世界のサッカー関係者が注目する香川の動向。プレミア・マンUに決定したらルーニーとポジションがかぶる可能性も?
「いろいろなクラブからコンタクトはあるので、どこが今は一番というのは正直ない。しっかりと自分が挑戦できるところを選んで決めたい。(イングランドのプレミアリーグは)一番レベルが高いかなと思いますし、そういうなかでプレーできれば成長できるかなと思います」
ドルトムントのリーグ連覇とドイツ杯の二冠達成に大きく貢献した香川真司は、帰国早々の5月16日、そう語った。来季の移籍先としてイングランド、なかでもマンチェスター・Uの可能性が日増しに高まっている。マンUといえば、人気、実力、これまでの実績と、いずれも世界最高峰のクラブだ。
香川の移籍については、これまでドイツでの報道が先行していたが、イギリス側の受け止め方はどうか。英『デイリー・ミラー』紙のマンU担当、デイビッド・マクドネル記者が語る。
「優勝のかかったプレミアリーグの最終節の前日に、(マンUの)アレックス・ファーガソン監督がわざわざ(ドイツ杯決勝の行なわれたベルリンまで)足を運んだのだから、高く評価しているのは間違いない。今のマンUには、中盤から前で相手の守備を崩し、点の取れる選手が必要なだけに、ブンデスリーガで13得点9アシストのカガワは条件にピッタリ。スピードがあって、必要以上にボールを持ちたがらず、シンプルにプレーするスタイルもファーガソン好み。それに23歳という年齢もマンUの移籍方針に合う。キャリアのピークはこれからだから、仮にチームにフィットせず放出することになっても、それなりの市場価値を保てるからだ。しかも、マンUはパク・チソン(元韓国代表)との契約があと1年で切れる。これからのアジア市場を考えても絶対に欲しかった選手のはずだ」
香川はマンUにとっても理想的な新戦力だったというわけか。問題はドルトムントのときと同じように、移籍後スムーズに活躍できるかどうか。もっといえば、レギュラーの座を奪えるかどうかだ。何しろマンUの攻撃陣はドルトムントと比べものにならないほどタレントが豊富なのだ。
サッカージャーナリストの杉山茂樹氏は、香川のポジション適性が問われると言う。
「ドルトムントではトップ下で比較的自由にやっていた香川が、現状、マンUでできるポジションは1トップの下だけです。そこでレギュラーを奪えたらすごいことですが、ファーガソンという絶対的な権力を持つ監督の下で、そのポジションにこだわりすぎると出場機会を失う可能性があります。逆にチーム事情などで『サイドのポジションをやれ』と指示されて、そこでフィットすれば香川のプレーの幅はもっと広がると思いますが……」
マンUの絶対的エースといえばイングランド代表のウェイン・ルーニー。ヘタをするとポジションがかぶるだけに、ルーニーと共存できるかがポイントになる。ただ、それについては前出のマクドネル記者は楽観的。
「確かに、ルーニーは2トップのシャドーでこそ最も力を発揮するが、最前線やサイドもこなす器用さがあるので、共存できるのではないだろうか。問題ないと思う。カガワはサミル・ナスリ(マンチェスター・C所属のMF。フランス代表)に近いタイプだと思うけど、プレミアにそういうタイプが少ないのも有利。むしろ懸念されるのは、攻高守低のドイツではフィジカルの弱さをスピードとテクニックで補えたが、よりフィジカルコンタクトの強いプレミアになじめるかどうかじゃないかな」
“シアター・オブ・ドリーム”(マンUの本拠、オールド・トラッフォードの通称)で香川の輝く姿を見られる日が待ち遠しい。
(スポルディーバ Web)