Scientific Boxing

国内、海外のボクシング界の状況や試合の観戦記などを絶対的主観で書き綴るブログ

観戦記~WBCフライ級~

2010年03月28日 | BOXING

正規王者:亀田興毅 vs 暫定王者:ポンサクレック・ウォンジョンカム
試合結果:ポンサクレック判定勝ち

●所見~興毅の場合~
敗因は幾つもあるだろうが2つに着目する。
1つ目はvsサウスポーで、明らかに対応出来なかった。
vsオーソドックスの場合、互いに最初に打つ為の腕が前に出る為、相撲で言うケンカ四つ状態
( 柔道も同様 ) となり、必然にサウスポーが有利で、且つ、興毅はフットワークの位置取りからの
ジャブが得意な分、より優利となる。
( サウスポーが有利な理由は一般的観点でマイノリティだから )
この日は意識がvsオーソドックス仕様のままだったのでジャブも唐突な左ストもフットワークも機能しなく、
思い切った踏み込みも同様だったので、何度も頭が当たり、 「 何で当たるんだ? 」 と思った筈だ。
同じ構えをした同士ならば、踏み込むタイミングも軌道も同じとなる事もある。
だから頭が当たっても不思議ではない。
そしてプランを変更すべく別のカードを持ってなく、修正するセンスも無かった。

2つ目はメンタル。
控え室からゴング迄の表情はまるで能面の様で、恐らくそれは得体の知れない不安からくるものと思う。
強気な発言はしてみても相手の力量は知っている筈で、過去のスパーで相手を逃げ腰にさせた事は
自身のダーティ行為である事もよく判っている筈だ。
練習量と2階級制覇で自信は持つのだろうが、この日の相手が嘗て無い強敵な事も判っていた筈だ。
その事実とその事実への誤魔化しが直前に精神の根底に襲ってきたと思われる。
開始ゴング直前は胃袋がキューッとなり、ケツの穴が緩むのを感じたかもしれない。
そして試合も2Rの相手の左で腰が引け、踏み込めなくなり、パンチも 「 速くガード位置に戻さなきゃ 」
の意識が募り、伸びも無くなり、ダメージングブローなど1発も無かったと様に見えた。
また、カット後、目線をしきりに上にやってたのはスクリーンでカット状態を確認していたのだろうが、
ナーバスの表れだ。
辰吉とかならばそんな暇があったら相手を見据えて、攻めるタイミングを計っていただろう。

上記は共にキャリアである程度は克服できる。
結局はそれが足りなかったと言う事か。

オヤジは再戦とか鼻息荒いが興毅は望まないではないか?
今も先も相手が上だって事を悟ったのではないだろうか?
そんな気がする。
だからと言って興毅の実力が低いとは思わない。
けっこう3年後辺りにどこかの階級で世界王者になってるかもしれない。

●所見~ポンサクレックの場合~
試合前に向い合う時は相手よりも身長は低い分、小柄に見えたが、対戦時はアップライトに構え、
相手が腰と首を下げ過ぎ、不必要な動きが多い分、大きく見え、余裕にも見えた。
その構えから左ボディストをよく打っていたが、グイッと伸びがあり、相手の縮んだ左ストよりも20cm
は伸びている様にも見えた。
相手が腰を引いていた分、余りクリーンヒットしなかったが、それでもガンガン打ってくるのは相手に
とって嫌な気持ちになる。
右のフックからアッパーは重心を右に預けながら連打でき、その体勢で打たれてもバランスは傾かない。
とにかく冷静で、打つ時も打たれる時も、相手が効いたらこう出る、自身が効いたらこうすると言った
次の展開を想定している意図が背景に感じられる。
どれもキャリアが成せる業。

しかし、やはりスピードと回転力はかなり衰えた感じ。
17連続タイトル防衛時の前半などはフック主体のコンビネーションの回転は抜群に速く、それでいて
5、6発まで前に出ながら打っていた。

この日は勝ったが、日本選手にとって恐るるに足らず。
vs内藤はカンベンしてほしいけれど。

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