ガラパゴス通信リターンズ

3文社会学者の駄文サイト。故あってお引越しです。今後ともよろしく。

♪私がおばさんになぁっても

2008-04-23 06:28:28 | Weblog
 先週の授業で、最近では「青年期」がどんどん後ろにのびていて、最近の官庁統計では、34最までが若者=青年のくくりに入っている場合があるという話をしました。30代前半の「高齢フリーター」の論客は、自らを「若者」と名乗っています。この話をしていると、教室の中から「ぎゃあー」という叫びがあがりました。なんで叫ぶのか。そう学生に聞くと「だって34歳って、おじさんおばさんじゃん」と実も蓋もないことをいいます。

 いつまでも大人にならない時代だとか、青年期が後に伸びているとかいうけれども、「30過ぎればおじさん、おばさん」という若者たちの感覚には、変化はないようです。就職や結婚で社会人として身を固める時期が後ろに延びている。これを「ポスト青年期現象」といいますが、青年・若者の社会学的定義と、何歳までが若いのかという感覚とはまた別物のようです。

 私の学生たちはときに矛盾したことをいいます。「まだ自分は子ども」といいながら、「うちらは若くないから」。「大人」の内実を満たしているとは思えない。しかしメディアや消費産業がもちあげる「若者」は、女子高生か、あるいはもっと下の年齢を指すようになってしまった。大人でも若者でも子どもでもない。あるいはそのすべてでもある。そうしたアイデンティティの宙吊り状態に彼女たちはいるのかなあ、と思いました。

 就職と結婚とによって青年期が終わるのであれば、フリーター現象と非婚晩婚化によって、「ポスト青年期」は果てしなく後に延びる可能性があります。官庁統計のくくりで、若者・青年の次にくるのが「後期高齢者」。そんな時代は来るのでしょうか。話としては面白いのですが、それはやはりギャグの域を出ないと思います。生殖の能力がやはり若さの前提でしょう。いまは女性ばかりでなく、男性にも更年期があることは広く知られています。いくらなんでもポスト青年期も、40の手前ではとまるでしょう。