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ばん馬のいる風景-BANEI Photo Gallery -

ばん馬や馬文化のコラムと少し写真。そのうちはてなに移行します。

2006年のこと その4

2020-05-01 20:40:00 | ばんえい資料
10月末、新聞で岩見沢のバー店主のKさんがばんえいの存続署名を集めているという記事を見た。
早速連絡をとって、署名用紙を送ってもらった。PDF化して誰でもダウンロードできるよう、ホームページを作った。
結局この署名用紙のパターンが、最後まで署名用紙の形として統一されていたと思う。
Kさんには最後までお世話になりました。

当時はインターネットはあったが今ほど情報が飛び交ってはいない。
TwitterもFacebookもLINEもない。ホームページとブログくらいかな。2chはあった(笑)
「廃止か」の文字に、廃止と勘違いした人が「廃止なんですね、残念」とブログに書く。
そんなコメントを見つけては、「まだ廃止と決まったわけではありません。望みはあります。署名を集めています」などといちいち書き込んだ。
「ただのファン」が廃止に反対することが重要だと思っている。

センセーショナルな記事ばかりが目立ってしまうが、丁寧な取材もある。
「ばんえい競馬NEWS」というブログを作り、新聞記事をできるだけ多く載せることで、現在の状況を理解してもらおうと思った。存続後に歴史としても残ると思った。
ホームページに出ないけれど、重要な記事を打ち込んでくれた人もいた。
著作権云々はすいません……
それらは今、TwitterやFacebookのばんえい紹介ページとして続けている。
(Facebookは昨年度で終了しました)

ホームページでばんえい応援をしていたのはもちろん私だけではなくて、多くの人が、自分のページで署名を集めてくれた。ばんえいへの思いを語ってくれた。
廃止になった競馬場のファンは「もう競馬場の廃止は見たくない」と応援してくれた。地方競馬ファンのネットワークはすごかったな。
イラストを描いてくれた人、私と同じように「廃止と決まっていない」というコメントを残してくれた人。
競馬、馬、というつながりしかない、知り合いでもない遠くの方も動いてくれた。
懐かしい馬友達も「ゆかさんの名前を見ました。」と、連絡をくれた。

誰一人欠けても、存続はなかったと思っている。

2006年のこと その3

2020-04-27 22:24:48 | ばんえい資料
10月。北見競馬が始まり出す頃、雲行きが怪しくなる。
旭川と北見だけではなく、ばんえい自体が危ないという。
私はばんえいを勉強し、本当のおもしろさがわかり始めた一番楽しい時だった。
何かできることはないのか。でも、新参者の私に何ができる?

「署名は集めないんですか?」 門別で見かけたばんえいファンに聞いてもぴんと来ない様子。
広報の方に聞いてもそのような話は聞かないという。広報の方は全国のファンに情報を提供し、楽しませてくれていた。
それなのに、いざというときに誰一人として動いていないのか-。

知っているからこそできない、ということもある。
動きすぎてでしゃばった人が、かえって悪影響だったというような話も聞いた。
存続したとして、お前は責任を取れるのか。
部外者が言うことか。
そういうことなんだろう。

でも、ばんえいがなくなるって大変なことだ。自分の趣味が一つなくなるだけじゃない。
ばんえいには北海道の歴史がある。それをなくしていいのか? なくなったら歴史的に大変なことになるって、気づかないのか。
ばんえいの人が好きだ。調教などで声をかけてくれる、人懐っこい笑顔がいい。口が悪いけれど優しい。
あの人たちを悲しませたくない。

そう、私の一番の思いは「あの人たちを悲しませたくない」だった。

2006年のこと その2

2020-04-26 13:15:04 | ばんえい資料
この時にはすでに、危機感を持った人たちが、ばんえいを応援しよう、と企画を持ち出していた。
北海道じゃらんは「応援弁当」を売り出した。グラビアアイドルを支える芸能プロの野田社長が「BANBA王」などの番組を放映した。
夏は岩見沢開催。札幌に住んでいた私にとって行きやすい場所。
札幌競馬の新馬戦を見てからでも間に合う。(JRAより少し遅いくらいのスケジュールだった)
スタンドで応援弁当と、場内で騎手が焼いた焼き鳥を食べながら(当時、騎手や調教師も危機感を持ってファンサービスを行っていた)、夏の終わりを感じていた。
いろいろなことが楽しかった。リッキーが馬車を引いて、背中に人を乗せていた。
ここにいると全てを忘れ、幸せだった。

「旭川と北見は撤退して、岩見沢と帯広だけになると思う」。
ここでそんな話を聞いた。ちょっと嫌な予感がしたけれど、あまりに楽しいから、来年はちょっと違うばんえいになってしまうんだ、くらいに思っていた。
旭川でのばんえいは見られなくなってしまうんだ。北見もまた行かなきゃな。
岩見沢の丘に吹く、夕方の生暖かい風が優しかった。
サダエリコは美しく、金山調教師がかっこよかった。アンローズがかわいかった。
最後の岩見沢競馬場になるなんて、全く想像していなかった。

2006年のこと その1

2020-04-23 17:22:15 | ばんえい資料
時間がある今、昔のパンフレットや資料をを整理しています。
ばんえいが廃止になりそうだった2006年。これらを見ていると、忘れていたことも思い出してくる。
当時、自分が思っていたことや周りの出来事をまとめてみました。
あくまでも私(の周り)のみの話です。


1990年代後半。中央から競馬をはじめ、とりこになっていたわたしはだんだんと地方競馬に引かれていった。
アットホームさ、廃れた雰囲気(当時)、マニアック感、牧歌的な雰囲気。
基本マイノリティーなので自然な流れ。
ホッカイドウ競馬に好きな馬ができ、サポーターズクラブで新しい友達に出会った。
サカノタイソンが出るというので、初めてばんえい記念を見に行った。
この頃、競馬場がぽつぽつと廃止になっていた。
ホッカイドウ競馬やばんえい競馬の存続も危ぶまれていたので、応援しなきゃ、という気持ちもあった。

すっかり道営ファンになっていた2006年。ふと「今年はばんえいを勉強しよう」と思いつく。
その数年前から、たまに競馬場に行ってばんえいの写真を撮っていた。そり一つ撮っても絵になる。写真の題材として魅力があった。当時は広報の方が、アマチュアカメラマンを内部に入れて撮影させてくれたのだ。
写真を撮るだけじゃなく、競馬についてきちんと理解しよう。馬場水分、ルール、馬具…。
競馬新聞をじっくり見て、本を読んだ。
写真でばんえいを紹介しよう、と拙ブログ「ばん馬のいる風景」がスタートしたのもこの年だ。

あとで話を聞くと、今ばんえいにはまっている人の何人かが「ばんえいに出会ったのは2006年」という。
運命の渦に巻き込まれたかのように、この年、いろいろなことが動きはじめていた。

ばんえい本のご紹介 2019編・馬の仕事編

2020-03-24 23:07:30 | ばんえい資料
久しぶりのばんえい本コーナー。2019年に発行された本、紹介し忘れていた本などのご紹介です。

「ばんえい競馬今昔物語」(古林英一、ソーゴー印刷、2019)
ついに出ました、われらが古林教授によるばんえい紹介本です。「本にしてまとめたいんや~」と長年話しておられましたが、ようやく!!ありがたいです。
草創期から黄金期、そして存続について。一冊でばんえい競馬がわかるようになっています。
農業・環境経済学が専門ですがギャンブル学の論文も多いので、ホームページでご確認ください。
http://a-ichi.blue.coocan.jp/


「馬を巡る旅 ~厩舎の四季~」(小檜山悟、三才ブックス、2019)
JRAの小檜山悟調教師による競馬ブックの連載。4冊目は第4章がまるまるばんえい。そのほかにも重種馬の話題があります。

その前は「馬を巡る旅」(2016)、「馬を巡る旅~遥かなる旅路~」(2017)、「馬を巡る旅~旅路の果ての夢~」(2018)と発行されています。


こちらは紹介を忘れていた本です。あとで絵本のところにも載せます…

「仔馬のハル」(みしまてんとう、福音館書店、1996)
ばん馬レースに出る仔馬のハルのため、兄弟は草をたくさん刈ってあげます。レースの次の日、ハルに大変なことが……
不思議な内容ですが、その理由がわかれば涙が止まらない、切ない本。大好きな本です。なのに忘れてた…



以下は、重種馬や、馬の仕事、北海道の馬の歴史などについて書かれた本。

「馬と生きる」 (月刊たくさんのふしぎ2019年11月号) 澄川嘉彦著、五十嵐大介イラスト、福音館書店
岩手県遠野市で、馬を使って木を運び、ともに生活する「馬方」、見方さんを紹介しています。大人が読んでもわかりやすい、というより大人が読んでほしい。
現在、馬搬や馬耕が見直され、全国各地で研修会が開かれるほどになりました。一度はなくなりかけたこの文化を継承、発展させてきたのが遠野市の岩間敬さん。岩間さんの師匠の一人が、見方さんだそうです。


「颶風の王」(河崎秋子、KADOKAWA、2015)
別海町在住で酪農を営む(当時)作家のデビュー作。「ぐふう」と読みます。明治から現在まで、馬とともに生きた開拓者を壮大なスケールで描く。ばんえい、というよりは農耕馬ですが、ユルリ島や帯広畜産大のうまぶと思われる団体などか登場。これは多くの方に読んでほしいです…。2015年度馬事文化賞受賞。今は帯広にいらっしゃるそうです!


「がんばれ銀太クン 札幌幌馬車ものがたり」(守谷久、共同文化社、2009)
札幌市内をかっぽかっぽと歩いていた、観光幌馬車について書かれた本です。馬の銀太君や御者の渡部さん、創業者の土屋さんについて紹介しています。今は銀太くんが残念ながら亡くなったこともあり休業中。幌馬車はできれば復活させたいそうなので、陰ながら応援しています。