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DAZN観戦 2023年J2リーグ第37節 FC町田ゼルビアvsいわきFC

2023-10-05 16:01:20 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の町田の記事はこちら(33節・群馬戦、0-0)
※前回のいわきの記事はこちら(32節・熊本戦、4-2)

<町田スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 元ガンバのアデミウソンが中国・武漢から完全移籍で加入し、34節(栃木戦、0-1)から登録される。即スタメン出場も、以降ベンチ外が続く。
  • 芦部(関東学院大)の来季加入が内定し、同時に特別指定となり34節から登録される。

<いわきスタメン>

  • ホームスタジアムにネーミングライツが導入。取得した磐興産株式会社により「ハワイアンズスタジアムいわき」へと名称変更となる。
  • 前節(金沢戦、1-0)から再度フォーメーション変更。4-1-4-1へ戻すも、宮本・山下の2枚看板が両サイドバックを務める新システムに。
  • 嵯峨の負傷が発表され、35節(群馬戦、0-1)で発生して全治3ヶ月との事。
  • 夏に加入したエンリケが前節初のベンチ入り、今節も継続してベンチに入る。

最終盤を迎えても、首位の座を守る町田。
これまで散々述べた通り、異色かつ新興勢力の脅威をまざまざとJ2に見せ付ける格好となっていますが、それ故に対抗する勢力のマークも厳しくなり。
前回観た群馬戦が象徴的で、睨み合いの時間が大多数を占めての接戦に持ち込まれてのスコアレスドロー。
以降も無得点に終わる試合が多く、思うように勝ち点を伸ばせなくなってしまいました。
それでいて勝利する時は大量得点(山形戦・長崎戦)と、不安定なチームが陥りやすい逆転現象に。
2位以下の鍔迫り合いが激しくなるなか、このまま逃げきれるかどうかという不安が過る状況になって来ました。
そしてこの日の相手は、新興勢力という面では謙遜無い昇格組のいわき。

町田のキックオフからの攻撃、いきなりロングボールをデュークが落としてエリア内へボールを届けるというお馴染みの脅威を見せ付け。
その流れのままにコーナーキックを得て(前半2分)、キッカー鈴木のクロスを池田が合わせる(ミートせず逆サイドへ)という悪くない入りを演じます。

しかし新興勢力らしさを見せるいわき。
前節からの、宮本・山下が両SBを務める新システムの前に、前線が獲り所を見出せずにプレッシングを利かせられません。
放送席(解説・戸川健太氏)では、「宮本と山下がボランチの位置に絞ってプレーする」と語られており、それを(試合前に)初めて聞いた時自分はやや錯乱状態となり。
いくら本職ボランチの2人かつアンカーシステムといえど、極端にSBとしてのの仕事を捨てる事はあり得るのか、などといった考えが浮かんでは消えるに至りました。

しかし現したそのシステムは単純に言えば、「ビルドアップの際にSBの上がりを抑制する」事を基本とする、といった所でしょうか。
センターバックがボールを持ってのビルドアップ、宮本・山下が思いきりワイドに張って横幅を大きく取り。
フォーメーション的に言えば2-3-5という形で、前線に5人が張る事で町田の後方も容易に前に出れない状況を作っていました。
こうした上で、サイドから下田栄に受け渡す事で前線のチェックを無効化し、かつ彼の前方に広大なスペースが生まれるに至ります。

そんな体勢を基本としながら、ゲームを動かすのはやはり宮本・山下の2人。
彼らがオーバーラップするのはサイドハーフがボールを持ってから、というありがちな姿勢を軸に、様々に動き回って相手を攪乱させに掛かり。
17分宮本が中に絞ったうえで、左サイドを上がった山下が遠藤の縦パスを受けて攻撃開始。
カットインの姿勢から中央へ送り逆へ展開、有田の右ポケットからのクロスがブロックに当たり、その跳ね返りを上がってきた宮本がボレーシュート(GK福井キャッチ)でゴールを脅かし。
23分にはGKからの組み立ての中、宮本が右ハーフレーン最前線に位置取ったのち、遠藤の縦パスを降りて受け。
ここから下田栄を経由して岩渕が中央突破(敵陣浅めで止められる)という流れを作ります。

町田はその新たなスタイルに対応できず、マイボールの際もロングボール攻勢が主体なので、大抵はあっさりボールを捨てる事に繋がり。
その結果、尚もいわきの多彩な攻めを受ける時間が膨らむという悪循環に陥ります。

26分の攻撃でCKを得た町田、ここから2本続けるセットプレー攻勢に。
この流れは大事にしたい所でしたが、2本目からの二次攻撃で、上がったクロスに合わせにいったデュークと松井が被ってしまい撃てず。
するといわきのターンとなり、29分例によって右サイド前に位置取った宮本のポストプレイをダイレクトで吉澤が低い弾道でのサイドチェンジ、これが綺麗に谷村に渡り。
ここから左ポケットまで運び、山口のクロスはブロックされるも中央で宮本が拾って尚も継続、細かく繋ぎながらシュートコースを探す体勢に。
そして下田栄がキープする所松井に倒され、反則となりエリアからすぐ手前という絶好の位置で直接フリーキックを獲得します。
このキック、町田サイドが入念に壁を作った中で名手・山下が左足で放ったシュートがそれを嘲笑うかのように越え、かつ落ちてゴール左へと突き刺さります。
文句のつけ所が無い攻撃の流れかつFKで、先制したいわき。

目の色を変えて攻める町田。
しかし2トップを中心に圧力を掛けて……という大まかなスタイルは変わらず。
今度は敵陣でスローイン攻勢という体勢で、翁長のロングスローを交えながら押し込み。
そして36分、遠目からの右スローインながら、デュークの落としを繋いで逆サイドへ展開に成功。
奥に切り込んだ沼田がカットインでゴール目前に迫りマイナスのクロス、これを中央で平河が合わせましたが、このシュートはゴール寸前で岩渕のブロックに阻まれます。

すると再びいわきの攻撃が牙を向き。
この辺りは先程の先制点までの流れといい、「ボールポゼッションで試合を落ち着かせる」選択肢を採れない町田の悲しい性でしょうか。
37分には、谷村のラフなロングパスをエリア内で受けた岩渕がシュート(GK福井キャッチ)と、相手のお株を奪うようなアバウトな攻めからフィニッシュに繋げるいわき。
39分には左サイドから前進ののち、谷村の戻しを下田栄がダイレクトで縦パス、受けた岩渕がミドルシュート(ゴール右へ外れる)とまたも岩渕のフィニッシュ。
深さを警戒させたのちに、中盤の下田栄のキラーパスを活かすという相手を困らせる立ち回り。

そして41分、ここも敵陣で拾った下田栄から中央をパスで前進。
谷村→岩渕へのパスはズレるも、クリアを拾った谷村がそのまま果敢にミドルシュート。
再びGK福井にとってはノーチャンスという華麗なシュートが突き刺さり、前半のうちに追加点を齎します。

その後も町田にさしたる好機を与えず、0-2のまま前半を終わらせたいわき。
首位チームの逆襲が予想されるものの、その多彩な攻撃を軸に最良の内容・結果という45分間だったでしょうか。

当然ながらハーフタイムで巻き返しを図る町田、松井・沼田→下田北・バイロンへと2枚替え。
平河が左SHにシフトと、メンバー入れ替えに活路を見出しました。

しかし効果が表れる前に、いわきがさらに試合を動かします。
キックオフからのいわきの攻撃を切った町田が前進を図るも、遠藤が前に出てパスカットして矢印を反転させると、そのまま攻撃参加する遠藤。
持ち運びからボールを手放したのちも前に位置取り、左サイドを細かく繋いだ末に山下が左ポケットへ進入、そのままふわりとしたクロス。
これを遠藤が左足で合わせてゴールに突き刺すという、流れの中でのCBのゴールを後半早々の1分に生み出しました。
これで3点のリードを奪ったいわき。

3分に右からの(鈴木の)ロングスロー、デュークのフリックを経て平河が跳び込んでのヘディングシュート。(GK鹿野キャッチ)
こうしたセットプレーからの脅かしに賭けるしかない……という訳にはいかず、流石に最終ラインからのビルドアップに努めざるを得ない町田。
下田北の投入で繋ぐ能力が向上したのは幸いとなり、5分にそこから長短交えながら繋ぎ、左ポケットに持ち込んで翁長がクロスに辿り着いて左CKに。
そしてキッカー鈴木の中央へのクロスにチャンミンギュが合わせ、放たれたヘディングシュートがゴール右へと突き刺さります。
マークしていた藤尾の手前に入り込まれて合わされてはいわきサイドも成す術無いという格好で、1点を返して反撃の狼煙を挙げた町田。

それも束の間、いわきの攻撃に晒される展開は続き。
7分に谷村が左ワイドをドリブルで駆け上がり、カットインでポケットに進入してグラウンダーのクロス、ファーサイドで有田が跳び込むも僅かに合わず。
9分にロングパスで裏に抜けた岩渕が翁長に反則を受け、右ワイドからのFK。
キッカー岩渕のクロスを家泉が折り返し、GK福井が足で触ったこぼれ球を吉澤がシュートと、決定機を作りましたがふかしてしまい枠外に。

4点目で試合を決められるのは避けられたものの、その後もいわきの攻勢が続き、再び流れを変えたい状況となった町田。
再度の交代は16分で、翁長→荒木に交代するとともにフォーメーションを変更。
3バックへと変更し、下田北がアンカーとなる3-3-2-2(3-1-4-2)へとシフトします。(鈴木が右CBに回り、ウイングバックは右にバイロン・左に平河)

直後の攻撃で左CKを獲得したいわきですが、キッカー岩渕のクロスをGK福井が跳び出して掻き出し、これをデュークが拾った事で町田のカウンターに。
中央を一気にドリブルで突き進むデューク、右ポケットへスルーパスを送りバイロンに託しますが、トラップ際を戻った岩渕に奪われてしまい実りません。

難儀していた下田栄への対策も、ボランチだった安井が一列前になる事で何とか様になった感があり。
といっても激しい寄せで、下田栄が何度もチャージを受けて倒れ込むシーンと共に……というあまり褒められたものでは無い絵図でしたが。
球際勝負となって来た所で、21分にはCBの遠藤が足裏でのスライディングでバイロンを倒してしまい、反則・警告を受け。
劣勢の感が見え始めたいわき、24分にこちらもベンチが動き3枚替えを敢行。
有田・山口・岩渕→江川・石田・永井へ代え、SB2人が投入された事で宮本・山下がインサイドハーフに回ります。

しかしその交代選手をアクシデントが襲います。
28分町田のCKからの攻めを防いだのち、右サイドで石田(左SBだが、セットプレーの流れで右に回っていた)が鈴木に反則を受けると、そのまま倒れ込んでしまい起き上がれず。
続行不可能のサインが出され、担架で運ばれ無念のインアウトとなってしまいました。
故障者続出という台所事情で、投入されたのは11試合ぶりの出場となった鏑木。
これにより宮本が右SBに戻る事となりました。(右SBの江川が左SBに)

当然ながら相手の苦しみに同情は許されず、反撃体制を採る町田。
右サイドでバイロンの突破力を活かさんとしますが、左に回った江川の守備力に難儀し進めなくなるシーンが目立ちます。
止むを得ず彼のキープを囮とし、戻しを経て鈴木がミドルパスで裏を突く狙いへと切り替え。
32分には奥でそのパスを受けた荒木がエリア内に走り込む下田北へと送り、彼のマイナスのクロスにデュークが合わせましたが枠を捉えられず。

いわきはさらにアクシデントに襲われ、33分に吉澤と遠藤が同時に足を攣らせてしまい。
交代枠は1つしか残っておらず、代えの利かないCBという事もあり遠藤を残し、吉澤→杉山へと交代。
この杉山も24試合ぶりの出場と、やはり駒不足感は否めず。
これを境に山下・下田栄のドイスボランチとした、オーソドックスな4-4-2の布陣を採ります。(2トップは杉山と谷村)

ここからいわきが押し返し攻勢に入るものの、何とかそれを切った町田。
迎えた40分、ここも先程と同様に右サイドでバイロンにキープさせ、そして鈴木が裏のスペースを突くという攻撃。
これを2度繰り返したのち、再度の戻しから鈴木がクロスを入れる役割を演じると、手前でバウンドした所をニアでデュークが脚先で合わせます。
これがゴール右へと突き刺さり、終盤で1点差に詰め寄った町田。

試合の行方は全く判らなくなり、その雰囲気を背に受ける町田は尚も攻め上がり。
43分再びバイロンが江川と対峙する絵図となり、今度は反則を受けてチャンスメイクを果たしたバイロン。
右ワイドからのFKを得ると、キッカー鈴木のクロスが中央に上がり、GK鹿野が跳び出したその手前に入り込んだチャンミンギュがヘディングシュート。
しかしジャストミート出来ず、ゴール左へと外してしまい同点ならず。

45分に最後の交代を敢行、安井→藤原へと交代した町田。
ターゲットを増やした事で、完全なパワープレイ体制を採りアディショナルタイムを迎えます。

しかしいわきも文字通り最後の力を振り絞り、町田のロングボール攻勢を跳ね返し続け。
久々に出場の鏑木も右コーナーでのボールキープを演じ、時間を使いチームに貢献します。
そして6分のATをフィニッシュに持ち込ませず、試合終了の笛を聴き。
それに伴い歓喜の輪を作る、ピッチサイドの田村雄三監督とベンチスタッフ。
首位チーム撃破を成し遂げた達成感に包まれた、まさに「魂の息吹くフットボール」という絵図になりました。

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