食と世界

食と世界についての雑記 菜食・断食の勧め

戦神ミトラス

2011-10-26 00:10:20 | 聖書


1~4世紀にヘレニズム世界でキリスト教と並存していたミトラス教の見過ごせない多くの共有特徴を取り上げてみよう。

参考元: ミトラ教と神智学 図: 大英博物館
ミトラ= ローマ名:ミトラス
・ ペルシャに起源を持つ戦神・太陽神・契約神。
・ 天の創造主アフラ=マズダーの子。
・ 贈り物を運ぶ3人の賢人によって生誕が祝われた。
・ 12月25日に洞窟で誕生する。(初期キリスト教もイエスは洞窟で誕生したと主張した)
・ ミトラスは光、良き羊飼い、救世主と呼ばれ病気を癒し、盲人に光を与えた。
・ ミトラスは12星座を象徴する12人の友を従える。
・ ミトラスは死の前日に12人の友と最後の聖餐(夕食)をとった。
・ 「太陽の大きな雄牛」として、ミトラスは世界平和のために犠牲になった。
・ 彼は墓に葬られて、3日後に再び起きた。
・ 審判の日に死者は現れてミトラスの裁きを受ける。
・ ワイン(または牛の血)は彼の血として、パンは体として、崇拝者によって拝領された。
・ ミトラスは聖三位一体の一部分。(父・子・精霊)


心を開いた人にはキリスト教がミトラスに倣って作られた詐欺と思わせる程、両者は気味悪く類似していた。4世紀にローマ帝国内でキリスト教が公認されると、困った事にキリスト教徒は度々ミトラス教への弾圧行為に及んだ。キリスト教は悲しいかなこのような自身が“唯一の真実”でなければ気が済まない異教アレルギー&近親嫌悪者だったのである。宗教に寛容なローマ帝国で唯一平和的統治の敵として禁教されたのも無理のない事だった。


紀元後全ローマ的に信仰された農業神アッティスも同じ筋書きを共有する。

参考元: アッティス - バルバロイ! 図: 大英博物館
・ 小アジアフリギュアの青年神・植物神。
・ 12月25日に聖母から生まれた。(処女懐胎)
・ 山に捨てられるが、ヤギによって育てられ、美少年へと成長する。
・ 浮気が発覚して熱愛者の呪いを受け、"過ちの元" =男根を自ら去勢する。
・ 「不吉の金曜日」に松の木の十字架にかけられ、聖職者が墓が空であると分かった3日目に「最も高い神」として復活する。(3月25日)
・ アッティスの流した血は豊穣と罪の赦しとして地上を清めた。
・ 彼の体を象徴するパンが崇拝者に食べられた。
・ 信仰者は去勢して男性器を神に差し出すことで救済者に続くことができた。


人々の救済を達成する犠牲という特徴において、上記2つの神は遥か古代から後に現れる良きガリラヤ人の男を完全に先取りしていた。


同時代の宗教を調べると、キリスト教が地中海周辺を回っていた以前の宗教から作り上げられた二番煎じである疑惑が明らかになって来る。それらは「神の作り変えは無効」「唯一神YHWHは救世主など派遣していない」とするユダヤ教では当たり前の言説に力を与えている点も重要である。



牛を殺すミトラス
Fresque Mithraeum Marino

キリスト教の祭司やミサ、水の洗礼、聖餐式なども、ミトラス教に起源があるという。ここ数百年、暴徒が異邦の地を蹂躙し虐殺を行いわが物顔に振る舞って良い根拠が、実は古代から続いてきた異教の原型的神話のコピーに過ぎなかった薄ら寒さを少しでも脳裏に想像してみていただきたい。

疑う余地なく類似しているものの、男根を失う犠牲を払う事もなく、暴力の渦に呑み込まれて行く人類を見過ごしながら「ただ信じていれば救われる」-そんな馬鹿な物があってたまるか。上記の申し立てられた類似点はここ1500年間の廃物キリスト教に試みるものとして見られなければならないのである。


 




 
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FSM

2011-10-16 03:32:04 | 聖書







空飛ぶスパゲッティ・モンスター教(FSMism)は主に米国のネット上で信徒を増やしている預言者ボビー・ヘンダーソンが2005年に立ち上げた新興宗教。教義の概要は

* 宇宙は空飛ぶスパゲッティ・モンスターによって創造された。
* 最初に創造したものは山、木々、小人一人だった。
* ID論(高度な知性による創造論)における何らかの知性とはスパゲッティ・モンスターを指す。
* ブッシュ元大統領を始めとしたID論推進者は我々の代弁者だ。
* 現代人の背が昔より伸びているのも空飛ぶスパゲッティ・モンスターが一人一人を押さえつけるヌードル触手の数が人口増のために足りなくなった事が原因だった。このように、空飛ぶスパゲッティ・モンスターの存在によって世の中で起こる様々な現象の説明がつくのである。
* 地球温暖化、大地震、ハリケーンや他の自然災害は1800年代に始まる海賊の数の減少の直接的な結果である。
* 信者は海賊の衣装を着る事が好ましい。
* 宗教的な祭日は金曜日。
* 麺類(ヌードル)はスパゲッティ・モンスターの触手を象徴する神聖な食物。
* 教義に固執はしない。
* 入信・退会は自由。
* 天国にはストリッパー工場とビール火山が約束されている。
* 祈るときは「ラーメン」と言う。
* 学校教育では進化論のみならずスパゲッティ・モンスター創造説を教えるべきだ。


スパゲッティ・モンスター アンサイクロペディア



 


グッズ


空飛ぶスパゲッティ・モンスターの福音書


シンボルマーク


信者獲得ゲーム


リンク集 
フランス イタリア スペイン スウェーデン ロシア インド ギリシャ ブラジル
動画  米国 ドイツ パリ


スパゲッティ・モンスター教は「
“何らかの高度な知性”による創造を認めても良いが、それは不完全な極悪のペテンと嘘に彩られているキリスト教のGodとは全く違う存在だという主張を共有したい人に勧められる宗教である。(教会が進化論に噛み付くのは人類の祖アダムに入った罪をキリストの死が贖った点に対応している。









神はまた言われた、「わたしは全地のおもてにある種をもつすべての草と、種のある実を結ぶすべての木とをあなたがたに与える。これはあなたがたの食物となるであろう。 (創世記1:29)

キリスト教の奉じる神とは何者であろうか?―
一般的には唯一神YHWHと思われている。しかしYHWHは人間に規律と奉仕を要求し、その対価として、ユダヤ民族の庇護を約束した存在である。神への犠牲として一人の男を捧げる事で救済が全てなされる発想はユダヤの論理にもない
「キリスト教は聖書を持ち逃げし勝手に神を作り変えた」 ユダヤ教の告訴はキリスト教勢力が拡大し尽くした今も正当性を失っていないだろう。(ユダヤ教は新約聖書を聖書とは認めていない)

キリスト教の神はいわばイスラエルにいる2体目の、子ヤーウェとでも言うべき不完全な神なのであろう。上記のユダヤ教の準菜食行為をすべからく正当化する聖句も律法も人間性ごと解除し、外面的行動は一切問われない奇妙奇天烈な教義の信仰者がおこがましくも旧約聖書に触り、創世記を得意げに語っている様は何よりもまた嘆かわしい実情と言わなければなるまい。



15世紀にオスマントルコの侵攻で東ローマ(ビザンツ)帝国は滅亡した。この時にローマの統治道具として始まった
新約聖書は消滅しローマ統治機構のキリスト教も店を畳まなければならなかった。だが"原罪"を持っていたのがローマ領民だけだと分からなかった教会は、世界征服事業と結合したありがた迷惑な布教活動を続け世界を席巻して来たのである。
ニャンで植民地政策とキリスト教が関係あったかニャン?


虐殺、占領、奴隷制、人口爆発、飢餓、世界大戦― 悪の版図を世界的に広めていく有様を教会は眼前に眺めながらも、後ろで手を束ねたまま、何らの対策も講ずることができなかったのは甚だ寒心に堪えないことであった。

ローマの迫害にあっても霊の炎を燃えたぎらせ、帝国を十字架の前に屈服させた初代教会の精神の光も、時の流れと共にいつしか失ってしまい、今や金銭を必要とする無意味なローマ皇帝賛美機関としてのかすかな残光のみが、先達の残骸を見苦しく照らしているに過ぎないのである。

肉食教の氾濫が高じて年間全穀物生産量23億トンの内、60%以上が世界人口の2割に満たない先進国によって独占利用される事態が生じている。真の福音にとっての最大の障害は聖書を触らせるに足りない詐欺的宗教だと考える人も、FSMイズムに浸ってみては如何だろうか。



画像提供 Church of the Flying Spaghetti Monster








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新約聖書

2011-10-06 00:19:18 | 聖書


今から2千年前、ユダヤ教が“子羊”を殺して神に捧げる供犠を“イエス・キリストの犠牲”に置き換えて新興宗教キリスト教は始まった。十字架にはオシャレなアクセサリーのイメージがあるものの、実際は薄暗い一面血だらけの神殿祭儀の象徴である。

「この御心に基づいて、ただ一度イエス・キリストの体が献げられたことにより、わたしたちは聖なる者とされたのです。」 ヘブライ人への手紙(10:10)




人間がどこまで駄目になるのかの標本としては貴重なキリスト教史を裏で支えた新約聖書は、初期教団においては重要視される物ではなかった。彼らの正典はあくまでユダヤ教聖書であり、それが“旧約聖書”と呼ばれるようになるのは4世紀以後のことである。

「これは神が与え賜うた」と思わせたい作為が生んだ書物に独善排他性の強いキリスト教文書が加えられた事は人類史にとっての一大悲劇になった。
以降聖書は人間(主に異教徒)をいくらはたき殺し・奴隷化しても裁かれない神の兵器と化してしまうのである。





 成立時期 =真正文書 =偽名文書  (推定)
ローマ人への手紙 50年代   ガラテヤ人への手紙 50年代
コリント人への手紙 I 50年代   コリント人への手紙 II 50年代
テサロニケ人への手紙 I 50年代   テサロニケ人への手紙 II 90年代
コロサイ人への手紙 80年代   エフェソ人への手紙 100年代
テモテへの手紙 I II 2世紀   テトスへの手紙 2世紀
マタイによる福音書 80年代   マルコによる福音書 70年代
ルカによる福音書 90年代   ヨハネによる福音書 90年代


あらゆる犯罪行為に手を染めた宗教が課されるべき高等批評の成果で、福音書がイエスの弟子達の著作ではない事、数点のパウロ書簡を除いた約20書が偽名文書(著者不詳)である不吉な事象も欧米の教役者の前では警戒心を持って聞かれる事柄ではなくなっている。(但し、聖書の全容を教え込まれる神学生は牧師など聖職位に就くなり、不思議な程これらの事実を信徒へ語りたがらなくなるとか…)
擬似パウロ書簡 wikipedia

■イエスの最後の言葉
マルコによる福音書
15:34
ルカによる福音書
23:46
ヨハネによる福音書
19:30
「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」 「父よ。わが霊を御手にゆだねます」 「成し遂げられた」

事実を書き取ったものだとするなら、無謬どころか上記の内2つ以上が間違い(又は創作)になる可能性は100%だろう。しかしこれらが文芸作だと考えると『マルコ』は迫害を受ける信者の苦悩を、マルコの数十年後に出来た『ヨハネ』は高度に完成したキリスト教神学を十字架上に描き出したものであると理解できる。

他書とは別物語の『ヨハネ』福音書はイエスが奇跡を行い過ぎてユダヤ人に命を狙われ始める(11章)。
話が他の福音書と全く整合しないではないか、と難癖がつけられるが、これは「我は世の光」としてイエスが盲人に光を与え、「我は死と甦り」の存在として死者を甦らせる象徴的物語なのである。全ては現実に起きた事ではなく寓話・霊的洞察・発想の材料として右脳的に蓄えられなければならない。

■一緒に処刑された強盗たち
マタイによる福音書
27:42-
ルカによる福音書
23:39-
「今十字架から降りてみよ。そうしたら信じよう」。「彼は神に頼っているが、神の思し召しがあれば、今、救ってもらうがよい。自分は神の子だと言っていたのだから」。
一緒に十字架につけられた強盗どもまでも、同じようにイエスをののしった。
一人が、イエスをののしった。「お前はメシアではないか。自分自身と我々を救ってみろ。」
すると、もう一人の方がたしなめた。「お前は神を恐れないのか、同じ刑罰を受けているのに。我々は、自分のやったことの報いを受けているのだから、当然だ。しかし、この方は何も悪いことをしていない」。そして、「イエスよ、あなたの御国においでになるときには、わたしを思い出してください」と言った。イエスは言われた、「よく言っておくが、あなたは今日、わたしと一緒にパラダイスにいる」。

現場に同行していない者が聞き間違いのレベルではないこの書き加えをした以上話の信憑性は失われるが、ルカの主張が字面の外に隠されている箇所と考えられる。歴史ではないものを字義通りの説明的表現として捉えても大切なものは殆ど残らない。



『マタイ』⇔『ルカ』でイエスの血筋が異なるのも、両者が別々の場所で発生したためであった。初期キリスト教は統制の取れない種類多岐なグループだった事が知られており、ローマ帝国の迫害の中でも正統として生き残るため教義の正当化・信者獲得等の要で100を超える文書が生み出されている。(福音書・パウロ書簡共約20種)
新約聖書正典・外典・教父文書一覧


「聖書は神が与え賜うた」
それらは全て神の力で書かれたのだろうか?雑多な書物を“聖書”として纏め上げたのはキリスト教の政治利用を考えたローマの便宜主義だった。新約聖書の記者たちは当然、自著が数百年の後肩を並べて聖書に組み入れられようなどとは知る由もなかったのだ。

聖書の肝要は記述内容よりも"如何なる"書物であるか。大した検証もなく肝心な所は神だの霊だのと誤魔化し、思考停止に陥った様は不名誉な暗黒に暗黒を上塗りした人類史を築いた過去のキリスト教徒と変わりが無い。

ある段階でキリスト教の語る「神」「主」は「ローマ帝国に、「父」とは新約聖書の生みの親である「ローマ皇帝」にある程度置き換えられた事実を知る必要があるだろう。





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