥っ子をつかまえて「サンタクロースは本当におるだろうかなあ」と尋ねたことがある。すると彼は無邪気に「おるでぇ」と答えた。ぼくはこの答えをにわかには信じがたいと思った。商売人の家に生まれた彼は大人の世界の話を耳にする機会も多い。歳の割りに色々なことを知っている。そこでぼくはさらに質問をした。「サンタさんは、どうやって君のお願いを知るだぁ?それにサンタさんは、トナカイの橇に乗ってやって来るっちゅうけど、T市の辺にはトナカイっちゃあなもんはおりゃあせんで」。
彼の答えには驚くべきものがあった。「あんなあおじちゃん。サンタ協会ちゅうもんがあるだけえ。世界中のお父さんとお母さんがそこに電話して、自分の子どものプレゼントを頼むだが。もちろん代金は先に払うだで。この世に只のもんはありゃせんけえなあ。銀行振込で払うだ。それでなあおじちゃん。サンタ協会は世界中にあるだけなあ、その土地にあった方法でプレゼントを配ることが出来るだが。ハワイのサンタさんは波乗りをしながら来(き)んさる。オーストラリアのサンタさんは、カンガルーのおなかの袋に隠れて来んさるだで」。
頭がクラクラしてきた。この子の世界のなかでサンタさんは、今でいうNPOを作って活動している。この子はサンタクロースを信じているが、そのプレゼントの代金は親が支払っているという身も蓋もない真実も認識しているのだ。ぼくはさらに聞いた。「サンタ協会の電話番号と銀行口座を教えてえな」。「銀行口座は知らん。ぼくはまだ子どもだけえなぁ。でも電話番号は知っとる」。一呼吸おいて彼はこう言った。「22(にいにい)のサンタサンタ」。
「夕日」は中高年のノスタルジアに訴えかける映画なのかと思っていましたが、若い人にも支持されているようですね。慶応の文学部の女子学生に、「『夕日』をみて感動してが、昭和のあの時代を研究するためにはどんな専攻に進めばよいのだろうか」という質問をされました。たぶんまだ歴史学の対象にはなっていないはずだから社会学がよいのではないかと答えておきました。ベルバラブームでフランス革命を研究しようという学生が増えた時代がありましたが、「夕日」現象は戦後のあの時代の研究を志向する若者を増やすかも知れません。