’08/02/10の朝刊記事から
ロシア軍機領空を侵犯 伊豆諸島南部
9日午前7時半ごろ、ロシア空軍の爆撃機1機が、東京・伊豆諸島の南部を領空侵犯した。防衛、外務両省によると、領空侵犯はロシアの輸送機が2006年1月、礼文島の日本領空に侵入して以来。外務省は在日ロシア大使館のコスチン参事官に厳重抗議し再発防止を申し入れた。
航空自衛隊は百里基地(茨城県)や浜松基地(静岡県)などからF15戦闘機や空中警戒管制機(AWACS)など計24機を緊急発進させた。爆撃機に警告したが応答はなかったという。
防衛省によると、爆撃機はオホーツク海上空から太平洋上を南下。小笠原諸島付近で北に進路を変え、伊豆諸島南部の孀婦(そうふ)岩付近の上空を約3分間にわたって侵犯した。
ロシア側は否定
【モスクワ9日共同】ロシア空軍の爆撃機が日本の領空を侵犯したとされる問題で、ロシア空軍のドロブイシェフスキー広報部長は9日「空軍機は所定の任務を遂行したもので、日本の領空は侵犯していない」と述べ、領空侵犯を否定した。タス通信が伝えた。
’08/02/08の朝刊記事から
返還反対集会 実施せず
サハリン 経済協力を重視
【ユジノサハリンスク7日津野慶】7日の「北方領土の日」にちなみ、北方四島を管轄するロシア・サハリン州の州都ユジノサハリンスクで5年連続で開かれてきた「領土返還に反対する集会」が、今年は開かれなかった。日本との経済協力を進める上で、対立をあおるのは「非建設的」と判断したためで、対日関係を重視するプーチン大統領の意向もあるようだ。
返還反対集会は、昨年まで日本総領事館前で行われ、前回は州議会議員や若者など約250人が参加。「千島列島はロシアの領土」などと気勢を上げた。今年は、反対集会に参加していた団体や政権与党「統一ロシア」の幹部らが同日、ユジノサハリンスク市内で日ロの経済協力をテーマにした円卓会議を開催。サハリンの経済発展には、日本との善隣関係が不可欠という方針を確認した。
ただ、領土返還に賛成する声はなく、円卓会議の司会を務めた統一ロシアのイーゴリ・アンドレーエフ・サハリン州調整担当は、「領土問題の解決策は外交官や法律家が検討すること。私たちはプーチン大統領の計画に沿って、北海道をはじめ、日本との善隣関係を発展させることを考えたい」と述べた。
’08/02/08の朝刊記事から
プーチン氏 原則を保持
【モスクワ7日藤盛一朗】ロシアが日本との平和条約交渉に前向きな姿勢を見せているのは、プーチン大統領が就任以来、領土問題解決に強い意欲を示してきたためだ。ロシアは、四島返還要求に全面的には応じないとの原則を崩さないが、日本の主張にも配慮し日ソ共同宣言に基づく歯舞、色丹両島の引き渡し問題と、国後、択捉両島の帰属問題を並行して話し合う並行協議に応じる可能性を示唆している。
プーチン大統領は昨年末の森喜朗元首相との会談で、日ロ経済関係の発展を高く評価。「経済交流の進展は(領土問題を)解決する基礎となる。問題は解決できると確信している」と語った。3月の大統領選では後継のメドベージェフ第一副首相の当選が確実視されており、同市はプーチン氏を新首相に起用する意向だ。
ロシュコフ外務次官は、並行協議について「交渉のカバンに入っている」と述べ、ロシア側が2002年春に拒否した交渉に立ち戻るのは可能との認識を示した。
同次官ら知日派は、歯舞、色丹を引き渡しても、国後、択捉のロシアへの帰属については譲らず、日本国民の訪問自由化、日ロ共同開発などを実施する「2+α(アルファ)」方式の解決を図りたい考えとみられる。
ただ、ロシア側は、福田政権の安定度を注視しており、領土問題の本格的な交渉相手になりうるか、慎重に見極めようとしている。