太った中年

日本男児たるもの

主婦投資家

2009-10-07 | weblog

以下、プレジデントロイターより転載。奥さんたちも世界不況を味わっていた。

 

沸騰!匿名座談会 *写真はイメージです

主婦(仮名)大黒美千代・46歳。首都圏の高級住宅地に居を構え、夫(48歳)の経営するIT企業の役員に名を連ねる。FX投資で2500万円が消えた。株投資で稼いだエルメスのバーキンを3つ保有。

 

主婦(仮名)高橋百合・35歳。昨年末に派遣先を解雇され、同棲中だった会社員の夫(38歳)と入籍。夫の年収800万円は漸減中で、「4000万円で購入したマンションのローンが厳しい」。

 

主婦(仮名)中西まゆみ・37歳、都内在住。外資系金融機関を退職。退職金をつぎ込んだ投資信託が半減したが、すでに億単位の資産を蓄積し、金融機関勤務の夫(39歳)も引退が視野に。子供なし。

 

貯金がゼロに! 投信・FX妻たちの天国と地獄

「FXをやる前の私の700万円と夫の300万円が消滅。運用の履歴書はもう見たくない。奥にしまい込んである」

“貯蓄から投資へ”のスローガンが掛け声倒れに終わった今、3人の主婦投資家に語っていただく機会を得た。投資を始めたきっかけは様々だが、おのおのがFX(外国為替証拠金取引)や投資信託で大きな傷を負っている面々だ。

かろうじて余裕資金の消滅で済んだ方がいる一方で、窮乏生活を強いられている方もいるなど一様ではないが、グローバル経済急転落のあおりをまともに受けた彼女たちに「敗戦の弁」をきいた。

――FXを始めたきっかけは?

大黒 円・ドルの取引から始めて、変動幅の大きい円・ポンドに切り替えました。為替取引は10年くらい前から。友人の紹介で、「小遣いを稼げたらいいかな」と思って始めました。本格的にのめり込みだしたのは3年前。仕事や株で貯めた100万円が原資でした。

――株もやっておられたんですね。

大黒 バブル期にやってましたが、今は凍結状態(苦笑)。自営なので、仕事の合間でも手軽にできるし、FXのほうが安全だと思って小遣い稼ぎに始めました。

中西 私は投資信託が主。共働きの夫がネットでアドバイザーを見つけてきて、2005年、年率10%を目安に2000万円から始めました。

高橋 まだ結婚前でしたが、夫の勤務先でやっている人が多くて、「何でやらないんだ」「簡単だぞ」といわれて、07年の2月から夫が300万円、私が貯金700万円のうち500万円を元手に始めました。受付のオペレーターだったから、ネットは使い放題。帰宅後もずっとパソコン。中毒みたいなものですね。

大黒 私は自宅のパソコン。あまりマメじゃないので、「レートがこのへんまできたら無条件で売る、買う」という基準をつくった。ポンドが動くのって夕方なんです。早出のヨーロッパ勢(の機関投資家など)が出てきて相場が動くから。

高橋 円とオーストラリアドル(との売買)で始めたんですが、動きが少ない。主人の周囲の人が(動きの激しい)ポンド、ポンドといってたので、すぐに円・ポンドにいっちゃいました。

――どれくらい儲かったんですか?

大黒 最初は1日5000円とか1万円程度でしたが、のめり込みだしてからはちょくちょく見るようになって、一番儲かったのは去年の4月18日。1日で70万円儲けました。

――イギリスの中央銀行の金融機関支援策が出て、ポンドが急上昇したときですね。

高橋 すごーい! 私は最高で月100万円くらいです。ただ、画面の上だけの話で、儲かった分も換金せずにどんどん賭けていったので。でも、調子のいいときは朝起きれば上がってるし。

大黒 やってて一番面白かったのは、市場が総崩れする直前の昨年9月頃でした。スワップポイント(2つの通貨の金利差でつく儲け分)だけでも月に10万円くらいついてました。生活費とは別に、それだけのお金があったら嬉しいじゃないですか。毎日、パソコンの画面を見るのが楽しい。

中西 夜中につい、パソコンやケータイを開けて「うふっ」と笑って、また寝るとか(一同爆笑)。

高橋 みんな、やること同じですね。

大黒 あるとき、300万円入れた元手が400万円に増えた。嬉しくって、100万円の(エルメスの)ケリーバッグ買っちゃいましたもん。

一同 おー(感嘆の声)。

高橋 一昨年の7月には、250万円ずつ2つに分けていた元手の一方が850万円まで増えてました。夫の300万円も500万円に増えたから、お盆に2人でセブ島に行ったんですけど……。

――サブプライムが本格化した頃?

高橋 そう。時期が悪くって、1日中現地のネットカフェにこもってました。夜は夜でケータイをずっと使い通し。全然楽しめなくて。旅費の40万~50万円はカード払いだから、結局は私の生活費をそのまま使ったことに。帰国したら、パケット代も2万円超えてました。それ以降は損ばっかり。3日で250万円がなくなったこともありました。お金を次々に追加しても焼け石に水。どんどんロスカット(損切り)され、9月や10月には私も夫もちょっとおかしくなってた。

中西 (絶句)……貯金は今、どれくらいあるんですか?

高橋 今ですか?(苦笑)年末に結婚したときはゼロ。FXをやる前の私の700万円と夫の300万円が消滅。でも、カネの切れ目が縁の切れ目にならず、かえってしがらみがなくなったことで結婚に踏み切れた感じ。ただ、運用の履歴書はもう見たくない。奥にしまい込んである。

一晩で600万消滅! 投信・FX妻たちの地獄と今

「今、手元にある800万円は、保険からの貸し付けと友人からの借金です。いつ何が起こるかわからない」

ふりかけご飯で何とかしのぐ毎日

大黒 ほんと、ポンドがここまで下がるとは、私も考えが甘かった。

中西 どれくらい消えたんですか?

大黒 トータルで……2500万円。

一同 えーっ!?

大黒 元本割れはかろうじて免れましたけどね。特に去年の10月7日は、一晩で600万円が消えたんです。前日急落したポンドに、また上がると思って買いを入れたんです。何となく嫌な予感がしたんですが、朝、起きたら画面がゼロになってた。もう、頭の中が真っ白ですよ。主人には内緒の分だったので……。

高橋 なんか男っぽくてカッコいい。

――アメリカで金融安定化法が成立したときですね。欧州に金融危機が飛び火し、円以外の主要通貨が叩き売られた。

中西 私は目標額1億円まで増やしたら、年利4~5%の金利生活に入る計画で、東欧やインド関連の(年利)20%くらいのにバンバン突っ込んだんです。そのうち双方の実家に「やらない?」と声をかけました。主人の実家は2000万円を市場並みの金利のタイプに、主人の弟は1000万円を外貨建ての元本保証型に、ウチの実家も円建ての元本保証型で年利3%、毎年60万円小遣いが出るタイプに2000万円入れました。

――じゃ、親族を巻き込んで……。

中西 はい。去年の2月か3月からおかしくなりだして。運用成績は毎月10日にウェブ上で見られるんですが、ウチも双方の実家も2000万円が半減。義弟は数百万円の大損。今は、塩漬けしたまま見て見ぬフリしてます。

大黒 ケリーバッグを2000万円超で買った計算になった(苦笑)。今、手元にある800万円は、保険からの貸し付けと友人からの借金です。いつ何が起こるかわからない。正直、毎日が不安ですよ。今も勝負はしてますが、一度に1万円程度。そりゃビビりますよお。

高橋 大きく使ったのはセブ島旅行と、夫が10万円の腕時計を買ったくらい。月20万円のマンションのローンが残って、生活もままならない。ブランド物のバッグを質屋に出し、信用できる人から50万円ほど借りて生活しています。毎日をふりかけご飯でしのいで、ドッグフードも安いのに替えた昨年末、今度は私が派遣切りにあったんですよ。

一同 ……。

高橋 主人は負けず嫌いで、私に隠れてケータイで3万円、5万円でまだやってた。パソコンで見ればすぐバレるのに、男って可愛いというか。「解約するからね!」ってケンカしました。もう一度やれといわれてもイヤ。恐怖ですよ。

――貴重な体験談、有り難うございました。