残照日記

晩節を孤芳に生きる。

政局炎上

2011-02-21 12:58:58 | 日記
すべての人々をしばらくの間愚弄するとか、
少数の人々を常にいつまでも愚弄することはできます。
しかしすべての人々をいつまでも愚弄することはできません。
──クリントンにおける演説の一節(1858年9月8日)
(「リンカーン演説集」岩波文庫)

<鳩山前首相が釈明「方便とは真理を導く手段」──民主党の鳩山前首相は20日、北海道伊達市で開いた自らの後援会会合で、米軍普天間飛行場の沖縄県外移設断念の理由に海兵隊の抑止力を挙げたのは「方便だった」と発言したと報じられた問題について、「方便とは、真理を導くための手段(という意味)だ。真理、すなわち(名護市)辺野古への移設へ導く手段として、抑止力という考え方を言った」と釈明した。出席者からは「(発言は)慎重にしてほしい」などの苦言も出た。>(2/20 読売新聞)

∇鳩山前首相が相も変わらずこんな馬鹿な発言を繰り返したり、小沢元代表が国会証人喚問はもとより、政治倫理審査会に出ようともせず、「国民の為」と称して“こじつけ居座り”をする中、それを支持する民主党議員16人が、マニフェストを「捨てた」(?)として造反する“異様な行動”があったり、それを菅首相や執行部が防ぎきる人望もリーダーシップも見られない等々で、菅政権も愈々土壇場を迎えたようだ。国民不在で、選挙目的の権力争奪抗争のみに明け暮れる与野党ダメ政治に対し、リンカーンの<すべての人々をいつまでも愚弄することはできません>の予言どおり、“日本政治の瓦解”の前兆が最新の世論調査でもくっきり浮かび上がってきている。<内閣支持率20%、「早く辞任を」49%>(朝日新聞)<菅内閣支持19% 「早期解散を」60%>(毎日新聞)<内閣支持17.8%、民主政権で最低=不支持63.7%>(時事通信) 以下、共同通信、NHK、日テレNNN等々も傾向は殆ど変わらない。

∇内閣を支持しない理由は、<「期待が持てない」40.3%が最も多く、「リーダーシップがない」34.9%、「政策が駄目」24.2%。(複数回答)>(時事)<「首相に指導力がない」が30・5%と最多。次いで「経済政策に期待が持てない」の27・4%>(共同)<「政策に期待が持てないから」と「実行力がないから」が、 それぞれ40% >(NHK)などとなっている。仮にいま投票をするとしたら、<衆院比例区投票先は、民主党19%、自民党25%。政党支持率は、民主党19%、自民党18%>(朝日)、<比例代表の投票先は民主党21%、自民党26%。みんなの党が4ポイント上昇の15%>(毎日)<政党支持率は、民主党が22.4%、自民党は30.4%と差が広がっている。また、みんなの党は5.0%、公明党は2.6%、共産党は2.6%)、社民党は1.6%だった。>(日本TV)

∇そこで、衆院の解散・総選挙については、<「できるだけ早く実施すべきだ」39%を、「急ぐ必要はない」49%が上回った。>(朝日)<「できるだけ早く行うべきだ」が60%、「早く行う必要はない」が36%になった。>(毎日)<「平成23年度予算案が成立した後、今年の春ごろに行うべきだ」が25%、 「通常国会が終わる今年の夏ごろに行うべきだ」が22%、 「今年の年末までには行うべきだ」が17%、「再来年の任期満了まで総選挙を行う必要はない」が24%だった。>(NHK) 民主党のマニフェスト見直し方針を巡っては、<「全面的に見直すべきだ」が49%、「一部の見直しにとどめるべきだ」が41%に上り、見直し派が計9割に及んだ。>(毎日)<71.9%の人が「支持する」、19.5%の人が「支持しない」と答えた。「見直す必要があると思う政策」については、「子ども手当」が42.8%でトップとなり、「年金制度一元化と最低保障年金」(35.4%)、「高速道路無料化」(32.5%)>(日本TV)だった。

∇<社会保障と税の一体改革に関し、79・8%が野党も与野党協議に応じるべきだと回答し、一体改革に伴う消費税率引き上げでは「どちらかといえば」を含め賛成が55・9%、反対が41・9%だった。適当だと思う税率では「8%程度」が47・3%と最も多く、「10%程度」33・5%、「15%程度」4・7%と続いた。>(共同)<「消費税率の引き上げが必要だと思うか」という問いには、58.5%の人が「思う」、34.4%の人が「思わない」と答えた。社会保障と税の一体改革をめぐり、「与野党が協議のテーブルにつくことに期待する」と答えた人は65.2%、「期待しない」と答えた人は24.9%だった。>(日本TV)<「ねじれ国会」をどう打開すべきだと思うか聞いたところ、 「衆議院の解散・総選挙で改めて民意を問うべきだ」が45%で最も多く、 次いで、「与党と野党が政策ごとに連携すべきだ」が32%、「与党と野党の一部が 連立政権を組むべきだ」が8%、「与党と自民党が大連立政権を組むべきだ」が5%>(NHK)だった。

∇要するに現在内閣支持率は20%を切り、不支持率は6割強で、「今のまゝではもう結構です。何とかして欲しい」という悲痛の叫びが世論調査の「声」である。何故か。現政権の経済政策や首相の決断力・リーダーシップに期待がもてないから、だという。そこで衆院の解散・総選挙についてを問うと、朝日は急ぐ必要なし50%、毎日は急げ60%、NHKは解散45%・与党と野党が政策ごとに連携すべきだが32%しかも解散時期は全くバラバラ、と世論はまだどちら側一方にも固まってはいない。それより先に、「ねじれ国会」を乗り切るには野党も与野党協議に応じるべきだ、とする意見が根強いからである。(共同8割)(日本TV65%) 政策面では、マニフェスト見直しには7割~8割が賛成し、消費税率アップにも55%~58%が止むを得ないだろうとしている。すると残るは消費税率を何%にするか、「子ども手当」「年金制度一元化と最低保障年金」「高速道路無料化」等をどうするかを与野党が「熟議」すればよいだけのこと。

∇「政治とカネ」、所謂小沢問題に関しては、<民主党内の小沢一郎元代表に近い国会議員から菅首相の退陣を求める動きが出ていることについては「評価しない」が69%に上った。小沢氏に対し、民主党が裁判終了まで党員資格を停止する処分を打ち出したことについては、「適切だ」が52%、「軽すぎる」が28%、「重すぎる」が9%だった。 小沢氏が、議員辞職や離党を必要ないとしている主張については、「納得できない」が72%だった。>(朝日)<小沢一郎元代表の処遇について、もっと厳しくすべきだ」との回答が42%を占めた。「妥当な処分だ」が39%に上り、「処分の必要はない」は16%だった。>(毎日)<政治資金規正法違反の罪で強制起訴された小沢一郎民主党元代表の対応をめぐっては52・8%が議員辞職を求めた。>(共同)──小沢氏やそれを支持する一派の議員諸君は、自分たちが起こしている“異様な行動”の否を素直に見つめ直さねば“次がない”ことを知るべし。 

∇一番厄介なのが、未来を託せる確固とした政党が無いことだ。仮にいま投票するとしたら、衆院比例区投票先は、<民主党19%、自民党25%。>(朝日)、<民主党21%、自民党26%。みんなの党が15%>(毎日)で、政党支持率は、<民主党19%、自民党18%>(朝日)<民主党22.4%、自民党30.4%、みんなの党5.0%、公明党2.6%、共産党2.6%)、社民党1.6%だった。>(日本TV)。要するに民主・自民が拮抗し、あとは、あってもなくてもよい小党ばかり。このまゝ解散・総選挙になったら、自民・民主の孰れが勝っても、再び「員数足らず」の「ねじれ国会」が待っている。これでは二大政党どころか、首長座欲しさの群小政党が増加するばかりだ。菅首相本人は、民主党内から首相退陣論が出ていることに関連し、「政局の問題ではなく国民生活の長期的観点からぜひ実行していきたい」と続投に強い意欲を示しているそうだ。述べたき自論は色々あるが、今朝の朝日新聞社説の呼びかけを掲げて一旦締めよう。

◆<小沢氏流を超えて:「倒閣」の時なのか ──もとより政治という営みは権力と無縁では成り立たない。今後も時に「政局」と呼ばれる抗争局面が訪れるだろう。しかし、物事には限度がある。 ポスト小泉の日本政治は、政争がひときわ絶え間ない。首相の「たらい回し」は目に余る。その多くに小沢氏の影が見える。 そろそろ、権力闘争にうつつを抜かす政治から卒業する時である。 甘い言葉で権力を奪う政治から、苦い現実を見据える政治へ。白紙委任を得たかのように振る舞う指導者から、丁寧に説明し、説得する指導者へ。与野党が非難の応酬に終始する国会から、政策本位で合意を探る国会へ。 菅政権は低迷を脱せず、民意の評価は一層厳しい。それでもなお、誰もが日本の難局を痛感している今このとき、「倒閣」だ、「解散」だとぶつかり合っている場合だろうか。>