ガラパゴス通信リターンズ

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素人の乱

2009-07-09 14:40:36 | Weblog
東国原知事と橋下知事が、彼らの応援がぜひとも欲しい政府与党を揺さぶっています。「自分を総裁にしろ」という東国原の言は世の不興を買っていますが、しかし筋が通っているといえなくもない。財源や権限が制約されていて、地方自治体の首長は何もできない。自分の力が必要だというのなら、トップにすえて地方分権を推進させろ。彼がどんな人間であり、本当は何を望んでいるのかをかっこにいれれば、そんなにおかしなことを言っているわけではありません。

 橋下知事が、国の直轄事業の地方分担金を拒否した時に思ったことがあります。浅野、片山等々、そうそうたる改革派知事がそろっていた時にどうしてこの不合理な制度を問題にしなかったのかということです。橋下は大嫌いです。光市事件の弁護団への懲戒請求を煽った発言が示すように、この人は知事という公人の立場にいる資格を欠いています。ただ、直轄事業地方負担金制度を「ぼったくりバー」に喩えたことには共感しました。

 思えば浅野も片山ももとは霞ヶ関官僚。そして三重県の知事だった北川は自民党の閣僚まで務めた代議士だった人です。自分が地方にやらせていたことだから、それを知事になってやめさせれば自己否定になるということでしょうか。官僚や保守系の元代議士が多数を占めていた「改革派知事」の限界を橋下たちが浮かびあがらせた形です。結局浅野や片山も「中央が地方より上」という認識からは離れられなかったのかもしれません。同じ限界を一橋大学卒で、中央のシンクタンクや官僚の世界にもパイプをもっていた田中知事にも認めることができるでしょう。

 「改革派知事」の時代は、政治や行政のプロフェッショナルによる改革の時代だったといえます。それに比べて今回の「知事の反乱」は「素人の乱」だということができるでしょう。しかし、彼らはいずれも人格や思想の面で疑問符のつく存在です。竜頭蛇尾に終る予感を禁じえません。