磯の上に 生ふる馬酔木(あしび)を 手折(たお)らめど 見すべき君が 在りと言わなくに
大伯皇女(おおくのひめみこ)
きれいに咲いているアセビの花を、折り取って持ち帰っても、お見せしたいあなたは、もういないのですね。
1300年も前の万葉集に載っている歌です。幼くして、母を亡くした姉と弟。その弟が、政争に巻き込まれ、若くして死んでしまう。姉は弟への思いを六首の歌に託し、独身のまま亡くなる。という悲しいお話。
よく見ると、すずらん形の花が(でもツツジ科)可愛いのですが、派手な花たちの物陰にひっそり咲いている印象のアセビ。でも、万葉の時代には主役級の美しい花だったのでしょう。日本の国花、桜でさえ、まだ一般に馴染みが薄い頃のお話です。
で、アセビって日本っぽいのに、イギリスにもあるんですか。へー。英名はなんというのですか?
あせび、Pieris(ピエリス)として売られています。辞書で引くとアンドロメダとか書いてますけど、そうは呼んでいない模様。
アンドロメダ星雲?白い花を星に見立ててのことでしょうか。