「こうしたい」と「つくる」の間に 一級建築士事務所アーク・ライフのブログ

東京都町田市の一級建築士事務所アーク・ライフです。住まい手の「こうしたい」と「つくる」の間で要望を共有し一緒に考えます。

鉄筋コンクリート造住宅を断熱改修したいという相談がありました

2020-06-23 21:59:05 | 断熱改修
先日、メール経由で鉄筋コンクリート造住宅を断熱改修したいという相談がありました。
築年数が経過して屋根の防水をやり直すのを契機に、上から屋根をかぶせて断熱改修したいとのご希望でした。
このような工事は可能ですが、注意深く進める必要があります。

まず、屋根をかぶせて断熱改修する工事は、大規模な修繕に該当する場合があります。
大規模な修繕に該当する場合、通常の規模の木造2階建て住宅であれば確認申請は不要ですが(法に適合させる必要はあります)、鉄筋コンクリート住宅の場合は確認申請が必要になります。
計画を進めるにあたり、大規模な修繕に該当するかどうかをお住まいの地域の市役所の建築審査課等に確認する必要があります。

また、屋根をかぶせるということは多少なりとも荷重が増えることになります。荷重が増えたことによって、屋根、壁、基礎などに問題が生じないかを確かめる必要があります。

次に、被せた屋根が台風などで飛ばされないように、どのように固定するかを考える必要があります。
ケミカルアンカーやホールアンカー、コンクリートビスなどで上からだけで固定する方法が簡単ですが、ボルトを貫通させて固定することをお勧めしたいと思います。鉄筋コンクリート住宅の場合、天井懐が無い場合もあるので、室内側で貫通させたボルトの端部が気にならないように位置や固定方法を工夫する必要があります。

最後に、断熱する部分についての注意です。
屋根を断熱したいという相談でしたが、屋根だけを断熱して他を既存のままにした場合、サッシや部屋の隅、納戸などの風通しが悪く冷えやすい場所などの結露が改修前よりも激しくなる可能性が高いです。その結露によってカビが生じ、健康被害を生じさせてしまっては何のために断熱改修をしたかわからなくなります。断熱改修をする場合は弱点が残らないように、きちんと断熱材を連続させ、屋根、外壁、サッシ、床などすべての部分について断熱をする必要があります。


この写真は鉄筋コンクリート住宅の屋根だけに上から50mm厚のウレタンボードを敷いてその上から防水改修した後の天井の隅を写したものです。パラペットという屋根の突出部分は断熱材で覆わなかったところ、熱の逃げやすい天井の隅の表面温度が相対的に低いため結露してカビが生じました。

部分的で、熱の逃げやすい部分を残した断熱改修ではこのような現象が生じてしまいます。

せっかく断熱改修をする以上、そのようなことが無いように注意深く進めていただきたいです。断熱改修を希望される場合はそのことを理解できている専門家に相談して、快適で健康な生活が実現できるような断熱改修工事をしてください。







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