「禁忌」(原題:Tabu)フェルディナント・フォン・シーラッハ/ドイツ 2015/1 読む
ドイツ名家の御曹司ゼバスティアンは、文字のひとつひとつに色を感じる共感覚の持ち主だった。ベルリンにアトリエを構え写真家として大成功をおさめるが、ある日、若い女性を誘拐したとして緊急逮捕されてしまう。捜査官に強要され殺害を自供し、殺人容疑で起訴されたゼバスティアンを弁護するため、敏腕弁護士ビーグラーが法廷に立つ。はたして、彼は有罪か無罪か――。刑事事件専門の弁護士として活躍する著者が暴きだした、芸術と人間の本質、そして法律の陥穽。2012年本屋大賞翻訳小説部門第一位『犯罪』の著者が「罪とは何か」を問いかけた新たなる傑作。(出版社)
翻訳本の表紙カバーにドイツの原書と同じある人物を正面から撮影した写真を使うように条件がだされた。明と暗に分かれた女性のポートレートのように見えるが、暗の部分の目付き、眉毛を仔細に見ると……。このポートレートの本質は、まったく異なるふたつの極が未分化な状態で提示された合成写真だといえるだろう。すでに作品はこのカバー写真からはじまっていた。
ドイツ名家の御曹司ゼバスティアンは、文字のひとつひとつに色を感じる共感覚の持ち主だった。ベルリンにアトリエを構え写真家として大成功をおさめるが、ある日、若い女性を誘拐したとして緊急逮捕されてしまう。捜査官に強要され殺害を自供し、殺人容疑で起訴されたゼバスティアンを弁護するため、敏腕弁護士ビーグラーが法廷に立つ。はたして、彼は有罪か無罪か――。刑事事件専門の弁護士として活躍する著者が暴きだした、芸術と人間の本質、そして法律の陥穽。2012年本屋大賞翻訳小説部門第一位『犯罪』の著者が「罪とは何か」を問いかけた新たなる傑作。(出版社)
翻訳本の表紙カバーにドイツの原書と同じある人物を正面から撮影した写真を使うように条件がだされた。明と暗に分かれた女性のポートレートのように見えるが、暗の部分の目付き、眉毛を仔細に見ると……。このポートレートの本質は、まったく異なるふたつの極が未分化な状態で提示された合成写真だといえるだろう。すでに作品はこのカバー写真からはじまっていた。