ぼくらのありのまま記

ぼくらは
こんな大人になりました。

バッテリーはビンビンだぜ!

2014-07-20 22:37:29 | 唐桑日記
「こんなこといつまでも長くは続かない。
いい加減明日のこと考えた方がいい。
どうしたんだ、heyheyベイベ
お前までそんなこと言うの」
【忌野清志郎、雨上がりの夜空に】



僕のいる民宿つなかんの社長、
菅野夫婦は僕のふた周り年上の50代です。
ここで働いているといつまでこうやって
一緒に働けるんだろうかと
「雨上がりの夜空に」が頭の中で流れる時があります。



社長のお母さん、83歳のあやこばぁちゃんも
まだまだ元気で民宿で提供するホヤを向いてくれたり、
漁師さんが漁の帰りに届けてくれた
メカジキの腸の掃除を教えてくれたり、
サラ貝のおこわを作ってくれたり、
初めて食べる食材で、初めて作る
料理を教えてくれます。

それに料理に使う野菜はほぼ
あやこばぁの畑の野菜です。



看板商品の牡蠣と帆立は
社長(やすたかさん)が
毎朝5時に海に出て大切に
管理をしています。

漁協の出荷では一度に
500キロとか1000キロ単位で
牡蠣を水揚げします。

宿泊の予約がある日には
わざわざその数だけ(3キロくらいなのに)
ホタテのイカダから水揚げしてくれます。



おばあちゃんとやすたかさんは
無口な方だし、民宿には顔を出しません。

特にやすたかさんはほぼしゃべらないし、
何か聞いてもうなずくかクビを横にふるか
眉毛を動かすか、そういう動きで会話をするので
初めてくるお客さんにはぶっきらぼうで怖そうに思われます。
慣れてくると「今日も省エネですねぇ!」とか言われています。
その時でさえ特にリアクションもなく「へへっ」と笑いながら
ドヤ顔をするだけです。

唐桑は結構方言があり、わからない事が多いので、僕にとっては
無口なやすたかさんと一緒にいる時間は気が楽です(笑)

牡蠣もホタテもしゃべらないので、
毎日、感覚を研ぎすまして世話しているうちに
自身も無口になっていったんじゃないかという
仮説を立てたので今度聞いてみようと思います。

そんなやすたかさんですが、お客さんが帰ると
「よろごんでだが?(喜んでたか?)」と聞いてくるので
みんなが来てくれるのを楽しみにしているのがわかります。




女将のいちよさんは
旦那の分までお話上手です。
民宿の表舞台に立って
心からのおもてなしをしています。
お話上手で伝え上手です。

去年始めた0からのサービス業ですが
サービス業で一番大切なこと

「あなたがここにいてくれてほんとに
嬉しいのよ。ありがとう。また会いたいわ」

ということをその言葉を使わずに
相手に伝えることができます。

これはほんとにすごいなと思います。


この家族と民宿を営んでいると誰がいなくなっても
うまくいかないんだろうなと思います。
そして、いつかはそんな日が来るんだろうなと思うと
子犬だった飼い犬が、いつのまにか老犬になっていて、
それなのに自分はまだまだ子どもでどうしたらよいか
わからないような感情になります。
「おーい,待ってよ!」ってって時にはもう遅い。


こんな気持ちを菅野家の誰に聞いても

「そん時はそん時だ!」

そんな答えが返ってくるのが想像できるので、
僕も「そん時はそん時だ」と思って
明日もバッテリーはビンビンでいきます。



色即是空



ここに来れてよかったなー。
みんなありがとうございます。