アトリエ 籠れ美

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平成27(2015)年5月4日より

カドミウムレッド(油絵具)

2015-12-15 08:09:07 | 画材、技法、芸術論、美術書全般、美術番組
 油絵具の赤と言えば、バーミリオンとカドミウムレッド。問題はどちらを使うか。もちろんどちらを使っても差し支えないが、バーミリオンは変色するとか言われているし、値段も高価だ。バーミリオンの変色については、現在の精製技術ではまず大丈夫らしいが、全く変色しないとも言い切れないようで、それを回避するためアリザリンクリムゾンを上塗りしておくのが古来からの方法だ。
 じゃあ、めんどくさいからカドミウムレッドでいいや、というわけにもいかないなら話がややこしい。カドミウムレッドは混色時の安定性が弱いらしい。つまりカドミウムレッドと他の色を混ぜて作った色は変色しやすいらしい。これは「美術書全般、美術番組」のカテゴリーで紹介した「絵画の技法」という本のP80、81の表1に書いてある。
 嘘か本当かはわからない。私自身、そんな話はこの本で初めて知った。でもウィンザー&ニュートンの無料のカタログ(写真参照)、これは随分昔に世界堂新宿本店でもらってきたものだが、これによると改良された色一覧表にカドミウムレッドがあり、その改良理由として「色の強度を向上させることで、以前よりも高い着色力と隠蔽力を実現するため」とある。ということはやはりカドミウムレッドは混色時の安定性が弱いことになるのかな。
 じゃあどっちを使ったらいいんだ? という話になる。単色で使うならカドミウムレッドで、混色するならバーミリオンを使う? つまり2色用意すると。実際にそうやっている人もいるんじゃないかという気もするが、そういう話は聞いたことがない。私自身は両方使っことはあるが、特にどちらも使いづらいということはなかった。バーミリオンの変色も、カドミウムレッドを使った混色の変色も、長い年月が経ってみないとわかりませんし、少なくとも今のところはありません。
 悩みだすときりがない。でも気になる。私個人の意見としてはバーミリオンを使う方が無難かなと。ただし高価だし、どの市販のチューブ入り油絵具も顔料比率はそう高くはなさそう。お金持ちだったら、クサカベ・ギルドシリーズのバーミリオン(商品名ブリューゲル レッド)を使うのが一番良さそう。顔料比率は77%だけど、何と定価は6300円! 一度使ってみたいけど、とても高くて買えません。
 バーミリオンとカドミウムレッド、一般的にどちらが多く使われているのか興味がある。いったいどっちが使われている、つまり売れているんだろうか、うーむ。

 付)では私自身は現在どっちを使っているんだというと、実はどちらも使ってません(ええーっ、てこれは本当の話)。もういいんです、私は。赤は赤茶で代用してます(つまりライトレッドの類)。それで十分間に合ってます。っていうか、バーミリオンもカドミウムレッドもあんまり使っていないことに気づいてから、両方とも自分のパレットから排除してしまいました。別段それで不都合もありません。もしどうしても赤茶でなく、赤が必要になったら、そのときは買うつもりでいます。いいんだ、もう、別に。


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