バイブルランドin福井

安田由久が驚くべき聖書の世界をご案内します

貿易に依存する都市の脆弱な基盤  

2024-07-18 04:00:00 | 時代を切り開いた預言者たち イザヤ書
イザヤ書
◆ティルスの審判
 23:1 ティルスについての託宣。泣き叫べ、タルシシュの船よ。

ティルスは破壊され、住む家もなくなった。

キティムの地から帰るやいなや/彼らはそのことを知らされた。

 23:2 嘆け、海辺の住人たち/シドンの貿易商たちよ。

お前の使者たちは海を渡り

 23:3 大いなる水を越えて行き/シホルの穀物、

ナイルの収穫がお前の収入となり/お前は国々の行き交う場所であった。

 23:4 うろたえよ、海の砦シドンよ。海がこう言っている。

「わたしは産みの苦しみをしない。子を産み、若者を育て/おとめらを、

はぐくむことはできない」と。

 23:5 この知らせがエジプトに達したとき/人々はおののいた/

ティルスについての知らせを聞いたときのように。

 23:6 渡って行け、タルシシュに。泣き叫べ、海辺の住人たちよ。

23:7 これがお前たちの陽気だった海辺の町か。

町の初めは、遠い昔にさかのぼり/足である船は、

移住の地を求めて/遠くへ市民を運んだ。

 23:8 ティルスに対してこのように定めた者は誰か。

ティルスは王冠を戴き、その貿易商人たちは貴族。

取り引きする者らは世界に重んじられていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ティルスに船団を送っていたタルシシュ(注・01)は、

豊かな工業都市でした。

当時としてはかなりパレスチナからは遠いところにある都市でしたが、

ティルスにとっては重要な取引相手として重要でした。

ヨナがニネベに向かった時もタルシシュ行の船でした。

2-3節には地中海沿岸の都市名が出てきます。

いずれもエジプトで採れた穀物などを様々な国々に売りさばく

交易が盛んなところでしたが、

どれもティルスの崩壊で不可能になったのです。

これは今日でも海に囲まれた日本でも学ぶことが必要です。

今後、中国軍が台湾海峡封鎖など考えられますし、

中東でもスエズ運河封鎖など戦争激化すれば、何が起こるかわかりません。

2節からシドン(注・02)が出てきます。

この都市も子を産む苦しみも知らないほど何の苦労もせずに

莫大な富を得ていたのです。

貿易に依存する日本もシドンのようなことにならないよう祈るのみです。



タルシシュ(注・01)
タルシシュ(Tarshish)は聖書に登場する地名である。本来の語義は「精錬所」を意味するといわれている。現在のトルコ地中海岸のタルススとする説とスペイン南部のタルテッソスとする二つの説がある。ヤペテの子孫ヤワンの子孫であるタルシシュ族が居住した場所である。タルシシュは銀、金、鉄、錫、鉛などの産地、加工地として広く知れ渡っていた。ソロモン王はフェニキヤの都市国家ツロを仲介としてタルシシュと交易をしていた。ツロは「タルシシュの娘」と言われるほど結びつきが強かった。この交易を目的とした遠洋航海のために大型の船が建設されて、大規模な商船隊が組まれ「タルシシュ船団」と称された。「タルシシュ船団」は「大掛かりな交易船団」をさす慣用表現になった。預言者イザヤは神の優越性が「タルシシュのすべての船と望ましいすべての小船とに臨む」。また、預言者ヨナはニネヴェで宣教をせよとの神の召命に逆らってタルシシュ行きの船に乗り込み、大嵐に遭った。火星の巨大な火山台地であるタルシスは、タルシシュにちなみ命名された。

シドン(注・02)
東地中海岸のフェニキア人の拠点となった都市の一つ。ティルスなどと共に地中海交易と海軍力で繁栄した。東地中海海岸にあってティルスと並びフェニキア人の海上貿易の拠点として栄えた。現在のレバノンのサイダーという町にあたる。その南に位置するティルスとともに、前12世紀ごろからガラス細工や紫の染料などの手工芸品の輸出によって繁栄が始まり、世襲の国王の治める王国となったが、前8世紀以降はアッシリアや新バビロニア王国に征服されたことにより衰えた。前6世紀にはアケメネス朝ペルシア帝国の支配がおよび、シドンはティルスなど共にその保護を受け、交易活動を保護され、またペルシア海軍に艦船を提供した。ペルシア戦争のサラミスの海戦などではペルシア海軍の一部としてアテネなどギリシア海軍と戦い敗れた。しかし、海港としての繁栄は続き、前5世紀の半ばから貨幣を発行しており、それはティルスやカルタゴよりも早かった。前332年にマケドニアのアレクサンドロス大王の遠征軍が迫ると、城門を開いて降伏し、ヘレニズム世界に組み込まれた。セレウコス朝シリアがローマに滅ぼされると、属州シリアの一部となった。7世紀にはイスラーム勢力がおよんでイスラーム化が進んだが、その後も東地中海の良港として存在したので、十字軍はこの地のイスラーム軍と激しく争うこととなった。(世界史の窓)


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