※前回の千葉の記事はこちら(35節・栃木戦、1-0)
※前回の水戸の記事はこちら(35節・仙台戦、1-0)
<千葉スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 2試合の出場停止(累積警告+一発退場)を昇華した鈴木大がスタメンに復帰。
<水戸スタメン>
- ブワニカ啓太は千葉からのレンタル選手なため出場不可。
- 前節(甲府戦、1-2)出場停止だった前田がスタメンに復帰。
- 36節(大分戦、0-1)で負傷交代した大崎の詳細が発表されるも、全治は未定。
- 田辺の負傷が発表され、9/24に発生も全治は未定。
ラストスパートの真っ只中という状態の千葉。
鈴木大の出場停止も、それを全く感じさせないスコアで連勝を続けて無事乗り切り。
このままのペースを維持できれば、自動昇格も夢では無いという所まで上昇してきました。
とにかく勝つだけ、という言葉がこれ以上無い程に似合う状況ですが、それも根底のサッカーがあってのものであり。
理想のスタイルの落とし込みに成功したからこその7連勝。
この時期は数多のチームが、「後は勝つだけ」という言葉を盾にして残り試合に挑むのが定例ですが、結局言葉のみに終わる事が数多。
サッカーの内容も成績も安定せず、切羽詰まった状態になってからの常套句という印象が強く。
かくして連勝中に残り10試合という段階を迎え、5試合になった現在でもそれを維持している千葉はこの上ない理想形といえるでしょうか。
この日の相手は水戸。
いきなりの前半1分に、ラフなロングパスを収めたドゥドゥがシュートを放ち(枠外)先制攻撃を果たします。
それでも以降は水戸のハイプレスの前に難儀するシーンが多く。
5分には自陣での左→右へのサイドチェンジを小原にカットされると、そのままミドルシュート(ゴール右へ外れる)とショートカウンターを受け。
これらの要素を受け、裏狙いのロングボールへと傾倒していく千葉の攻撃。
9分に敵陣右サイドで風間がパスカットしたものの、得意のショートカウンターにはいかず、戻しを経て高橋が一気にエリア内へとロングパスを送り。
左ポケットに走り込んだ日高がクロスを入れるも、その前にゴールラインを割ってしまい無効に終わり。
相手のスタイルを見極めての対応力を感じさせましたが、逆に勝負所を迎えたが故に、自身のスタイルの崩しという面では不安を覚える立ち上がりだったでしょうか。
そんななか水戸は、15分に中盤左サイドでボールを収めた安藤が鈴木大に倒されて反則。
ここからのフリーキックで、キッカー前田の長い距離のクロスを山田がヘディングシュート(GK鈴木椋キャッチ)とフィニッシュに繋げ。
しかしその一方で、17分に安藤が見木を倒してしまい反則・警告を受ける等やや苛立っているように見えました。
そしてその安藤のプレーが、二重の意味で試合を動かします。
23分、敵陣でパスカットした前田からショートカウンターに持ち込む水戸、縦パスを受けた安藤がそのままエリア手前からシュート。
ゴール右上へ際どく外れる悔しいフィニッシュとなりましたが、その直後でした。
ゴールキックをGK鈴木椋がミスキックしてしまい、伸びないフィードをカットした後藤田から再度ショートカウンター。
パスを受けた鵜木が、右ハーフレーン・エリアからすぐ手前という位置で豪快なミドルシュートを左サイドネットに突き刺します。
これで先制した水戸でしたが、その直後に安藤がやってしまいます。
千葉のキックオフで再開という所で、あろう事かセンターサークルに戻されたボールを蹴ってしまったために警告を貰う事に。
そして2度目であり当然ながら退場処分となり、よりによってアドバンテージを失いかねない事象を起こしてしまいました。
何が彼をそうさせたかは不明ですが、上記の事象により高ぶる気持ちを抑えられなくなっていたのでしょうか。
これにより、4-4-1の布陣で守備を固める水戸に対し、数的優位の千葉がひたすらボールを握るという展開へシフトする試合。
それでも追い掛ける立場の千葉は、たとえ不格好でもゴールが必須であり。
29分に田中のロングスローを活用し、鈴木大がフリックで上空に上がったボールを呉屋が詰めにいき。
GK山口に弾かれた跳ね返りを見木がシュートし、寺沼のブロックに阻まれるも尚もボールを繋いで二次攻撃に。
田口の右サイド手前からのクロスが中央でバウンドした末に、ファーサイドで呉屋が跳び込みヘッドで合わせたものの枠外に。
このシーンと、序盤のロングパス攻勢も合わさる事で、アーリークロスにより角度を付けたボールを入れる意識が高まったでしょうか。
それでも水戸の4バックに対し、ポケットを突く事を目指すのを第一としていたこの時間帯。
それが報われたのが39分で、右サイドでのパスワークから中央→左へと展開し、ワイドで受けたドゥドゥからその崩しを発揮。
見木が日高とのワンツーで左ポケット奥を取ってクロスを入れると、大外から走り込んだ田中がボレーで合わせゴールネットを揺らします。
大外から大外というボールの流れを見事に決め、同点に追い付きました。
これで優位に立った千葉。
尚も41分に見木がミドルシュート(枠外)、43分にエリア内での攻防の末に高橋がシュート(枠外)と、ひたすら押し込んでフィニッシュを浴びせる流れに持ち込みます。
しかし全体前への意識が高まった所為か、オフェンスファウルも目立っていたのがこの時間帯。
その最中に鈴木大が警告を受ける等、決して盤石とはいえない流れも生まれ始めた末に、前半を終える事となりました。
そしてハーフタイム、1人少ない水戸は調整を図り。
鵜木→松田佳へと交代し、松田佳が最終ラインに入る事によりハッキリと5バック(5-3-1)の布陣にして後半に臨みました。
後半の幕開けは2分、中盤でボールキープする武田が(見木に)反則を受けた事による水戸の(右サイドでの)FKからの攻撃。
キッカー武田のロビングを寺沼が合わせる(枠外)という具合に、内容的にもハッキリと「しっかりと守ったうえでの、一発に賭ける」意識を高めるに至ったでしょうか。
最終ラインが5人となり、千葉は前半、特に得点のシーンのような崩しは期待出来ない状態に。
4分にそれでも強引に右サイドを前進し、遮断されるもスローインに持ち込んで田中のロングロー攻め。
こぼれ球をエリア内で収めた鈴木大、前進からシュートにいく所を、あろう事か被ってしまった呉屋が撃って枠外に。
守備の堅くなった水戸に対し、強引に行かざるを得ないというのを象徴するようなシーンとなりました。
可能性がありそうだったのが、アタッキングサード手前で受けた際に水戸のウイングバック(右=後藤田・左=長井)が前に出て来る時。
そこに左右のCBがスライドしてポケットが空く、という事が何度かあり。
それでも中々突く事が出来ない千葉。
結局10分に放った田口のミドルシュート(GK山口セーブ)で、堰を切ったかのように「遠目で何とかしよう」という意識に移ってしまった感がありました。
見木や佐々木が無理目のミドルシュートを頻発したり、サイドからもアーリークロスへの傾倒が目立つという具合。
16分に、田中が前田への反則で警告を受けたというタイミングで、ベンチが動く千葉。
その田中を退かせ米倉を投入、同時にドゥドゥ→小森へと2枚替え。
これにより見木が左サイドハーフへと移り、風間はボランチなのかトップ下なのか今一つ不明な位置に。
イメージ的には、田口をアンカーとしたダイヤモンド型4-4-2といった所でしょうか。
後半からの水戸は本当に専守の姿勢で、前述のFK以降の攻撃機会は14分のゴールキック→寺沼フリック→小原ドリブル(田口に奪われる)の一度のみ。
千葉がひたすら水戸陣内でボールポゼッションを高める、まさにハーフコートマッチといった状況であり。
22分に右サイドでの作りからの戻しを経て、左ハーフレーンを見木がドリブルで持ち運びポケットを突くというシーンが生まれたものの、放たれた見木のシュートは枠を捉えられず。
25分にはパスワークで左ポケットを突き、その後も水戸ディフェンスの寄せに遭いながらも繋いで左奥からのクロスに持っていき。
跳ね返りを拾った見木、カットインで中央からシュートしたもののこれも枠外に。
積極果敢に撃っていったこの日の見木でしたが、どうにも結果が出ず空回りしている風にも映りました。
こうした数少ないポケットを利用しての攻撃以外は、角度を付けたアーリークロスで、ファーサイドに走り込んだ所に何とか合えば……という絵図が目立つのみに終わり。
マンネリ感が出始めた所で、29分に再び動く千葉ベンチ、風間・呉屋→福満・高木へと交代。
それだけでは終わらず、福満は風間の役回り(半ボランチ・半トップ下といったポジション)を務めたものの、高木は右SHの位置に。
そして米倉がFWに回るというポジションチェンジを敢行します。
以降、ターゲットの米倉・降りてパスワークに加わる小森という2トップの役割が明確化した感があり。
35分にその小森のミドルシュートがゴールを襲うも、GK山口がセーブ。
37分には左スローインからの攻めで、見木がポケット奥を取ってマイナスのクロス、ニアで田口がシュートするも左サイドネット外に終わり先制ならず。
急造FWという感じの米倉も、41分にコーナーキックからヘディングシュートを放ちましたがGK山口のセーブに阻まれ。
44分にも右ハーフレーンのFKから、キッカー田口のクロスがバウンドし、ファーに流れた所を跳び込んでヘッドで合わせた米倉。
しかしこれも枠外と、役割は果たすものの肝心のゴールは決められません。
千葉のフィニッシュが量産される流れとなるも、必死の凌ぎを見せる水戸。
セットプレーも膨らむ事で、1トップの寺沼もエリア内でシュートブロックするなど守備での見せ場が圧倒的に多くなり。
そして我慢を強いられるのはベンチも同様で、HTでの交代以降がんとして動かない濱崎芳己監督。
38分頃から交代準備はしていたものの、千葉のセットプレー攻勢が長らく続いたため投入を躊躇い続け。
そして前述の米倉のヘディングシュートが枠外となったタイミングで、ようやく後藤田・寺沼→成瀬・草野へと交代が果たされました。
そして突入するアディショナルタイム。
何とかこじ開けたいという千葉でしたが、右からの福満のクロスに対し、ファーサイドの米倉はバイシクルで合わせにいき。
しかしミート出来ずに終わると、武田がラフに裏へ送ったボールに草野が走り込んだ事で水戸のカウンターに繋がってしまいます。
拾った草野、そのままドリブルで右ポケットに切り込むという千載一遇の好機となりましたが、並走した鈴木大が中を切る事で角度の無い所からのシュートを強いられた結果ブロックに阻まれ。
これが後半2度目の攻撃機会(自分の集計です)だった水戸、もし決まっていればとんでもない試合展開だったでしょうが……。
(尚、ATも終わり際に小原・武田→新里・井上へと2枚が居)
一方米倉の小じゃれたようなプレーで、一瞬ながらも敗戦の危機がチラついた千葉。
既に崩しを試みる余裕は無く、一層アーリークロスに傾倒するようになる攻撃。
結局得点への機運を高められないATとなってしまいました。
結局1-1のまま試合終了となり。
大観衆のなか死力は尽くした感はあったものの、勝利を得る事が出来なかった千葉。
連勝は途切れたものの、最後まで自動昇格枠を目指す戦いは出来るでしょうか。